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東京V二川が初先発で決勝アシストも、勝利のラインダンスに「うそやん…」

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[7.10 J2第22節 東京V2-1岡山 味スタ]

 頼れる男が加わった。東京ヴェルディファジアーノ岡山に2-1で勝利し、3戦ぶりの白星を手に入れた。決勝点をアシストしたのはガンバ大阪から期限付き移籍で加入してきたばかりのMF二川孝広。ホームデビュー戦で先発すると結果を残した。

 6月28日にG大阪からの期限付き移籍が発表され、自身初の移籍で東京Vへ加入。慣れ親しんだ青黒のユニフォームを脱ぎ、緑のユニフォームへ袖を通すことになった。7月3日に行われた前節・北九州戦(1-2)で初のベンチ入りを果たし、後半12分から途中出場でデビュー。

 迎えたこの日のホームデビュー戦では、4-2-3-1のトップ下で先発。「最初から出る方がやりやすい部分があるので、しっかり動いてボールに絡んでいこうと思いました」という意気でゲームへ入った。

 試合は先制するも追いつかれる展開に。押し込まれる場面も目立つタフなゲームとなったが、後半38分に二川が仕事を果たす。MF南秀仁のパスを左サイドで受けた二川は利き足とは逆の左足でクロスを入れる。ニアサイドにはFW高木大輔やDFウェズレイも詰めたなか、質の高いボールは緩やかに伸びて、最後は飛び込んだDF井林章が頭で決めた。これが決勝点。東京Vが2-1で勝利した。

 試合後、決勝アシストの二川は「一瞬、何個か判断を迷いましたけど、左(足)でいこうという感じで」と話し、「だいたいあの辺かなという。ちょうどいいところにいってラッキーでした」と飄々と振り返った。ゴールを決めた井林は「(クロスは)やさしかったですね。本当に合わせるだけでした」と感謝を口にした。

 36歳のベテランMFだが、キャリア初の移籍を経ては気負う部分もあった様子。「ホッとしてますね。最初に(ホームで)まず結果を出せて、これで落ち着いていけると思うのでいい結果につながってよかったです」と安堵の表情を浮かべ、「ある程度チャンスは作れていましたけど、もう少し精度の高いパスを出して、チャンスにつなげていきたいと思います」と先を見据えた。

 東京Vの冨樫剛一監督は「二川のファーストタッチからの次へのパスはボールが入る前のイメージや景色が残っていて、やはりすごいなと。ベンチから見ていて感心していました」と称える。

 東京Vではホームでの勝利後には、ゴール裏での“ラインダンス”が恒例となっている。この習慣を試合当日に知らされたという二川は「うそやんと思いました」と苦笑い。実際にはDF安在和樹とDF安西幸輝の間に入って、ラインダンスを踊ったが「それはもうしょうがない……」と笑いつつ、半ばお手上げムード。この日はラインダンスのみならず、ゴール裏目前で拡声器を使い、サポーターに挨拶するまでをやり切った。

 慣れ親しんだ過ごしやすい環境を自ら手放し、チャレンジを決断するのは簡単なことではない。それでもサッカー選手として18年目のシーズンを過ごすベテランMFは、覚悟を胸に新たな地での挑戦をスタートさせている。

(取材・文 片岡涼)

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