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湘南GK梶川裕嗣、夢の舞台で残酷な現実…名古屋J2降格を相手GKとして見届けて

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湘南を2連勝に導いたGK梶川裕嗣は試合後、複雑な思いを吐露

[11.3 J1第2ステージ第17節 名古屋1-3湘南 パロ瑞穂]

 夢をかなえた瞬間だった。Jリーグデビューから2試合連続で湘南ベルマーレのゴールマウスを守ったGK梶川裕嗣は、複雑な思いにかられていた。

 梶川は愛知県豊田市出身。小学校の時に名古屋グランパスの下部組織に入団し、ジュニアユースまでプレーした。同期には現在名古屋のトップチームでプレーするMF矢田旭らがいる。子供のころは名古屋を応援するためにパロマ瑞穂スタジアムには数えきれないほど足を運んだ。この日も対峙したGK楢崎正剛は、梶川にとって憧れのプレーヤーであり続けている。

 運命のいたずら。「しょうがないですよね。こういう世界なので。何とも言えないですけど」と悲しそうに視線を落とした梶川。特別なチームのクラブ史上初のJ2降格を、相手チームのGKとして迎えたという現実を必死に受け止めようとしていた。

「(試合前に)旭には連絡はしませんでした。試合直前や試合後も声をかけづらい状況でしたし…。今日も友達が多く見に来ていたんですけど、冗談で負けてくれよって言われてました。でも僕は湘南の選手なので、サッカー選手として、勝てたことが嬉しいです」

 東海学園高、東海学園大を経て14年に湘南に入団して3年目。ルーキーイヤーの天皇杯で1試合の出場歴があるのみだったが、前節の甲府戦からいきなりチャンスが巡ってきた。リーグデビュー戦を完封で飾ると、2戦目もPKによる1失点に防ぎ、2連勝へと導いた。

「まだまだこれから。今日もみんなに助けてもらいましたし、僕の課題もたくさんある。まだまだこれから、ここからがスタートだと思ってやっていきたいです」

 未来の守護神への道。25歳GKはJリーガーとしてのキャリアを積んでいる。

(取材・文 児玉幸洋)

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