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試合巧者ぶり光った鹿島、ベンチワークでも上回り逆転V

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チャンピオンシャーレを掲げるMF小笠原満男

[12.3 チャンピオンシップ決勝第2戦 浦和1-2鹿島 埼玉]

 鹿島アントラーズの試合巧者ぶりが光った。ホームでの第1戦を0-1で落とし、迎えた敵地での第2戦。逆転優勝には2点差以上の勝利か、2-1以上の1点差勝利が条件で、少なくとも2点を奪う必要があった。その意味で前半7分に喫した失点は、鹿島にとって大きな痛手ではなかった。

 MF小笠原満男が「1点取られても状況的には変わらない」と言えば、ゴールを守るGK曽ヶ端準も「失点したけど、2点取らないといけない状況は変わらなかった」と声をそろえる。DF昌子源は「1点取られて、苦しくなったのは浦和さん。向こうは守りに入る可能性もあった。僕らは点を取りにいかないといけないし、そこがよりハッキリできた」と、むしろゲームプランは明確になったと指摘した。

 小笠原は「チーム的に難しかったのはレッズだったと思う」と、第1戦に先勝した浦和のほうが試合運びが難しかったはずだと推察する。「チャンピオンシップの特質なレギュレーションは頭に入っていたし、僕らは冷静に戦えた。レギュレーションに沿って、戦い方を変えたのはアントラーズのほう。第1戦が1-0で、一見、(浦和が)有利に見えるけど、難しくしたのはレッズだった」と冷静に言った。

 前半40分にFW金崎夢生のゴールで1-1の同点に追いつき、2試合合計1-2と追い上げると、「逆にレッズさんにプレッシャーがかかった」(石井正忠監督)。2点目を取られれば、アウェーゴール数で鹿島に“逆転”を許す。追加点も欲しいが、それよりも失点したくない。第2戦をホームで戦う浦和に、アウェーゴールというプレッシャーが重くのしかかった。

 浦和が後半14分、16分、26分と立て続けに交代枠を使い切ったことも鹿島にとっては追い風だった。DF西大伍は「相手が交代枠を使い切ったことで、これ以上、前の選手が増えることはないというのもあって、それは少し助かったなと思った」と言う。その時点で試合はまだ1-1、2戦合計1-2の状況だったが、2点目を取って立場を逆転させれば、浦和に反撃の手は残っていない。実際、後半34分に金崎のPKで鹿島が勝ち越すと、浦和はDF槙野智章を前線に上げるパワープレーを仕掛けるしかなかった。

 優勝を決めるPKを獲得したのは後半13分から途中出場したMF鈴木優磨だった。「レッズさんの左サイドが少しバテてきているように見えた。そこを徹底的に突くような攻めの形に変えた」と石井監督。MF遠藤康に代えて右サイドハーフに投入した鈴木が期待どおりの仕事をすると、後半43分にはその鈴木に代えてFW赤崎秀平を投入した。

「右サイドの守備のところで対応が遅れていた。途中出場なので体力的な部分ではないと思うが、PKを取ったときに痛めた部分もあったようで、パフォーマンスが落ちていた」。優勝へのカウントダウンが始まる中での冷静な采配。ピッチ上の選手、ベンチが冷静に戦況を見つめ、状況に応じて戦い方を柔軟に変えた鹿島が、試合運びという点で浦和を1枚も2枚も上回っていた。

(取材・文 西山紘平)

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