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「出られる保証はなかったけど…」 MF磯村&DF大武、名古屋から新潟へ“決意の移籍”

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アルビレックス新潟MF磯村亮太(左)とDF大武峻

[7.30 J1第19節 FC東京1-1新潟 味スタ]

 1人は下部組織からトップチームに昇格し、プロ9年目のシーズンを過ごしていた。そして、もう1人は福岡大卒業後、チームに加入してプロ3年目を迎えていた。だが、2人は同じタイミングで同じチームへの移籍を決断。名古屋からアルビレックス新潟へ完全移籍したMF磯村亮太とDF大武峻は、中断明け初戦となったFC東京戦でともにスターティングメンバーに名を連ねてピッチへと送り出された。

 CBの位置に入った大武は189センチの長身を生かしてハイボールをはね返し続け、中盤の底でバランスを取った磯村はボールを引き出してはシンプルに散らしてリズムをもたらした。2人は前後に位置していることもあり、「お互いの特長やプレースタイルを知っているので、ピッチの中でも順応させやすい」(大武)と屋台骨の一角を担い、チームの連敗ストップに貢献。「アウェーで皆が一つとなって戦い、勝ち点1を取れたのは次につながる」と磯村は前を向いた。

 チームを率いる呂比須ワグナー監督は「(大武は)声出しもできるし、良いファイティングをしてくれた」「(磯村は)冷静につなげるし、周りを生かせる選手」と評価しつつ、「これからコンビネーションはもっと良くなっていく」と今後はさらにチームに良い影響を与えてくれるはずだと期待を寄せる。

 今季、名古屋でリーグ戦1試合の出場にとどまっていた大武は、自分を評価して起用してくれている呂比須監督への感謝を示す。「移籍した先で試合に出られる保証はなかったけど、新潟さんから本当に必要とされていると感じたので移籍を決断した。名古屋で試合に出ていない中でも、(呂比須)監督は評価して使ってくれているので本当に感謝しています。それに対する恩返しをしたいし、新潟を残留させるために全力でやりたい」。

 2人は昨季、名古屋でJ2降格を経験した。しかし、悔しさを味わう一方で学んだものもあるようだ。昨季の名古屋は序盤から低空飛行を続けていたが、シーズン途中に加入した男が、その悪い流れを断ち切った。一昨季限りで名古屋を退団しながらも、危機に瀕したチームに復帰して残留のために戦い続けたDF田中マルクス闘莉王(現京都)の背中から、磯村は感じ取るものがあったという。

「闘莉王選手が途中から入って来て、そういう(闘う)姿を近くで見ていた。自分にはそこまでのパワーはないけど、自分が近くで見たことを生かせたら良いと思ってここに来た」。闘莉王ほどの存在感を放つことはできないかもしれないが、自分にしかできないことがあるはずだ――。強い意志を持ち、チームの残留のために全てをぶつけようとしている。

 この日のドローでチームは連敗を6でストップさせた。残留圏となる15位甲府との勝ち点差は7。「去年の僕たちは勝ち点1に泣いた。本当に勝ち点1の重みを実感したので、今日はアウェーで勝ち点1を取れたことをプラスに捉え、来週はホームなので絶対に勝ち点3を取りたい」(大武)。“赤”から“オレンジ”へと戦闘服を着替えた2人が残留を目指すチームの起爆剤となるか。

(取材・文 折戸岳彦)
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