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昇格狙う松本で“現役大学生”がスタメン定着、DF下川「監督の言うとおりにやったらうまくいった」

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松本の特別指定選手として6戦連続スタメン出場中の大阪商業大DF下川陽太

[9.10 J2第32節 東京V1-2松本 味スタ]

 昇格へラストスパートをかける松本山雅FCで、現役大学生が6試合連続のスタメン出場。大学の夏休みを使い、特別指定選手として出番を重ねる大阪商業大DF下川陽太(4年)がプロの舞台で着実に存在感を増している。

 “無名”だった開幕前の時点で、来季の加入内定が早々に発表された22歳のJデビューはわずか1か月前、途中出場を果たした8月5日の第26節・湘南戦だった。そして、翌週の第27節・名古屋戦から6試合連続で先発起用。「実家から通える場所に」と選んだ大学入学時には「全く想像していなかった」という環境に身を置いている。

 しかし、当の本人には浮かれた様子は全くない。「いつも監督から『ラストボール(クロスやラストパス)の精度が雑』と言われているのが課題」と話すように、若手育成に定評のある反町康治監督の要求は高く、「余裕が出てくると甘えが出てきてしまうので……」と気を引き締め続ける毎日を過ごしているようだ。

 10日に行われた東京ヴェルディとの大一番も、週中の練習で反町監督から「『攻』から『守』の切り替えが遅い」と“カミナリ”を落とされた直後の一戦。それでも指揮官の信頼は厚く、これまで通りにスターティングイレブンに名を連ね、左ウイングバックのポジションでキックオフの笛を迎えた。

 アウェーに集結した松本サポーターを沸かせたのは前半10分。左サイドを駆け上がってからの鋭い切り返しで起点となり、FW工藤浩平につないでMFパウリーニョのチャンスを呼び込んだ。結果的にはオフサイドとなったが、「アップダウンと切り返しが特長」と自認する武器を見せつけた。

 後半14分には得点にも絡んだ。FW山本大貴が敵陣左サイドでボールを持つと、「前にスペースがあった」と同い年の相手MF安西幸輝を振り切り、全速力でスプリント。スルーパスを受けてさらに突破し、切り返しからのクロスは相手に阻まれたが、こぼれ球をFW高崎寛之がFW工藤浩平に落としてゴールが決まった。

 試合後の取材で「クロスは引っかかってしまったけど、浩平さんが流し込んでくれて良かった」と感謝を口にすると、信頼して送り出してくれた指揮官にも話は及んだ。「やっぱり監督の言うとおりにやったらうまくいった。攻守の切り替えが重要視されていた中で、そこに関しては出せたと思う」と笑顔を見せた。

 松本はこれで3連勝となり、ついにプレーオフ圏内の5位に浮上。下川が先発した6試合でも4勝1分1敗という好成績が続いており、デビューからわずか1か月にして、2年ぶりのJ1昇格に向けて大事なピースとなっている。

 しかし、そんな下川の“本業”は別の場所にある。大阪商業大が所属する関西学生リーグ2部は24日に後期日程が開幕するため、いつまでチームに帯同できるかは「まだ決まっていない。聞いてみないと分からない」(下川)というのが現状。「いまは来年のことよりも、目の前のことを考えている。やっぱりチームの目標であるJ1に上がりたい」と意気込む現役大学生は、その動向にも注目が集まりそうだ。

(取材・文 竹内達也)
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