beacon

東京Vは19歳FW藤本寛也をWB起用…信じた指揮官、やり切った本人の意図は

このエントリーをはてなブックマークに追加

ウイングバック起用された東京ヴェルディFW藤本寛也

[8.18 J2第29節 東京V0-0大分 味スタ]

 大分トリニータ対策として3-1-4-2のシステムを採用したこの日の東京ヴェルディ。3人の先発変更が戦術に影響したのも間違いないが、ここ最近主力の座を射止めているFW藤本寛也のウイングバック起用も驚きだった。この意図をロティーナ監督にぶつけてみた。

「まず寛也はウイングでもウイングバックでもなく、サイドがナチュラルなポジションだとは思っていない。彼のナチュラルなポジションはインサイドハーフです」。右ウイングの起用が続く19歳だが、指揮官は東京Vユース時代も担っていた4-3-3の2列目にあたるポジションが本職だと考えているという。

 だが、サイドに張りっぱなしになることも少なくない中、限られたスペースで生き抜ける戦術理解度とボールキープの技術はすでにJ2リーグでも通用している。「彼はアウトサイドでも良いプレーができる」という指揮官の言葉は、決して子ども扱いしているわけでもなさそうだ。

 この日の対戦相手である大分は基本的には中央エリアでの縦方向のパスを中心に攻撃を組み立てるが、そこで空いたサイドのスペースを使って“刺しにかかる”ような攻撃が武器。そこで「より大分にダメージを与えられるというふうに考えている」という狙いでウイングバック起用に至ったようだ。

「今日はウイングではなくウイングバックだったが、より長い距離を走ってディフェンスする必要があり、攻撃に行く時も距離がある。だが、彼にはそれを可能にするようなフィジカル能力があると考えている」。上下動のスピードや回数に長所を持つタイプではないが、この日もそんな言葉どおり、ボールに合わせたランニングを繰り返すことができていた。

 他方、当の本人の受け止め方はというと「守備をすることも大事なので、(新しい)引き出しになったと思う」と前向きなもの。「攻撃の時はいつもどおりだけど、低いポジションなので守備をちゃんとしないといけない。そこの準備だけするようにしていた」と勘所を見極め、不慣れなのは承知で試合に臨んでいたようだ。

 攻撃面では「縦パスは狙っていたけど、カットされるシーンが多かった。でも、ポゼッションをすれば、相手の攻撃する時間が短くなる」(藤本)と課題と収穫を得た模様。指揮官は「個人の能力を引き出すことは重要だが、時には選手がチームのプラスを考えて犠牲を払うことも重要」と指摘していたが、そんな思いを体現する若武者はこれからもプレーの幅を広げていきそうだ。

(取材・文 竹内達也)
★日程や順位表、得点ランキングをチェック!!
●2018シーズンJリーグ特集ページ

TOP