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激動の大分、6年間でJ1→J3→J1。唯一の“生き証人”MF松本怜「やっと戻って来れた」

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浮き沈んだ6年間の全てを知る大分MF松本怜

[2.23 J1第1節 鹿島1-2大分 カシマ]

 たった1年限りに終わった前回のJ1挑戦から6年、大分トリニータが再びトップカテゴリに戻ってきた。一時はJ3リーグにまで転落し、昇降格はそれぞれ2度ずつ。そうした波瀾万丈な6年間の全てを知る唯一の選手が、もうすぐ31歳の誕生日を迎えるMF松本怜だ。

 プロ生活を始めた横浜FMを離れ、J1昇格初年度の大分に移籍したのが2013年。そこから2度の降格でJ3に転落し、2度の昇格で再びJ1に帰ってきた。「この舞台を目標にしてきたし、やっと戻って来れたという感じ」。6年越しの悲願ともなれば、その感慨もひとしおだ。

 ただ日本のトップリーグに参加できるというだけでなく、J3時代の片野坂知宏監督就任以降、過去3年間で積み上げてきたスタイルへの自負がある。「自分たちのサッカー、片さんのサッカーは揺るがないものがある」。昨季のJ2で最多得点を記録した攻撃サッカーは今季もまったく変えるつもりはない。

 そして迎えた鹿島との開幕戦。「J1の舞台が初めてという選手が多いので、僕個人としては勝敗より、いかにみんなが課題を見つけられるかが一番だと思っていた」(松本)。6年前は第11節まで1勝もできず、圧倒的な最下位でフィニッシュ。日本のトップリーグが甘くないことは誰よりもよく分かっている。

 だがこの日、ピッチ上では6年前とは全く異なる光景が広がっていた。序盤から長短のパスで好機を連発し、前半18分に先制に成功。その後は想像以上のプレッシングを受け、一度は同点に追いつかれたものの、スタイルを貫き通して再び勝ち越し、6年前はあれだけ遠かった勝ち点3を初戦で奪ってみせた。

「怖がらずに自分たちのサッカーを徹底したからこういう結果が生まれた」。勝因は積み上げてきたスタイルをやり抜いたこと。試合前には「結果は二の次」という心構えもあったようだが、「みんな思っていた以上の手応えを感じられたのではないかと思う」とこれ以上ない結果を喜んだ。

 とはいえ、試合前に想定していた課題もしっかり見つかった。「ビルドアップで相手があれだけ来た中で、もっとうまく剥がせる場面もあったはず。後半はボールロストも多かったのでもっと剥がせるように精度を上げられればいい」。これからすべきこともスタイルの徹底、そしてレベルアップだ。

「J2だともう少しうまく剥がせたし、やっぱりうまいなという感じがした」。次々に課題を語る背番号7だが、その表情は晴れやか。「1試合1試合本当に楽しみだし、日本のトップで自分がやっていける自信をつけたい。チームとしてもいい成果を出せるようにしたい」。届かなかった6年間を思えば、目の前の課題でさえ幸せなハードル。プロ10年目、円熟味を増す大分の柱はこれからの33試合も恐れず、そして着実に戦い抜いていくつもりだ。

(取材・文 竹内達也)
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