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炎上呼んだ大分の「ケツ出せ」体操。仕掛け人に直撃! クラブも認めた『誤解』とは…?

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インタビューに応じた鈴木セリーナ氏

 6年ぶりのJ1リーグで躍進が続く大分トリニータは3月下旬、新たな公式ソングを発表した。その名も「トリニータイソウ」。小さな子どもをターゲットとした『体操ソング』のはずだったが、これがサポーターからの批判を呼んだ。その理由は歌詞が「下品すぎた」ためだ。

 新曲がお披露目されたのは、J1第5節広島戦が行われた大分銀行ドーム(現・昭和電工ドーム大分)。数日前からクラブ、所属選手、公式マスコットのSNSが総出でPRしていたこともあり、発表前、サポーターからの期待は最高潮に達していた。しかし、動画が流れ始めた途端にそんな温かい雰囲気が一変してしまう。

「けちらせケツ出せプリプリ♪ うんちかますぜブリブリ♪ けちらせケツ出せプリプリ♪ 今日もかいちょうブリブリ♪」

 地元ダンスチームに所属する子どもたちの可愛らしい振り付けとは対照的に、歌い出しからインパクトあふれるワードが連発。その後は所属選手たちも次々に登場し、「からあげみたいにアゲアゲ」「負けるなやったれトリニータ」と応援ソングらしい歌詞が続くものの、冒頭部分のショックは圧倒的だった。

 SNS上では次第に「下品すぎる」「二度と流さないで」「侮辱された」といった書き込みが見られるようになり、一部擁護する声も見られたが批判が優勢。4日後、運営会社『大分FC』の榎徹代表取締役社長が「子供たちが歌って踊れるものとして、大分トリニータとともに浸透していければ有難いと思っております」との声明を出す事態に発展した。

 もっともこの「トリニータイソウ」、当初はクラブが発案した企画ではなかった。仕掛け役を担ったのはクラブスポンサーを務める『apple ribbon』代表の鈴木セリーナ氏。生まれ育った地元サッカークラブを応援しようと、芸人のあべこうじ氏(妻の高橋愛氏が過去に大分を舞台とした映画に出演)が作詞の下、実現したものだ。

 サッカーメディア『ゲキサカ』では4月下旬、鈴木氏の単独インタビューを実施。企画の経緯、批判に対する思い、今後の対応などを約1時間半にわたって聞いた。すると、曲に込められていた真意のほか、プロモーション過程においてある種の「誤解」が生じていたことが分かった。

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―まず、制作に至った経緯を簡単に教えていただけますか?
「私はもともと『Dream5』というエイベックス所属のダンサー・ボーカルユニットの『重本ことり』という女の子が事務所から独立した時、大手を辞めて自分で仕事を取っていくのは大変なので、キャスティングのお手伝いをしていました。その時に大分トリニータが代理店を通して手を挙げてくださったのが始まりです。

 私が地元に住んでいた14年前までも、大分トリニータというサッカーチームはありましたが、試合は一度も見たことがありませんでした。そこで『まず見ていきませんか?』と言われたので見てみたんですが、『こんなに集客できるの?』と思ったんです。家に帰って調べてみると、実際にJ2(当時)のわりにものすごく集客が良いことが分かりました。

 ただ、それなのにサポーターの人たちは日本代表のような“替え歌”を歌っていたので『もしかして公式ソングがないんじゃね?』って思いました。そこでクラブに『公式ソングはないんですか?』と聞いてみたら『特にないですね』というふうに聞いたので、『じゃあ作りませんか?』と提案したという流れです」。

<鈴木氏が言う「替え歌」とはサポーターによる応援歌(チャント)のこと。サッカー界では既存の曲をアレンジして使うのが一般的だが、「サッカーを知らなかった」という鈴木氏には物珍しく映ったようだ。そうして楽曲の提案に至ったわけだが、当初は子どもをターゲットにした楽曲ではなく、既存サポーターに向けたものだったという。>

「既存のサポーターは50代の方が多いと聞いていて、クラブからはその人たちが喜ぶ施策をしようという話をしていただきました。もちろん、それはそれですごく良いことだと思いますし、既存のサポーターを維持するのは大事だと思います。ただ『そんな皆さんがいなくなった今後数十年間のことを考えていますか?』という話をさせていただきました。

 『コアファンの層が50代って、20年後は通えますか?』と。それはノーじゃないですか。その方々と代替わりしていくサポーターを育てないといけないと思います。そこで『まずはお子さんに向けた曲を作りましょう』という話をして、ざくっと見積もりをしてお話をしました。

 するとクラブからは『やる必要があるのは分かる』と。しかし、今度は『自分たちが曲を運営していく自信がない』という話になりました。楽曲というのは、自分たちが資産を持って、権利を管理して、お金に変えていかないといけないんです。ただ、そこを自分たちではできないという話だったので、話はいったん止まってしまいました」。

<話は一旦頓挫。しかし、クラブとの関係はその後も続き、重本ことりはホームスタジアムのイベントに何度も登場した。そして大分のサポーターからも一定の支持を得た。「重本を温かく迎えてくれた大分の方々に、何か恩返しをできないかという気持ちに変わってきました」(鈴木氏)。そこで出てきたのが『スポンサー』としての参画案だった。>

「こちらから申し入れたのが昨年です。すると向こうからは『えっ、でも、いいんですか?』と言われたんです。まあ、こちらからすると、そこは別に良くはないよねという話です。大分の企業じゃないし、東京に拠点を置いているので、大分で『apple ribbon』を広めることには何の価値もないんです。今後、大分に拠点を置くつもりもありません。

 だからその代わり、うちにできることをさせてほしいということで、公式ソングを作らせてという話を再度したんです。するとクラブは『制作費は出せない』と。ならば『うちが制作費も持つし、ジャスラックの登録もする。ただ、権利もこちらにあるので、盤(CD)が売れた時はロイヤリティのみになりますがいいですか?』という話をしました。すると『それでいいよ』という話になり、制作が決定しました」。

―そうして辿り着いた楽曲が思わぬ批判を呼びました。率直にどう思いますか?
「『うんち』について何か言われることは最初から分かっていました。でもコアファンがここまで喜ばないと思わなかったんです。実際はどう思っているのか分からないですよ。私たちの元に届く声はTwitterだけで、チケットを買っていない方も多いです。実際にダイレクトメッセージでは『大分に貢献してくれてありがとう』という声もありました。

 また、そもそもの話をすると『トリニータイソウ』だけが公式ソングで出たように思われがちなんですが、実は応援ソングの『GOGOゴール!!』との2曲をお作りしたんです。『GOGOゴール!!』はサポーター向けに作っていて、絶対に耳に入っているはずなんですよ。スタジアムの開門時にも流していて、外のニータンパークでも流していますから。

 なので試合に行っている方は絶対に聞いているはずなのに『トリニータイソウ』のことばかり言われるのが残念です。それはつまり、サポーターの方がトリニータがリリースしたものに興味を持っていないということなんですね。もしくはドームに行っていないサポーターの方がいろいろ言っているということだと思います」。

<サポーター向けの『GOGOゴール!!』と一般訴求用の『トリニータイソウ』。そこには確固たる住み分けが行われるはずだったが、サポーターの注目が『トリニータイソウ』のみに集まったことで、一気に批判の声が噴出した。鈴木氏はサポーターのそうした姿勢に危機感を覚えたという。>

「正直『GOGOゴール!!』への関心が低いというのが想定外で、私たちもそれに気付いていませんでした。当然知りたくもなかったです。そこが計算外でした。また、みんな『GOGOゴール!!』を知らないと言っているのでダイジェスト版をYoutubeに流してみたんですが、私たちが期待に応えた時は何も反応をしてこないんですよね」。

―サポーターには「自分たちのクラブ」という価値観があり、外部の人に「汚された」という思いはあったのだと思います。ある種、少し宗教的にも思える価値観かもしれませんが。
「実は芸能界でも同じなんですよ。コミュニケーションの取り方が違うだけです。私は普段は芸能の仕事をしていますが、キャスティングしたイベントが炎上することはよくあります。芸能人のファンでも『私たちが育てたのに!』と言う人はいますし、『うちのチームはこうあるべき』というフィルターをかけて見ちゃう人は多いんですね。

 その人たちのモチベーションを下げないまま付き合いつつ、サッカーというエンターテイメントもファンは常に増やせるように努力をしないといけない。そこが課題だと思って見ています。2002年のW杯の熱はどこに行ったんでしょうね。あの時のように沸いているように見えるのはアドバタイズがうまくいっていたからだと思うんです。

 私はサッカーファンじゃないので、一人のビジネスウーマンとして分析するに、昔のJリーグブームの時に好きになった人たちがずっとJリーグが好きで、増やすことがうまくいっていないんじゃないかと思っています。あと圧倒的なスターが居ないですよね。たとえば橋本さんでしたっけ?トリニータのストライカーの……」。

―藤本憲明ですかね。
「あの人なんか、すごいと思うんですよ。でもあの人を神がかってPRする人がいないというか、あれがカズの時代にいたとしたら、もはや神として扱われていたと思うんですよ。あれだけゴールを決めて、小学生も憧れるし。もちろんサッカーのコアファンは知っていますよ。でも外の人たちのアプローチができていないんですよね」。

―そうした「外の人の目線」が反感を買ったように思いますか?
「それはすごくあったと思います。やり始めてから大分の代理店とかメディアの方から『大分に拠点を置けないか?』という相談を受けました。そこはメリットを感じないのでできないなと思います」

<もっともサポーターに県外スポンサーへの関心がないかと言えば、そうではないというのが事実だ。昨年はサポーターの発案から『浅田飴』(本社・東京都)とのコラボが実現している。一方、地元『九州乳業』の製品をサポーターがこぞって買い集めているという事例もあり、地元スポンサーの強さも同時に感じられることは多い。>

「ほんと浅田飴さん、九州乳業さんと比べられることが多いんですよね。ただ、扱っている商品が違うので、同列に並べることは難しいです。トリニータの浅田飴が外で売られているわけじゃないので。実際、外で売れて初めて成功だと思うんですよね。スタジアムの中で売れてもね……。まあ、そこはJリーグの規約もあって難しいようです。

 ただ今回のCDに関しては、Jリーグの手続きを踏まずに一般流通できるんです。だからサポーターに一緒になって盛り上げて欲しいのに、そこの息が合わない。公式声明もトリニータとすり合わせて出しているのに、それすらも読んでいないんじゃないかという。『本当にみんなクラブに興味を持っているの?』と思います。

 長い目で見れば、いま応援するクラブがあればいいというわけじゃないと思うんです。自分たちがいなくなった後もうまく回ってほしいという気持ちが愛だと思うんですが、欲しい時だけすごく『欲しい欲しい』と言う。自分たちのクラブは20年、30年と続いていくんだよ?と思うんですが、なかなか伝わらなくて悩んでいます」。

―今後はそうしたサポーターに納得してもらえる方向を目指すのか、それともあくまでも外の人たちをターゲットとしていくのか、どちらをお考えですか?
「ちょうど今は分岐点に来ていると思っています。出すものは出しましたし、なかなか『にわかファン』じゃダメみたいなんですよ。『いつからファンなの?』って言われてしまうと……。このCDもスポンサー料と制作費を払うと、3万枚売らないとペイしないので、一企業としてやる価値があるかを考えないといけません。

 ただ、こうした企画をやり始めてから、大分トリニータというフットボールクラブも変わり始めていると思います。自分たちがリリースしたものでここまで賛否があるものは初めてだと思いますし、そういうところのトライはもう少しサポートさせていただきたいという思いがあります。

 あとはお子さま向けのアプローチですね。ただ、それにはサポーターの協力が必要なんです。それがなかなか得られない。もし『トリニータイソウ』を聞いて子どもが行きたいと言っても、サポーターから『昭和電工ドームで流すな』と言われているわけで、結局それだとサポーターは増えないんですね。なかなか難しいと思うこともあります」

―サポーターに理解してもらうための施策などはありますか?
「なるべく問い合わせが来たものに対して、返答することは続けています」

―サポーターの反応を見る限りでは、そうした返答時のやり取りが怒りを呼んでいる印象もあります。また先程も名前が出てきた重本ことりさんの反応も炎上気味でした。
「アイツは良いヤツなんですよ。良いヤツなんだけど、だから芸能人をやめちゃったというのがあるんですが、身内さえ良ければいいんです。彼女からしてみても、大分トリニータへの思いがある一方、一番可愛いのはセリーナなんですね。セリーナが悪口を言われているのが嫌なんです」。

―また歌手名が「しょうりのめがみ」と匿名になっていることで、全容が見えてこないという疑念も呼んでいるようです。
「もともと『トリニータイソウ』も重本名義で歌う予定になっていたんですが、彼女が引退をすることになり、トリニータのためを考えると重本のビジュアルがないほうが良いだろうという話になりました。もしこの先、私たちがブランディングを下りたとしても、重本の名前がないほうがチケット収益につながるのではないかと考えました。

 だから、決して隠したいわけじゃないんです。ただ『しょうりのめがみ』ってなっているのなら、最後までそれでいきたいです。子どもたちが『しょうりのめがみが歌ってるらしい』ってなれば面白いので。

 もちろん、匂わせるようなことはしていますけどね。『しょうりのめがみが降臨!』って感じで。ただ『ウルトラマンの中身が実は“佐藤さん”でした!』って言われたら、みんなビックリしますよね。それと同じです。それくらいの距離感を保ちたいところではありますね」。

―そういった点も含めて話題にしてもらえれば…ということですね。
「そこが伝わらないことが残念だと思っています。『GOGOゴール!!』がスタジアムで流れていることにすら気づいていないというか、トリニータが発信していることが届いていないことが残念です。楽曲についてのお叱りでも、厳しい意見でもそれについて嫌な思いはないですし、どんどんこのことについて提案してほしいんです。

 ある方からティティパンという選手のためにタイ語版を作ったらどうだ?と言われたことがあるんですが、それもいいなとは思います。提案をいただいたことは一回は考えています。まあ、タイ語に翻訳できる人をキャスティングできていないんですが、チームの通訳さんに頼むしかないのかな…とか(笑)。

 後は歌詞を変えてくれって言われるんですが、それはジャスラックに登録しているので無理なんです。しかし、替え歌をしようと言うハッシュタグができあがっていて、替え歌をして楽しんでいただいてもいいんです。そうやって提案していただいたことはトリニータとも共有しています。

 またこんなに運営側に無視されない炎上って珍しいと思うんですよ。だいたいの炎上は運営側から無視されて鎮火していくじゃないですか。私がプロデュースするものって炎上するものが結構多いんですが、私は無視しないで一個一個拾っていきますし、そこには次の企画のタネがあると思います。なのでご意見は頂戴したいと思っています」。

―そうしたブランディング手法に対してですが、サッカークラブでは「もっと格好良く、クールなやり方のほうが良いのでは」という見解もありそうです。
「クールなブランディングはすでにチケットを買える人たち向けですよね。ただ、こっちのやり方は知らない人に振り向かせるための、ある意味『洗脳』の世界です。お子さんがいるお母さま方からも意見をいただきますが、たしかに『うんちうんち』言ってる曲を自分の子どもが聞いて喜んでいたらうちも嫌やわって思います。それはよくわかります。

 たとえば少年漫画の『コロコロコミック』とか、大人になって読んでみたらもうお腹いっぱい…って感じですよね。ずっと『うんこ』と『ちんこ』ばっかり。でも、今でこそそう思う方も小さい頃から『コロコロ』のインパクトは残っていると思うんですね。だから、そういうやり方をやっていきたいと思っています」。

―つまり、少年が大人になった後、あれダサかったねーって意見になっても良いということですね。
「そうですそうです!『あの時アホなことやりよったね…』でいいんです。いまコロコロコミックを読んでみてください。あれを喜んで読んでいたような子も、大人になったいまは『全ページ読めない……』ってなるかもしれませんが、それでいいんです」。

―そうした企画なのであれば、あらかじめ『問題作』的な扱いでブランディングしておいたほうが理解も得やすかったような気がします。選手たちも含めて。真面目に新曲PRをしていましたが、たとえば公式マスコットのニータンが「この歌詞、大丈夫かな〜〜〜」と焦っているような、ゆるいノリのほうが前向きな話題になりそうだと思いました。
「まさに最初は大分のメディアさんに紹介したのですが、意外にもめちゃめちゃ真面目に取り扱ってくれたんですよ。一番食いついてくれたNHKさんは『お子さんが喜びそうなワードが入ってますね』って優しく言ってくれたりして(笑)。だから、みんなすごく期待してくれたみたいなんですよ。子どもが喜ぶかわいい歌なんじゃないかなって。私はその時『いや、それは違うんやけどな…』って(苦笑)」。

―その時点で誤解があったんですね。
「大分にはふざけた番組がなかったんですよね。福岡くらいまでいくといじってくれたりもするんだと思いますが、大分のメディアさんは『大分県出身の鈴木セリーナさんが総合プロデュース!』って大きく取り扱ってくださいました。

 だから毎日5本ずつの取材を受けたりしていたんですが、そういう反応をされるたびに『歌詞とかろくなもんじゃないけどこれでいいのかな』って思っていた部分もありました。みなさん、すごく真面目に拾ってくださるのでね。一応、私も『それでいいの?』とは言いましたが、みんな『これはトリニータの取り組みですから!』と言ってくださっていて……(笑)」。

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 鈴木氏の話によれば、事前プロモーションの段階から楽曲の位置付けに「誤解」があったということになる。そして、その誤解が今回の炎上劇の一端を担ったという流れだ。たしかに「どういった曲なのか」が広く認識されていれば、サポーターの受け入れ方も違っていただろう。それはクラブ側の認識も同様だった。

 鈴木氏のインタビューを終えた後、『ゲキサカ』では大分FCの榎社長にも取材を実施した。すると、以下のような見解が伝えられた。

「まさにトリニータイソウのプロモーションは違うやり方があったのかなと感じていたところでした。『炎上上等』でやるのか、そうでないのかで出し方は変わってきますが、クラブとして『炎上上等』というつもりはありません。だからこそ『お子さま向け』というのをもっと浸透させていく必要があったと思います」。

 クラブは現在、地元の幼稚園や保育園を訪問する際に『トリニータイソウ』の映像や音源を持参しているという。その際には「子どもたちはキャッキャッて喜んでいますが、大人の方には嫌がられる場合もある。子育て世代は五分五分、高齢層の方々になるとやや批判が多くなってしまう」(榎社長)というリアクションがあるようだ。

 ただ、そうした賛否が前向きに働いている部分もあるという。榎社長は「ここに来て大人の方にも『お子さま向け』という狙いがだんだん伝わって来た」という手応えも明かしてくれた。「発表前にしておきたかったし、ここまで2か月くらいかかってしまった」という後悔もまた本音だろうが、新たなトライが生んだ価値もあるだろう。

 だからこそ、こうした経験を次なる施策に活かしていく姿勢だ。

「これからもいろんなチャレンジはしていきたいです。今回は一部に失敗があったかもしれないですが、PDCAというものがあるじゃないですか。村井満チェアマンが言っていたんですが、実はそれは『PDMCA』だと。『M』はミス。失敗はしてもいいから、次のアクションを起こそうと。私たちもこの失敗を次のチャレンジに活かしていきたいと思います」。

 それも現状のサポーターを置いてけぼりにせず、新たな顧客に向けたアプローチを続けていきたいという考えだ。

「コアなサポーターというのはわれわれの生命線です。ただ、スタジアムに来たことのない人、年に一度だけ来る人にも興味を持ってもらいたい。そのためにはニーズを把握しないといけないし、対応していく努力をし続けないといけません。それが子どもたちなのか、相手チームに興味がある人なのか、格好いいユニフォームが好きな人なのか。それぞれに合った施策にどんどんトライしていきたいと思っています」。

(インタビュー・文 竹内達也)
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