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明治大MF森下龍矢は鳥栖へ…考え抜いた“大卒選手”という意味

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明治大MF森下龍矢

 来季からサガン鳥栖に加入し、念願のJリーガーとなる明治大MF森下龍矢(4年=磐田U-18)。27日の加入内定会見で大学4年間での成長を語り、そして“大卒”という肩書きの意味について持論を説いた。

 高校3年時にはU-18日本代表にも選出された森下だが、明大では苦難の年が続く。大学3年時の7月に行われたアミノバイタル杯のときには栗田大輔監督から叱咤を受け、ベンチからメンバー外にもなることもあったという。「3年の半ばの時期で出られないなんて絶対プロになれないじゃないですか。半強制的に考えざるを得ないシチュエーションを与えられました」。卒業まであと1年半。「自分が変わらなきゃ何も起こらない」と不貞腐れていた自分を戒めた。

 そこから自身に課していたシュート練習は、3年時の9月の総理大臣杯で結実する。3得点を奪い、総理大臣杯優勝に貢献した。「自分のためにやることってチームのためになるんだなっていうことをそこで学べた」。挫折から這い上がった森下は、入学時からライバル意識を持っていた中村帆高や安部柊斗ともさらに仲を深めていったという。

「しっかり話してみたらすごくいいところもたくさんあるし、大学生の良さって4年間の時間があるということ。積み重ねていくにつれて、相手の良さとかライバルの良さを認められるようになって、そこが成長の転機のひとつになる」。かつての自分を「プライドだらけ」と表現。だがその自覚が成長につながっていくと、4年生を迎える前のデンソーチャレンジカップで全日本大学選抜に選出され、さらに同大会で優勝という成長の証を手にする。そして、一般企業からの内定ももらっていた森下だが、4年時の夏に鳥栖加入を決意した。

 成長のスピードは人それぞれであり、また成長の形も人それぞれだ。ドリブルという武器を持ちつつ、森下は大学4年間を経て複数のポジションをこなすことができるようになった。「おそらく何かが足りないから“大卒”になっているわけで、自分勝手な奴じゃ何も意味がないんです」とその到達点の意味にひとつの答えを見出す。

「“大卒”としてどうやって活躍するんだって考えたときに、スペシャリストなんていっぱいいるじゃないですか。色んなところをこなせて、チームのために勝利のために、何かができる人間が“大卒”として求められる。どんなシチュエーションでもチームのために活躍できるっていうのを僕たちって求められている。僕はそういう道に進んでいこうと決めました」

 ただ、サッカーがめちゃくちゃ上手い、では大学4年間を経た意味がなくなってしまう。自分に何ができるのかを考えるということこそが“大卒”にできること。森下はそういう意味での“大卒”選手として、明大出身の大先輩・日本代表DF長友佑都の名前を例に挙げる。

「食事、トレーニングとめちゃくちゃストイックじゃないですか。そんなことを考えて自発的に動ける人って高卒からはなかなか生まれないと思います。何か劣等感があって、色んなものに対して批判的な目線で見て、何か自分にできることがないかって考えた末に、サッカーだけじゃなくてトレーニング、食事っていうところに目を向けるようになったと思うんです」

「色んなことを吸収して、色んなことに手をつけられる力を持っているのは、大学生のときに学べることのひとつかなって思っています」

 栗田監督は会見時、森下のキャラクターを「どこに行ってもすぐに溶け込める」と評価。森下自身も「お調子者。負けてもへこまない」とメンタルの強さを強調する。しかし「深くは考え過ぎないですけど、しっかり考えはしています」。大学4年間で考え抜いた森下龍矢という存在で、プロの世界に挑んでいく。

(取材・文 石川祐介)
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