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Jリーグのコロナ対策ガイドラインが完成!! サポーター関連の“必読部分”をまとめました

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 Jリーグは12日、新型コロナウイルス感染症対応ガイドラインの完全版を公開した。6月27日のJ2・J3リーグ再開・開幕、7月4日のJ1リーグ再開に向けて、さまざまな観点から守るべき基準を71ページで示したもの。再びスタジアムに行く日を待ちわびるファン・サポーターにおいても必読の資料だ。

 ガイドラインは全7章と付属文章で構成。①感染予防と、感染への対処②情報開示③Jクラブの活動段階と統一検査④サッカーのトレーニング⑤チームの移動、宿泊⑥無観客での試合開催⑦制限付きの試合開催—と記載は多岐にわたる。NPB(日本野球機構)と共同でつくる対策連絡会議の専門家・地域アドバイザー8人の助言を受けて策定した。

 以下では主にファン・サポーターに関連する主な項目をまとめた。

■①感染予防と、感染への対処
 この章では、新型コロナウイルスに感染しないため、また感染した場合の備えについて記されている。十分な手洗いや3密の回避といった感染予防の「個人防衛」を十分に行っても「感染を100%防ぐ手立てはない」ことを前提とし、周囲に感染を広げないことを含めた「集団防衛」の重要性が示された。

 選手に対しては毎日決まった時間に検温を行うことや、データを用いた体調管理、行動記録の徹底が要請されている。またファン・サポーターに向けては「観戦にあたって、発熱・咳・倦怠感などの症状を認めた場合にはスタジアムに行かない、という文化の醸成が求められています」と注意が呼びかけられている。

■②情報開示
 この章では選手・関係者に感染や濃厚接触が判明した場合、リーグ・クラブが行うべき情報開示の手続きが示されている。ファン・サポーターとは直接関係がない項目だが、見逃せないのがプライバシーに関する指摘だ。

 感染症法の条文を踏まえて「その際、感染症に関連してかつて患者やその家族等に対するいわれのない差別や偏見が存在した教訓から、個人の人権が損なわれることのないよう、情報保護等には十分留意が必要です」「『病歴』は個人情報のなかでも極めてセンシティブな、プライバシーがより保護されるべき情報です」と配慮が求められている。

■③Jクラブの活動段階と、統一検査
 この章ではJクラブの活動が8つのフェーズに分けられ、(1)在宅での個人トレーニング(2)練習場での個人トレーニング(3)グループ分けしてのトレーニング(4)チームトレーニング(5)無観客での試合開催(6)強い収容制限のある試合開催(7)収容制限のある試合開催(8)収容制限のない試合開催—と段階を踏んで通常活動に戻っていく過程が記されている。

 この分類においては、政府から5月末まで発令されていた「緊急事態宣言」や「特定警戒都道府県指定」に加えて、続いて発表された「イベント開催制限の段階的緩和の目安」が目安となる。段階的緩和においては3週間ごとにステップ1〜4のフェーズ分けがなされており、プロスポーツでは観客の迎え入れに関して以下の基準が用いられる。

【ステップ1/5月25日〜】開催できない
【ステップ2/6月19日〜】無観客
【ステップ3/7月10日〜】5000人または収容人数の50%(少ないほう)
【ステップ4/8月1日〜】収容人数の50%
※日付はいずれも目安。感染状況次第で後ろ倒しになる可能性も。

 さらにJリーグでは、ステップ3にさらに踏み込んで「間隔1m確保のうえ5000人以下」と定められた。また外出自粛に関しても政府は同様のフェーズを採用しており、ステップ3までは「観光振興は県をまたぐものも含めて徐々に」「人との間隔は確保」とし、本格的な観光解禁はステップ4の8月1日以降となった。

 なお、Jリーグ内に設置したPCR検査センターにおける統一検査のプロトコルもこの章に記されている。ファン・サポーターはもちろん対象外だが、選手・スタッフ・審判員・マッチコミッショナーを対象に2週間に1度の検査を実施。検査を受けなかった者、陽性が示された者は試合に登録できないレギュレーションとなっている。さらなる詳細は来週にも発表される。

■④サッカーのトレーニング
 この章では選手がトレーニングを行う際の注意点、遵守事項などが③でのフェーズ分けに合わせて詳細に示されている。グループトレーニング以降は「感染してしまうリスクをゼロにすることは、残念ながらできない」ということを前提とし、参加に関しては選手の意思を尊重しながら同意を得ることが求められている。

 ファン・サポーターに関係するのは「練習の公開」における項目だ。無観客試合までの期間は非公開とされているが、観客入場ができる試合を1週間後に控えた段階から公開が可能となる。その際には、入場前の体温測定で37.5度以上の場合は退去、本人や家族・同居者が直近14日間に感染の疑いがないこと、緊急時の連絡先提出など、さまざまな制限が行われる。

■⑤チームの移動、宿泊
 この章では選手・関係者らの移動、宿泊においての注意点と遵守事項が記されている。「Jリーグのチームは常に健康状態をモニタリングしている集団であり、チーム単位での移動は安全性が高い」とされ、航空機・新幹線・バスでの移動が許可。一方、宿泊においては「食事会場はチーム専用」「使用する部屋は事前に消毒」など宿泊施設に求められる手続きが列挙されている。

■⑥無観客での試合開催
 この章では、ステップ2の期間(目安:6月19日〜7月9日)における無観客での試合開催手続きが記されている。「来場をご遠慮いただく方」の項目にはファン・サポーターだけでなく、来賓、パートナー・スポンサー企業、マスコット、選手・関係者の家族、仲介人・代理人、マネジメント、サプライヤー、他クラブのスカウティングスタッフなども入っている。

 「スタジアム内外の掲出および装飾」という項目では、スポンサー看板やバナー、「ダンボールサポーター」企画等の制作物などがクラブスタッフ主導のもと許可された一方で、ファン・サポーターによる横断幕の掲出は「制作・受け渡し時の感染防止の観点」から、クラブが預かっての掲出も含めて禁止されている。

 また入場時の混雑を防ぐため、両チーム選手と審判員は試合前セレモニーを行わない他、チームベンチは1席空けて座る、ゴールセレブレーションは社会的な距離(できるだけ2m、最低1m)を保って実施するなど、さまざまな制約も定められている。ファン・サポーターにとってはテレビなどを通じ、普段とは異なる景色を見ることになりそうだ。

 なお、さらに重要だとされているのは「無観客」を実現させることだ。ガイドラインでは「無観客であればJリーグ試合を安全に開催できることを、社会に向けて実証することが重要」と明記され、「ファン・サポーターの皆さまが三つの密をつくってしまうおそれがない ことを示していただくこと」が要請されている。その際、求められているのは以下の3点だ。

・スタジアムまたはその周辺に来場しない
・できるだけ家にとどまって、モバイル機器、テレビを通じて応援する
・友人と一緒にテレビ観戦する場合も、対面にならず、会話を減らし、マスクをして、社会的距離を確保する

 またスタジアム外の横断幕掲出も禁止されており、これらの協力要請が遵守されない場合は「試合延期措置等を検討することも考えられます」と厳しい指摘もなされた。そして無観客試合の間はパブリックビューイングの実施も禁止されている。

■⑦制限付きの試合開催
 この章では、ステップ3〜4期間(目安:7月10日〜)における観客を招いた試合開催の手続きが記されている。ステップ3が「超厳戒態勢時(強い制限)」、ステップ4が「厳戒態勢時(緩和された制限)」と定義され、それぞれにおいてファン・サポーターの入場数や注意点、遵守事項が設定されている。

 「超厳戒態勢時(強い制限)」はアウェーサポーターの観戦は不可。ビジター席の設置はなく、アウェイチームのユニフォーム・グッズを着用しての入場・観戦も認められない。アウェーサポーターの観戦は「厳戒態勢時(緩和された制限)」で一部解禁される。その他、応援スタイルの制限など、以下でさまざまな平時との違いがある。

▼応援スタイル
・容認されるもの
横断幕掲出

・禁止されるもの
応援を扇動する
歌を歌うなどの応援、指笛
手拍子
タオルマフラー、大旗含むフラッ グなどを"振る"もしく"回す"
トラメガを含むメガホンの使用
太鼓等の鳴り物
ハイタッチ、肩組み
ビッグフラッグ(空席は容認)

▼チケッティング
・超厳戒態勢(目安:7月10日〜31日)
座席間隔:半径1m以上
観客数:5000人または収容人数の50%(少ないほう)
席割り:クラブが決定
ビジター席:設置なし
チケット販売法:一般販売の有無はクラブが決定

・厳戒態勢(目安:8月1日)
座席間隔:1席程度
観客数:収容人数の50%
席割り:クラブが決定
ビジター席:設置する(人数は検討中)
チケット販売法:一般販売あり

▼求められること(※超厳戒・厳戒で同じ)
(1)無理な来場は、勇気をもって、見合わせる
(2)入場時に体温を測定し、37.5度以上の場合は入場不可
(3)社会的距離(できるだけ2m、最低1m)を確保する
(4)マスクを準備・着用する
(5)手洗い、手指消毒をこまめに行う
(6)観戦時は移動禁止

▼スタジアム入退場(※超厳戒・厳戒で同じ)
(1)待機列が「密」にならない
(2)手荷物検査はファン・サポーターが荷物を開け、運営側は荷物に触れない
(3)チケットもぎりはファン・サポーターが行う
(4)飲料の移し替えはカップを触れる前に消毒

▼売店
・超厳戒態勢(目安:7月10日〜31日)
ビン・カン・ペットボトルの既製飲料のみ販売

・厳戒態勢(目安:8月1日)
アルコールを除く飲食・グッズ販売が解禁

▼イベント開催
・超厳戒態勢(目安:7月10日〜31日)
全面禁止
マスコットのグリーティング不可

・厳戒態勢(目安:8月1日)
社会的距離(できるだけ2m、最低1m)に十分配慮して実施
マスコットのグリーティング不可

▼喫煙所
・超厳戒態勢(目安:7月10日〜31日)
設置しない

・厳戒態勢(目安:8月1日)
場所と時間制限付きで設置

 以上がJリーグによる新型コロナウイルス感染症対応ガイドラインのファン・サポーターに関連する主な部分だ。もっとも、これはあくまでもJリーグの統一基準。県をまたいだ移動やサポーターの入場数制限は各都道府県知事や自治体首長の姿勢にも大きく依存する。

 Jリーグの環境整備プロジェクトリーダーを務める藤村昇司氏は12日の報道陣向けオンラインブリーフィングで「感染状況や医学の所見は常に変わる」とした上で「より良い対応をしていく」と説明。「Jリーグが一律で旗を振っても、地域に応じて感染状況が違うことも想定される。自治体が最終判断になる」とガイドラインと異なる運用がなされる可能性にも言及した。

 また入場数制限が行われる際のチケット販売に関しても、入場が優先されるとみられるシーズンチケットの販売数やファンクラブの加入者数が、全56クラブでは大きく異なるため、限られた5000席をどう配分するかを一律に定めることは難しい。そのため、最終的な確定情報はクラブの公式サイトをチェックする形となりそうだ。

 新型コロナウイルス感染症対応ガイドラインの全文はJリーグ公式サイトに掲載。

(取材・文 竹内達也)
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