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キックオフ直前に陽性疑い判明…Jリーグが2度目の中止決断、緊急会見で鳥栖の発熱者や新たな検査法にも言及

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Jリーグの村井満チェアマン(上段)、大宮の森社長(下段左)、福岡の川森社長(下段右)

 Jリーグは2日、キックオフ直前で中止が決まったJ2第9節のアビスパ福岡大宮アルディージャ戦に関する緊急オンライン記者会見を開き、村井満チェアマンと両クラブ実行委員が出席した。同日にはJリーグが全選手らに実施しているPCR検査の結果、福岡の選手1人に「陽性の可能性が非常に高い」という判定が下されていた。陽性かどうかは医師の判断をもって決定する。

 検査結果は同日午後5時に判明。キックオフが2時間後に迫っていたが、「医師による陽性診断がなされた場合に、試合開催前に濃厚接触者の特定ができない」ことから、Jリーグが試合中止を決断した。Jリーグでは6月27日の再開以降、中止決定は7月26日のJ1第7節サンフレッチェ広島対名古屋グランパス戦に続いて2例目となった。

 会見に出席した大宮の森正志代表取締役社長は「私自身も残念ですし、来場いただいた方や、さまざまな形で応援いただいているファン・サポーターも残念な気持ちでいっぱいだと思う。ただわれわれにはなんとしても安心、安全なスタジアム運営を行わないといけない使命がある」と説明。NACK5スタジアムにはサポーターが集まっていたが「即座に入場を止めて中止を発表し、安全にファン・サポーターにお帰りいただいた」という。その上で「コロナの感染はいつ何時感染するのかが分からない厳しい状況だというのをあらためて痛感した。クラブ内でも気を引き締めて取り組んで参りたい」と今後の見通しを語った。

 福岡の川森敬史代表取締役社長は冒頭で「ご心配とご迷惑をおかけしましたことをお詫びしたい」と陳謝。当該選手は試合前の検温でも体温36.2度で自覚症状はなく、「行動履歴アプリで確認したところ、自治体から注意を促されている行動はなかった」という。陽性の連絡を受けて以降は当該選手をチームメートらと隔離。川森社長は今後に向けて「安心安全を考え、保健所の指導に従い運営して参りたい」と語った。

◆検査結果が判明するまでの経緯
 Jリーグが選手・コーチングスタッフ・審判員ら全員を対象に行っている公式検査は通常、2週間に一度の金曜日に検体採取を行い、翌火曜日に結果が判明するスケジュールとなっている。ところが今回は異例の日曜日発表に至った。

 この背景には今月1日、U-19日本代表候補合宿のため集合した選手1名から陽性反応が確認された事例が関係していた。この日の午後、FC町田ゼルビアから陽性者がFW晴山岬であったと公表されたが、前日の時点でJリーグ側もこの件を認識。検査センターに対し、前倒しで調査してほしいという「極めて異例の対応」(村井チェアマン)を申し出たのだという。

 これを受けて検査センター側は「マネジメントするスタッフが土日返上でラボに詰めて、特定のクラブだけ早く出す」(藤村昇司Jリーグ特命担当部長)という作業に着手。この結果、町田の陽性者は晴山のみだったことが確認された。なお、町田は1日の時点から濃厚接触者の特定を始めており、今節アウェー京都戦の遠征メンバーに入っていないことが確認できたことから、予定どおりに試合を開催している。

 こうした作業の中で、同じJ2リーグに所属する福岡の結果も副産物的に判明した。検査センターから報告が入ったのはキックオフ2時間前という直前だったが、「陽性だとした場合、濃厚接触が起こっている可能性が否定できないため中止の判断をした」と村井チェアマン。広島対名古屋戦と同様、濃厚接触の懸念を見込んでの中止決定だった。

◆FC東京対鳥栖の事例にも言及
 今回の前倒し検査では、7月31日に遠征メンバーの発熱が見られたサガン鳥栖の検体も対象となっていたという。今月1日に行われた第8節の試合後、FC東京の長谷川健太監督がオンライン会見で発言したことから判明した事案だが、試合前の時点でJリーグ側は「陰性」の検査結果を受け取り、クラブ側にも伝達していたという。

 それでも村井チェアマンは「試合開始に踏み切ったが、監督として全てがメンタルに作用するという不安な状況はこちらも認識している。そういった不安を払拭できる努力をしていきたい」と理解を示し、「試合開始前に全員検査をして、陰性の選手が戦うという解決ができる部分もあるのかもしれない」とアイデアを語った。

 たとえばU-19日本代表合宿の際にJFA(日本サッカー協会)が採用していたSmartAmp法の導入だ。JFAの反町康治技術委員長によると「検体を取ってから1時間弱で陰性か陽性か分かる」という新手法。これについて「JFAの判断を学びながら認識している」と述べた村井チェアマンは「実効性と速度、コスト。大至急、検討に入りたい」と意気込みを示した。

 また村井チェアマンは会見の最後に「安心安全な中で競技会を行っていこうと思っていますし、それに基づいた行動を行っていく」と説明。シーズン再中断の可能性については「競技会は継続できると考えているし、5000人収容であれば社会的にも許容できる範囲と考えている。現状のガイドラインをベースに注意を呼びかけていきたい」と否定した。

(取材・文 竹内達也)
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