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ビデオ判定が再スタート! 浦和&C大阪のゴール取り消し、鳥栖はPK獲得:J1第1節VARまとめ

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オンフィールド・レビューを行う高山啓義主審

 J1リーグは2月26〜28日、第1節の10試合を各地で行った。今季のリーグ戦は優勝争いに加えて、「降格4枠」という厳しいレギュレーションが注目ポイントとなりそうだが、ビデオ・アシスタント・レフェリー(VAR)の再導入も大きなトピック。開幕節ではさっそく3度の介入事例があり、勝敗に関わるような重大な誤審を防ぐのに寄与していた。

 VARの介入事例は以下の3回。主審がピッチ脇モニターで該当シーンを再確認する「オン・フィールド・レビュー」が2回、VARの助言のみで該当シーンを再確認する「VARオンリー・レビュー」が1回だった。

①2月27日 浦和 1-1 FC東京 @埼玉(得点に関する判定)
 0-0で迎えた前半5分、MF小泉佳穂(浦和)のスルーパスに抜け出したFW杉本健勇(浦和)がドリブルで切れ込み、ゴール左斜め前からシュートを流し込む。担当副審はオフサイドフラッグを上げていなかったが、ここでVARが介入。VARオンリー・レビューの末に杉本がオフサイドポジションにいたことが確認され、ゴールは取り消された。

担当副審:唐紙学志
VAR:飯田淳平
AVAR:聳城巧

②2月27日 湘南F 0-1 鳥栖 @レモンS(PKに関する判定)
 0-0で迎えた後半29分、ペナルティエリア内右で折り返したMF飯野七聖(鳥栖)がDF高橋諒(湘南)と接触して転倒する。プレーはそのまま継続され、FW林大地(鳥栖)のシュートをGK谷晃生(湘南)がファインセーブしたが、アウトオブプレーになったタイミングでVARが介入。オン・フィールド・レビューの結果、主審は判定を修正し、鳥栖にPKを与えた。鳥栖はこのPKを林が決め、これが結果的に決勝点となった。

主審:高山啓義
VAR:岡部拓人
AVAR:五十嵐泰之

③2月27日 C大阪 2-0 柏 @ヤンマー(得点に関わる判定)
 0-0で迎えた前半28分、MF奥埜博亮(C大阪)のヘディングシュートが枠外に流れ、ゴール前に詰めようとしたDF丸橋祐介(C大阪)の手に当たり、ボールはポストに当たって跳ね返る。そのままプレーは続行し、混戦の中からDF瀬古歩夢(C大阪)が押し込んだが、ここでVARが介入。オンフィールド・レビューの結果、主審は丸橋のハンドを認めてゴールは取り消された。丸橋は「ボールを手または腕で扱って得点をしようと試みる」反則に該当するとして、イエローカードが提示された。

主審:村上伸次
VAR:小屋幸栄
AVAR:柿沼亨

 これらの事例はいずれも、得点に大きく関わる誤審をVARの介入で未然に防げた形。また浦和対FC東京、湘南対鳥栖戦では勝敗に直結する判定修正となっており、昨季はコロナ禍で運用停止を強いられていたVARの再導入が効果を発揮したと言える。

■その他、VARチェックで中断したシーン
 上記のレビュー時以外においても、VARは常にピッチ上のプレーに目を光らせ、重大な誤審に対するチェックを行っている。時にはVARのチェックを待つため、主審がプレーを中断させるケースもあるが、開幕節の10試合では12回の中断事例があったようだ。これらはいずれもVARが映像をチェックしたが、主審・副審の判定が正しかったというケースにあたる。(※事例抽出はJリーグ公式サイトのテキスト速報を参照)

(1)2月27日 J1第1節 札幌 5-1 横浜FC @札幌ド(レッドカードチェック)
 後半2分、ロングボールを競り合った札幌のDFキム・ミンテと横浜FCのFWクレーベが空中戦で交錯。キムの顔面に腕が当たったクレーべにイエローカードが出された。レッドカードの疑いがあるためか、今村義朗主審は耳に手を当てていったん再開を止めたが、すぐにリスタートとなった。

(2)2月27日 J1第1節 浦和 1-1 FC東京 @埼玉(PKチェック)
 前半36分、ペナルティエリア右に入った浦和FW杉本健勇のクロスボールが、間近でブロックに入ったDF渡辺剛の身体の前にある腕に直撃。PKの疑いがあるとして、木村博之主審は耳に手を当てる仕草でVARのチェックを待ったが、ノーファウルのまま試合は再開された。

(3)2月27日 J1第1節 浦和 1-1 FC東京 @埼玉(ゴールチェック)
 後半42分、FC東京はMF三田啓貴のFKに反応したDF森重真人がヘディングでゴール。副審はフラッグアップせず、VARチェックが入ったが、映像でもオンサイドが確認されて得点が認められた。

(4)2月27日 J1第1節 広島 1-1 仙台 @Eスタ(PK、レッドカードチェック?)
 後半8分、右からのクロスに反応した仙台のMF関口訓充が、ペナルティエリア内で広島のDF野上結貴と交錯して左目のあたりから出血。家本政明主審が再開を制止した。映像では野上の右手が関口の顔面に当たっていたが、故意ではないとみられ、広島のゴールキックで試合が再開された。

(5)2月27日 J1第1節 広島 1-1 仙台 @Eスタ(PKチェック?)
 後半38分、仙台のMF上原力也の左コーナーキックは広島GK大迫敬介がキャッチ。素早くカウンターを始めたが、仙台がカバーリングしてタッチラインに逃れた。ここで家本政明主審がリスタートを制止。VARチェックが入ったのは、仙台CK時のゴール前の競り合いで仙台MF吉野恭平と広島DF荒木隼人が競り合った場面とみられるが、すぐにノーファウルで試合再開となった。

(6)2月27日 J1第1節 大分 1-1 徳島 @昭和電ド(ゴールチェック)
 後半14分、大分はDF坂圭祐からのフィードを受けたMF井上健太が右サイドを突破し、折り返しを受けたMF町田也真人が左足シュート。相手のブロックの跳ね返りをFW渡邉新太が決めた。ここで清水勇人主審がキックオフを制止。井上が突破した場面のオフサイド疑いか、渡邉のシュート時にオフサイドポジションにいたFW高澤優也の相手選手への影響が争点とみられるが、VARチェックを経てゴールが認められた。

(7)2月27日 J1第1節 大分 1-1 徳島 @昭和電ド(PK、レッドカードチェック?)
 後半21分、大分側ペナルティエリア内のボールとは関係ないところで大分のDF三竿雄斗と徳島のFW垣田裕暉が交錯。垣田が左ももを痛めており、「見逃された重大な事象」とされてか、清水勇人主審がプレー再開を止めた。だが、VARチェックの結果、PKやレッドカードの判定はなし。大分のスローインでリスタートとなった。

(8)2月27日 J1第1節 湘南 0-1 鳥栖 @レモンS(ゴール、PKチェック)
 前半30分、鳥栖はDF中野伸哉の浮き球パスにFW林大地が抜け出すも、競り合って倒れ込んだDF石原広教の腕に当たる形で阻止された。林はハンドがあったとアピールしたが、ここで平間亮副審はフラッグアップ。高山啓義主審はいったん再開を制止し、PKとオフサイドのVARチェックが入ったが、判定は覆らずに湘南の間接FKでリスタートとなった。

(9)2月27日 J1第1節 湘南 0-1 鳥栖 @レモンS(レッドカードチェック)
 後半21分、鳥栖はDFファン・ソッコの縦パスを受けたMF樋口雄太が湘南MF田中聡のチャージを受けて転倒。プレーが切れたタイミングで高山啓義主審がリスタートを止めた。一連のプレーでゴール、PKに関わるシーンはなかったため、レッドカードのVARチェックが入ったとみられるが、すぐにノーカードで再開された。

(10)2月27日 J1第1節 C大阪 2-0 柏 @ヤンマー(レッドカードチェック)
 前半35分、最終ライン裏に抜け出したC大阪のFW大久保嘉人を柏のDF上島拓巳が後方から倒し、村上伸次主審はレッドカードを提示した。直後、VARチェックでいったん試合が中断されたが、原判定が支持された。

(11)2月27日 J1第1節 C大阪 2-0 柏 @ヤンマー(ゴールチェック)
 後半40分、C大阪はGKキム・ジンヒョンのロングキックをFW加藤陸次樹が頭でそらし、MF奥埜博亮、FW高木俊幸がつないで波状攻撃がスタート。加藤のシュートは右ポスト、高木のシュートは相手DFに阻まれたが、跳ね返りをFW坂元達裕が決めた。村上伸次主審はいったんキックオフを止め、VARによるオフサイドのチェックを待ったが、結果的にゴールが認められた。

 こうした「チェック」事例の中で、VARが判定の修正につなげることができるのは①ゴール②PK③一発退場④人違いの4事象における「はっきりとした明白な間違い」や「見逃された重大な事象」のみ。どちらとも取れる微妙な判定については主審の判定が尊重されるということを、あわせて確認しておきたいところだ。

(文 竹内達也)
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