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2021-22年の競技規則が正式発表! ハンドで主審の裁量拡大、7月以降に新ルール移行へ

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 国際サッカー評議会(IFAB)は18日、今月5日にオンラインで行われた第135回年次総会で承認された2021-22シーズン競技規則の改正点を公式サイトで公開した。英語、ドイツ語、フランス語、スペイン語の4言語版。日本語版は日本サッカー協会(JFA)が翻訳し、例年夏ごろの適用開始を前に公開されている。

■ハンドに大幅な改正

 今回の改正のなかで、もっとも大幅な変更があったのは第12条・ファウルと不正行為における「ハンド」の項目だ。2019-20シーズンに大きく書き換えられていた項目が一気に削除され、ハンドの定義づけが簡素化された。その上で「競技者の手や腕がボールと接触した場合でも、すべてが反則になるわけではない」という原則が新たに明文化され、接触=ハンドという誤解にストップがかかっている。

 簡素化された条文では「競技者が次のことを行なった場合、反則となる」というハンドの定義がシンプルなものになった。

 ハンドとなるのは主に①手や腕をボールの方向に動かし、手や腕を用いて意図的にボールに触れる、②競技者の体を不自然に大きくした状態で手や腕でボールに触れる、③GKを含めて、偶発的であっても、手や腕から相手チームのゴールに直接得点する、④偶発的であっても、ボールが自分の手や腕に触れた直後に相手ゴールに得点する—という4つの場合。「競技者の手や腕が肩の位置以上の高さにある」といった“位置”に関する規定は削除された。

 加えて②競技者の体を不自然に大きくした状態で手や腕でボールに触れる—という要件の定義づけも明記された。そこでは「特定の状況において、競技者が身体を動かしたためではなかったり、動かし方が正当でないと判断されたりした場合、競技者が手や腕を不自然に大きくしたと考えられる。競技者がそうした位置に手や腕を動かした場合、手や腕に当たった際にハンドの反則が取られるリスクがある」という記述が新たに誕生。これまでのように手や腕の位置でハンドの有無を判定するのではなく、主審の裁量が広がる形となった。

 また「偶発的にであっても、ボールが味方競技者(チームメート)の手や腕に触れた後に得点した場合」「偶発的にであっても、ボールが自分や味方競技者の手や腕に触れた直後に得点機会を作り出す」といった要件も削除。19-20シーズンの改正で誕生していた、攻撃側が無条件にハンドが取られる範囲が狭まった。

■そのほかの主な改正点

・退場要件の拡大
 退場要件にある「攻撃的な、侮辱的な、または、下品な発言や身振りをする」という条文が見直し。「身振りをする」という文言が「アクションをする」となり、行為の対象が広がった。たとえば言動もこの中に含まれるとみられる。

・アディショナルタイムの算出法
 「主審は、以下のように前半、後半に空費されたすべての時間を追加する」という条文が「主審は、以下のように前半、後半に空費されたすべての“プレー”時間を追加する」という文言に変更された。たとえば試合終了間際に残りの試合時間より長くプレーが停止された場合など、アディショナルタイムは残されたプレー時間を指すものであり、停止されていた時間そのものを追加するわけではないということを確認する意味合いの改正となる。

・オフサイドにおける手や腕の境界線
 オフサイドの項目に「腕の上限は脇の下の最も奥の位置までとする」というハンドと同様の文言が新設。VARの導入で厳密な判断が要求されることもあってか、手や腕は反則の対象外になるオフサイドの項目でも念押しする形となった。

・不当なバックパス
 間接FKにあたる反則に「競技者が競技規則の裏をかいて、(フリーキックやゴールキックを含め)意図的に味方のゴールキーパーに頭や胸、膝などでボールをパスする」行為が追加。これまではゴールキックでこうした行為がみられた場合、ゴールキックのやり直しだった。またGKによってこの行為が行われた場合、イエローカードが出されることになった。

■いつから適用?

 施行日は2021年7月1日。例年は6月1日だが、「選手・コーチ・関係者が変更に慣れる期間を長くするため」として1か月延長されている。もっとも、例年は適用に一定の猶予期間を設定。秋春制の欧州各国リーグでは新シーズンの開幕から、春秋制のJリーグでは毎年7月末から新たなルールが導入される。

(文 竹内達也)
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