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浦和0-3負け扱いもMC処分なし…Jが経緯説明「正しくエントリーする義務はクラブにある」

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中村清競技・運営部長が説明

 Jリーグは1日、6月20日に行われたJ1第18節の浦和レッズ湘南ベルマーレ戦で、エントリー資格のなかった浦和GK鈴木彩艶が試合に出場していた問題について、メディアブリーフィングを行った。Jリーグは同日、浦和は0-3での負け扱いとし、けん責の処分を下している。

 Jリーグでは現在、公式戦出場のためには定期的に実施されるJリーグ公式検査を受けることを義務付けているが、鈴木はU-24日本代表に招集されていたため受検できなかった。そうした場合、JFAによるPCR検査の結果をもってJリーグに申請することで、エントリー資格の認定を得ることが可能だったが、「クラブの認識不足」(浦和)が原因でこれを怠っていたという。

 Jリーグはこの件を受けて、規律委員会が懲罰を決定。当該試合は浦和が2-3で敗れていたが、試合結果が0-3に変更された。一方で個人記録の修正はなく、浦和FWキャスパー・ユンカーに記録されていた2ゴールは抹消されないという。また鈴木本人への処分は行われなかった。

 メディアブリーフィングではJリーグの黒田卓志フットボール本部長、中村清競技・運営部長が出席。今回の件に至る経緯を説明した。

 Jリーグ側は6月14日午後8時、エントリー可能者リストをアップロード。この中に鈴木は入っていなかった。したがって浦和は鈴木を出場させたい場合、17日午後6時までに指定公式検査未受検選手のエントリー資格認定申請を行う義務があったが、これを行っていなかった。

 試合当日、浦和はキックオフ150分前にメンバー用紙を提出。これを受けて、マッチコミッショナーがクラブから提出されたエントリー可能者リストと照合し、チェックを行っていたが、「エントリー確認が不十分」(中村部長)だった。その結果、鈴木は湘南戦に出場し、エントリー資格がないにもかかわらず90分間フル出場した。

 黒田本部長によると、エントリー資格がない選手を出場させた場合は、最大で「個人に1か月の出場停止、出場させたクラブも1か月の出場停止、0-3の負け扱い」の処分。一方、今回のケースではクラブ・選手ともに「悪意はなく、ケアレスミス」だったことで、処分が大幅に軽減されたという。

 一方、試合結果においては0-3の負け扱いという厳しい処分が下った。黒田本部長は「試合の取り扱いはこの規定の肝となるところで、ここを軽減してしまうと懲罰規定が骨抜きになる。出場できない選手を出場させた試合は無効な試合と考えるべきということで、0-3の負け扱いというところは軽減できないという考えで、今回の懲罰に至った」と説明した。

 また「エントリー確認が不十分」だったマッチコミッショナーには処分は下されなかった。

 黒田本部長は「正しくエントリーする義務はクラブにある一方で、マッチコミッショナーに義務はない」とした上で、「両クラブが公正な状態で試合ができるように務めるという立場でチェック機能を持たせている。怠っているからといって規律委員会から罰を受ける立て付けにはなっていない」と説明した。一方、エントリーチェックのポイントを全マッチコミッショナーに再共有済みで、研修会でも再発防止に向けて再徹底を図るという。

 なお、得点者やカード、出場時間などの個人記録が残るという取り扱いは過去の事例をもとに判断したという。この決定はJリーグでは初めて。黒田本部長は日本代表の国際試合(2014年のキリンチャレンジ杯・ベネズエラ戦などが該当)、天皇杯の山梨県予選(2021年の山梨学院大学ペガサス対韮崎アストロス)の例を挙げた。

※「裁定委員会」→「規律委員会」に訂正いたしました。(7/1 16:53)

(取材・文 竹内達也)
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