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浦和がCASへ提訴…“没収試合”扱いに「懲罰規程の適用に誤りがある」

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 浦和レッズは19日、今年6月のエントリー手続不備事案に伴い、Jリーグから下されていた懲罰に関して、スポーツ仲裁裁判所(CAS)に提訴したと発表した。浦和はJ1第18節の湘南戦で公式戦エントリー資格を持たないGK鈴木彩艶を出場させたため、湘南戦は没収試合とされ、0-3での負け扱いとなっていた。

 浦和は今回の懲罰について日本サッカー協会(JFA)の不服申立委員会に対して不服申し立てを行っていたが、JFA懲罰規程第36条の「不服申立可能な懲罰」に該当しないとして却下されていた。

 今回のエントリー手続不備違反の発端は、Jリーグ公式の新型コロナウイルス検査に伴うもの。コロナ禍の公式戦開催において、Jリーグはエントリーする選手・スタッフに対して公式検査を受けることを義務付けているが、鈴木はU-24日本代表に招集されていたため受検できなかった。そうした場合、JFAによるPCR検査の結果をもってJリーグに申請することで、エントリー資格の認定を得ることが可能だったが、クラブがこれを怠っていた。

 浦和は提訴に際しての声明で「エントリー手続不備については浦和レッズに責任があり、反省すると共に相応の処分については受け入れます」とクラブの責任を認める。その一方で、Jリーグが下した没収試合処分に関して「懲罰規程の適用に誤りがある」と主張している。

 浦和の主張によると、適用に誤りがあったのは、没収試合処分の根拠となっていた『競技及び競技会における懲罰基準3-3』の「出場資格の無い選手の公式試合への不正出場(未遂を含む)」という条文。今回のエントリー不備事案の対象になった鈴木は「出場資格の無い選手」にあたらないという見解だ。

 浦和が示したその根拠は、Jリーグ規約で定められている「出場資格」の要件。(a)Jリーグ規約第48条第1項、(b)実施要項第9条第1項でそれぞれ以下のように明記されている。

(a)Jリーグ規約第48条第1項
「協会の『サッカー選手の登録と移籍等に関する規則』及び『プロサッカー選手の契約、登録及び移籍に関する規則』に基づき協会への選手登録を完了し、かつ第100条に定めるJリーグ登録を行った選手のみが、公式試合における出場資格を有します。」

(b)実施要項第9条第1項
「協会への選手登録を完了し、かつJリーグ登録(Jリーグ規約第100条に定めます。以下同じ)を行った選手のみが、試合における出場資格をもつ」

 今回の例に当てはめると、鈴木は(a)(b)それぞれの条件を満たしている。したがって浦和は「(a)JFAへ選手登録をしており、(b)Jリーグ規約第100条に基づくJリーグ登録を行っており、Jリーグ規約及び実施要項のいずれにおいても、『出場資格』を有する選手」と主張している。

 そのため浦和は懲罰基準3-3の「出場資格の無い選手の公式試合への不正出場(未遂を含む)」ではなく、エントリー不備に限った懲罰基準3-7「チーム又は選手等によるその他の違反行為」に基づいた処分がなされるべきだと主張。その場合に「けん責」の懲罰を受け入れるという姿勢を示している。

 クラブは公式サイトを通じて声明を発表。「浦和レッズは、『日本サッカーの水準向上及びサッカーの普及促進』等、Jリーグの理念を実現すべく、JFA及びJリーグと協力してクラブを運営していくものであり、この基本的な姿勢は、過去も、現在も、将来も変わりません。JFA及びJリーグが自ら定めたルールを正しく理解して、正しく運用することは、健全な日本サッカー界にとって必要なことであると考えます。本件について浦和レッズは、第三者機関による中立公正な判断を求めることがJFA及びJリーグを構成するクラブの責務であると考えると同時に、今シーズンにおける浦和レッズの順位やACLの出場権獲得に影響を及ぼすこと、さらには他のクラブにおいても同様のことが発生した場合、クラブの根幹に影響を及ぼす大きな事態に繋がる恐れがあることなどから今回の結論に至りました。このことにより、これまで培ってきたJリーグや日本サッカー協会との関係を毀損させる意図はないこと、日本のスポーツ界、サッカー界の発展を願い全力を挙げていきます」と説明している。

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