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静岡学園高3年生から4人目のJリーガー誕生!2年前の選手権制覇でまた変わった周囲からの目

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静岡学園高のJ内定カルテット。左からCB伊東進之輔(3年、北九州内定)、MF玄理吾(徳島内定、3年)、MF古川陽介(3年、磐田内定)、FW川谷凪(3年、清水内定)

 静岡学園高(静岡)の3年生から4人目のJリーガー誕生! 22日、ギラヴァンツ北九州が静岡学園のU-18日本代表候補CB伊東進之輔(3年)の22年シーズン新加入内定が決まったことを発表した。静岡学園からは、MF古川陽介(3年、磐田内定)、MF玄理吾(徳島内定、3年)、FW川谷凪(3年、清水内定)に続き、今年4人目のJクラブ内定者だ。

 選手権優勝2度の静岡学園は数々のJリーガーを輩出している名門だが、同学年4人の高卒プロ入りは近年にはない快挙だ。“J内定カルテット”に加わった伊東は、「一緒に戦ってきた仲間がこんなにプロへ行けるのは嬉しいですし、(自分たちの世代から)こんなにまさか行くとは思っていなかった」と微笑。そして、「4人か! 凄えな、みたいな話もしています。玄とか1年生の時に(1年生チームでも)ほとんど出ていなかったですし、そういった意味では全員レベルアップしたなと思います」と加える。

 伊東は188cmの長身でキープ力、キックの質も非常に高い。「次世代のCB」(川口修監督)だ。その伊東は「玄は間違いなくテクニックがあって、上手くて、普段はよう喋っています(微笑)。古川のドリブルは凄いなと思います。高校生で止めれるとなったら、わずかしかいないと思います。(現在、自分は止められるようにもなったが、)3回くらい切り返されてチンチンにされることが今でもあります(笑)。そして、凪は全然違くて。あのスピードならばプロでも通用すると思います。縦行かれた時の速さはあまり体験できないですね、高校年代では」と同じタイミングでプロ入りする同期たちの才能の凄さについて評価する。

 今年は新人戦、インターハイ予選、選手権予選を全て制し、静岡学園にとって初の静岡3冠達成。インターハイでは10年ぶりに準決勝まで駒を進め、プリンスリーグ東海でも開幕11連勝を記録するなど首位に立っている。伊東は「(今年の世代は)意識高いというのもあると思いますし、個人個人の色というか、個性があって、全員タイプが違う。それぞれの個性があって良いチームだなと思います」と語る。個性を静岡学園の3年間で特別な色へ磨き上げた選手たちが、人間性を含めてプロからの高い評価を獲得した。

 同学年4人の高卒Jリーガー誕生について、川口監督は周囲から静岡学園を見る目が変わってきていることを実感しているという。「一番デカいのは2年前の優勝。あれが評価されているのかな、というのがまず一つ。あとはJリーグでOBたちが出て、活躍してくれている」。特に評価を高めている要因は2年前の選手権日本一だと考えている。

「選手はJリーグで活躍しているけれど、チーム(静岡学園)が勝てなかった。そういうところを勝ち抜けることを一つ証明できました。テクニックだけじゃ勝ち抜けないと思うので、守備力だったり、人間性のところだったり、色々な部分が評価されてきたのかなと。今までは『(静岡学園の選手は)上手いけれど、もうちょっと大学まで見てみるか』と。旗手(怜央、川崎F)とか、名古(新太郎、湘南)とか、長谷川(竜也、川崎F)とか(大学経由組は)『上手いけれど、どうかな、静学だしな(攻撃だけしかできないのではないか)』、という見方をおそらくされていたと思うんですよ。でも、2年前で一気にこの流れが変わったというか。当時は賢い選手も多かったですし。2年前はインタビューでの発言など、自分から見ても『コイツら大人だな』『凄い先のことまで考えているんだな』と思ったんですよね」。2年前の世代はプロ入りした選手こそMF松村優太(現鹿島)のみ(当時2年生のDF田邉秀斗も川崎F入り)だったが、向上心が高く、浮かれる選手が少なかった。選手権決勝では、青森山田高相手に0-2から逆転勝ちして逆境での強さも発揮。加えて、日本代表入りした旗手ら先輩たちのJリーグなどでの活躍が後輩たちのプロ入りの追い風になっていると指揮官は感じている。

 伊東は同期でプロ入りする3人や、大学を経由して4年後にプロ入りしてくるだろう同級生たちへ向けて「頑張って欲しいという気持ちもありますし、でも対戦した時は負けたくないなという気持ちがあります」ときっぱり。この後はプレミアリーグ復帰と選手権で2年ぶりの全国制覇に集中する。

 特に選手権での注目度は高そう。ただし、川口監督は「注目される分、選手たちはプレッシャーを感じるかもしれないけれど、『そのプレッシャーを楽しめるくらいにならないとプロで通用しないよ』と言っているので」。注目される中、ガチガチに緊張して思うようなプレーができないのではなく、プレッシャーを楽しみながら“静学らしく”魅せて勝つ。現在1、2年生にも年代別日本代表候補含めてタレント多数。3年生たちはチームとしての結果も残して、次の世代へ繋ぐ。

(取材・文 吉田太郎)
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