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中学まで本気でダンスも。圧倒的な素材感、吸収力、ひたむきさも魅力の狭山ヶ丘高GK若林学歩が大宮入団会見で世界一誓う

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大宮アルディージャ加入内定の狭山ヶ丘高GK若林学歩(中央)が会見で活躍を誓った。左から狭山ヶ丘の西澤正仁監督、小川義男校長、若林、大宮の佐野秀彦代表取締役社長と秋元利幸フットボール本部強化部長

 可能性大の超大型GKが、大宮から世界へ羽ばたく――。23日、狭山ヶ丘高GK若林学歩(3年=八王子市立椚田中出身)の大宮アルディージャ入団記者会見が埼玉県入間市の狭山ヶ丘学園総合グラウンド管理棟「義学館」で行われた。会見には若林、大宮の佐野秀彦代表取締役社長と秋元利幸フットボール本部強化部長、そして狭山ヶ丘の小川義男校長とサッカー部の西澤正仁監督が出席。大宮のクラブ関係者や狭山ヶ丘のチームメートたちも見守る中、若林が堂々とプロへの意気込みを語った。

 中学1年生でサッカーを始めた頃から高卒でのプロ入りを目指してきたという若林は、「大宮アルディージャという素晴らしいクラブからキャリアを始めることになって、とても嬉しく思います。自分はただJリーグで活躍するのではなく、日本を代表して、日本代表がワールドカップで勝てていない壁をしっかりと越して、自分の手で日本をワールドカップ優勝に導くなど、海外でしっかり活躍するということを目標にやっていく」とコメント。U-17日本代表候補にも選出されている196cm、83kgの超大型GKは「自分はまだまだ」とした上で、努力を重ねて日本を代表するGKになること、日本を世界一へ導くことを誓った。

 狭山ヶ丘高からのプロ入りは、亜細亜大を経て札幌、川崎FでプレーしたFW黄川田賢司氏以来で、高卒は初。西澤監督は、当時中学2年生の若林を初めて見た時に「プロへ行く素材」だと確信したという。そのプロ入りを実現した教え子へ向けて、「これから大宮でしっかりと力をつけて、プロとして活躍できるベースをつくった中で、プロの厳しさをしっかり味わって、成長して、まずはクラブを代表する、そして日本を代表するようなGKになって、日本代表のゴールマウスをしっかり守って欲しい。彼はとても恵まれた体格、ポテンシャルを持っているので、最終的には海外で活躍するような素晴らしいGKになって欲しい」と期待した。

 日本とガーナにルーツを持つ若林が、サッカーを始めたのは中学1年生から。サイズを見込まれてすぐにフィールドプレーヤーからGKへ転向した。経験は浅い。それでも、幼少の頃からサッカーに専念した中学2年生まで本気でダンスを続け、この日も会見、練習後にブレイクダンスを華麗に披露してくれた若林の身体は非常にしなやか。この身体の柔らかさが、圧倒的なハイボールの強さや鋭いセーブ、そして飛距離抜群のキックを生み出す要因の一つになっているようだ。

 若林は狭山ヶ丘入学直後の19年6月に将来性豊かなGKたちとともにナショナルGKキャンプを経験している。だが、高校では、すでに強豪・関東学院大で登録メンバー入りしているGK坂本涼太が1学年上にいたこともあって、2年時までは控え。今年は選手権埼玉県予選初戦で敗れており、全国的には無名だ。それでも、今年10月のU-17日本代表候補合宿に初選出された際、課題が出た一方で高さと迫力十分のパンチングや、一発で相手をひっくり返すキックを披露し、初見のJクラブスカウトや大学関係者たちを大いに驚かせた。

 その若林について、大宮は狭山ヶ丘入学当初から関心。以前、西澤監督が大宮の育成コーチを務めていた縁もあり、無名の大器を注視し続けていたという大宮は今夏に練習参加を要請した。若林はその練習参加でアピールに成功。秋元強化部長は「スポンジのような吸収力。一週間の練習参加で物凄い成長が見られました。松本(拓也)GKコーチもびっくりするくらいの吸収力でした。また、練習よりも、ゲームで凄く活躍した。実戦タイプだということがもう一つ大きな決め手になりました。GKとしての資質、196cmとリーチの長さがあって、『こんなところにまで手が届くのか』とプレーを見せてくれましたし、ポテンシャルというところでいうと、大宮アルディージャを代表するGK、日本を代表するGKに、まだまだこれから習得しなければならないことはたくさんあると思いますけれども、そういう選手に育ってくれるんじゃないかという思いで獲得しました」と説明する。

 また、佐野社長は「謙虚さもあるんですけれども、明るくて、何事にも前向きにコミュニケーションも取ることができる。そういう姿勢から非常に魅力を感じましたし、プロサッカー選手としてのポテンシャルを感じました」とコメント。秋元強化部長も狭山ヶ丘で“大宮の哲学”を学び、「常に挑戦者」としてひたむきに取り組む若林の姿勢を高く評価していた。また、狭山ヶ丘の西澤監督もその人間性を絶賛するように、圧倒的な素材感や吸収力、実戦力に加え、人間性もプロ入りを勝ち取る力になった。

 若林は「練習参加をさせてもらった時に本当に雰囲気が良く、自分と年が近い選手が何人もいて、全国的に有名ではないチームから来た選手に対しても優しく接してくれた」と大宮の雰囲気の良さを実感。また、一週間の練習参加で自分も変化に気づくほど成長させてもらったこともクラブにフィットしていると感じたという。来季からホームスタジアムとなるのは、NACK5スタジアム大宮。「埼玉県予選でも使われるスタジアムで、(自分は立てなかったが)ずっとプレーしたいと思っていた。そこは来季から大宮アルディージャで頑張って、スタメンを取ればプレーできるので、ファン・サポーターに信頼されるようなプレーをして、勝利に貢献したい」と意気込んだ。

 全国的にほぼ無名な状況でプロ入りするが、「逆に今まで無名なので、『コイツ、誰なんだろう』となるので、そこは自分、ラッキーかなと思います。(名を広めていくことも)自分の楽しみ」と前向き。若林の「学歩(マナフ)」という名前は「ガーナの意味でいうと、ラッキーボーイ」なのだという。“ラッキーボーイ”の名を持つ大器がまずは大宮で進化し、クラブに多くの白星をもたらす。

(取材・文 吉田太郎)
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