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プロ7年間で出場5試合…“苦労人”水戸GK中山開帆が覚悟の鹿島完封劇「今日がラストというくらいの気持ちで臨んだ」

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水戸ホーリーホックGK中山開帆

[2.13 いばらきサッカーフェスティバル 鹿島 0-1 水戸 カシマ]

 プロ7年間での通算出場試合数はJ2リーグ1試合とJ3リーグ4試合のみ。この一年に勝負をかける水戸ホーリーホックの新守護神が鹿島アントラーズを完封した。試合後、クラブの歴史的白星を導いたGK中山開帆は「今日がラストの試合というくらいの気持ちで臨んだ」と思いを明かした。

 2005年に創設されたいばらきサッカーフェスティバルでは1分14敗。水戸にとって、シーズン前恒例の鹿島戦はただのプレシーズンマッチではなかった。

「チームとしてまだ鹿島さんに勝ったことがなく、今回のプレシーズンマッチに向けて、チーム内だけでなく、スポンサーの方などいろんな方が協力してくれて、モチベーションを上げてくれた。絶対に勝ちに行こう中で挑んだ試合だった」

 そう語った中山にとっても大勝負の一戦だった。「自分も8年目になって、年齢的にも若くないし、下から素晴らしいGKも入ってきて、自分もなんとかしないといけないと思っていた。そういった中でのスタメンだったので、今日がラストの試合というくらいの気持ちで臨んだ」。昨季のレギュラーだったGK牲川歩見(浦和)が抜けた中、自身初のレギュラー奪取に向けて、掴みかけているポジションを明け渡すわけにはいかなかった。

 そうして臨んだ大一番、最大のハイライトは前半25分からの3分間に訪れた。次々に押し寄せたMF荒木遼太郎、FWエヴェラウドの決定的なシュートを的確なアプローチで防ぎ切ると、同28分にはFW鈴木優磨のPKを見事な読みでストップ。チームの悪い流れを自身のプレーで断ち切ったことにより、粘り強さが光った後半の攻防に望みをつないだ。

「PKはほぼ運の要素も強いので、後ろにいた水戸のサポーターや支えてくれた人たちの力が乗り移った結果、あのストップにつながった。コースもよくなかったので、冷静に対応できた」。自身のPKストップについては謙虚に語った中山だが、「素晴らしいGK陣で、切磋琢磨してずっとやってきた。日頃からみんないいレベルでトレーニングできている」と高いレベルのレギュラー争いを誇った。

 またそれ以上に手応えをのぞかせたのはチーム全体の守備だった。「今年から今までやってきたことと違う取り組みをやって、キャンプ中はうまくいかないところもあったけど、徐々に良くなってきた。今日の残り20分間はやってきたことが全て出せた。ああやってボールを持たれても、ボール側から11人全員で守っていく。持たれても慌てず、ガンガン相手陣地に返すことをやっていた。みんなが体を張ってくれたのが良かった」。その言葉どおり、終盤の守勢では鹿島のシュートに水戸守備陣が立ちはだかり、ボールは次々にゴールマウスから外れていった。

 昨季の水戸は16勝11分15敗の10位。1試合平均13.2本のシュートはリーグ4位、攻撃回数は124.5でリーグ2位と攻撃的な姿勢のスタイルで話題を呼んだが、試合終盤を中心とした失点癖が上位進出への壁となった。「去年もいい試合をしながら最後に取られて、勝ち点3や1を失うことが多かった。もちろんそこで取れていればナイスだったとなるゲームが多かったけど、リーグ戦という長い目で見た中で、うまく勝ちは狙いに行くけど、引き分けというのも視野に入れながらの戦い方をキャンプから意識してやってきた。今回は勝ちにつながったので良かった」。常勝軍団を相手につかんだ自信を引っさげ、29歳の苦労人が勝負の一年に挑む。

(取材・文 竹内達也)
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