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過去1分14敗からの“歴史的白星”も水戸・秋葉監督が熱弁「ただ勘違いしてはいけないのは…」

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水戸ホーリーホック秋葉忠宏監督

[2.13 いばらきサッカーフェスティバル 鹿島 0-1 水戸 カシマ]

 同じ茨城県内のプロサッカークラブとして、常に先を走り続けてきた鹿島アントラーズからの歴史的白星——。水戸ホーリーホック秋葉忠宏監督は試合後、やや枯れた声で記者会見場に登場し、熱く喜びを語った。

「雨の中、歴史を変える瞬間を見るために600人以上の水戸のファミリーでありサポーターが駆けつけてくれたこと。クラブもアウェーでプレシーズンであってもプレミアを出して、何がなんでも鹿島に勝つんだと選手に伝えてくれたということを含めて、いろんな方の思いだとか、魂みたいなものが、最後あれだけポストに当たるだとか、PKを止めるだとか、かき出すことができるとか、そういうプレーにつながったと思う」

 前半20分過ぎにはPK献上を含めて立て続けのピンチを迎えたが、新守護神に抜擢したGK中山開帆がスーパーセーブを連発。後半にはアグレッシブな前傾姿勢を続けて先制点を奪うと、相手の選手交代を見ながらシステムを調整し、最終盤には一方的な守勢に回るも身体を張った守備でシャットアウト。過去15試合のいばらきサッカーフェスティバルで1分14敗だった相手に堂々たる戦いぶりを繰り広げ、史上初の白星を勝ち取った。

「非常にいい成功体験ができたと思っている」。

 そう振り返った秋葉監督は「もちろんシュートを打たせないこと、ボックス内にボールが入ってこないのが一番ベストだけど、当たり前だけどサッカーはそんなに甘くない。ましてや鹿島さん相手にボックス内にボールを入れないことはできない」と現実を見つめつつ、「5バックにしたり4バックにしたり、中とやりとりしながら選手の肌感覚を大事にしながらできた」と選手たちとの関係性を誇り、「鹿島さん相手に逃げ切れたことは、若い選手が多い水戸ホーリーホック、ましてや16人入れ替わったチームにおいて収穫になったし、自信になった」と手応えを隠さなかった。

 その上で「なんと言っても鹿島さんというクラブがわれわれの力を引き出してくれたと思っている」と相手へのリスペクトを語り、“格上”というマインドセットで一戦に臨んでいたことを強調。「選手たちに伝えたことは、ジャイアントキリングを起こすには勇気を持って勇敢にプレーしなければ、成功は待っていないよと。弱腰になったりだとか、怯えてしまったようなプレーでは奇跡は起こせない」。その上での勝利に「選手たちは最後まで自分のストロングポイントを、チームとしてやってきたことを全て出し切ろうと、強気にアグレッシブに超攻撃的にやってくれたことがこういう評価であり、成果になった」と選手たちを称えた。

 もっとも、終わってみればこれはプレシーズンマッチ。すでに目線は長いシーズンに向いている。「ただ勘違いしてはいけないのは、われわれはまだ勝ち点3を取ってはいないということ。もちろん16年目で初めて勝ったのはクラブにとっては大きな一歩で歴史を変える素晴らしい出来事だが、われわれにはリーグ戦が待っている」。J2リーグ戦の開幕は1週間後の19日。指揮官は敵地での大分戦に向けて「1週間浮かれることなく、ましてやコロナのこういう状況なので最後の最後まで気をゆるすことなく、過信することなく、1週間最高の準備をして、来週大分でアウェーでこういうゲームができるように選手たちとやっていきたい」と力を込めた。

(取材・文 竹内達也)
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