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大型補強の“J1昇格候補”長崎が開幕1分1敗…松田浩監督「徹底できなかったのが悔やまれる」

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V・ファーレン長崎は0-1で敗戦

[2.27 J2第2節 横浜FC 1-0 長崎 ニッパツ]

 今オフに大型補強を行ったJ1昇格候補のV・ファーレン長崎がまさかのつまずきを見せている。J2第2節の横浜FC戦に0-1で敗れ、開幕2試合未勝利。この日は相手の倍以上にあたる15本のシュートで猛攻を仕掛けたが、最後まで同点ゴールは決まらなかった。

 開幕節で東京Vに引き分けた長崎は27日、アウェーで横浜FCと対戦した。前半の立ち上がりこそダイナミックな攻撃で主導権を握ったものの、相手のプレッシングにハマって徐々に流れを持っていかれ、前半28分に先制点を献上。後半は再びパワフルな猛攻を仕掛けたが、身体を張って守る相手を崩せないまま0-1で敗れた。FW都倉賢、FWエジガル・ジュニオ、MFクリスティアーノ、MFカイオ・セザールといったJ1レベルの選手たちが前線に並ぶ中、開幕2試合でわずか1得点。J1昇格候補筆頭に挙げる声もあったチームがいまだ本領発揮には至っていない。

 横浜FC戦の試合後、松田浩監督は「前半よかったのは前線へのダイレクトプレーを選択したこと。相手は前に来る力が強いので、ポゼッション、ビルドアップで丁寧にすると相手の良さを引き出してしまう。ただ、それを徹底できなかったのが悔やまれる」と敗因を分析。事前のゲームプランとの相違を次のように明かした。

「最初はそうやってやろう、すると相手が出て来なくなるんじゃないかということも考えて、もしそうなったらしっかり繋いでいこうとプランしていた。ただ思った以上に前線に預けることで起点ができて、効果的だったので、もっとそれを続けるべきだった。そこが前半の反省点。長いボールだけでなく、ゴロでも相手がついてきてくれるのでスクリーンされずにパスが通ることもあった。それを第一優先にして、徹底して続けるべきだった。後半は徹底できたのでCKを取るチャンスもあったし、セットプレーでは相手のマンツーマンディフェンスに対して準備してきたので出したいと思っていた。後半はやりたいことがある程度できた」

 アグレッシブなプレッシングを基本戦術とする横浜FCに対し、相手の出方を踏まえたゲームプランを準備してはいたものの、前半を通じて徹底することができず。指揮官はそのきっかけとして、前半7分のFW小川航基のヘディングシュートを挙げた。その場面ではGK富澤雅也がスーパーセーブで阻んだが、「どきっとするピンチが気持ちを後ろにさせてしまった」と指摘。「あの辺から流れが変わってしまった。そこでもっと前半の途中からでも、自分のほうから『徹底して続けろ』と言えばよかったかなと思っている。そこは自分としても反省しているし、ハーフタイムを待つまで指示を徹底できなかったのが反省点」。ならば、反省点は明確。「相手に対して一番効果的なことをやる」ということを徹底できるよう続けていくしかない。

 松田監督は今後の戦い方について「クオリティーを上げていかないといけないが、やるべき方向性は変えることはない」とした上で、チーム作りの方向性にも言及。「1試合1試合相手が違うのでやり方は変えないといけないし、自分たちのサッカーだけで押し通せるとは思っていない。大事なのは相手に対して効果的なことをやっていくこと。なおかつ勝ち点3を取る逆算でどういうサッカーをやっていけばいいか。そういう意味ではいろんな一つだけのやり方ではない形で進めているぶん、いまはちょっとその精度がぼやけて落ちているのかもしれない。後半のサッカーを前半からやっていれば違う結果になっていたかもしれないなと思う。意思の徹底やチーム戦術が、初めての相手や初めてのメンツだと強度が落ちているところがあるのかもしれない」と今後の伸び代に含みを持たせた。

 そうした精度の部分は今後のトレーニングの積み重ねによって上げていくことが期待される。無念のハンド判定でゴールが取り消されるなど、惜しいチャンスがありながらも無得点に終わったE・ジュニオは「今日の試合に関してはポジティブに考えている。チームも良かったし、チャンスも作れた。もう少しでゴールを奪えなかった。相手よりいいサッカーをしたと思っている。ただ、どっちか決めないと勝てないので相手の方に勝利が転んだ」とこの試合を総括していたが、攻撃面の改善については「チャンスはあったし、もうちょっと丁寧にやらないといけない。もう少し工夫してやればゴールは生まれたはず」と前向きに語ってた。

 また最終ラインを担ったDF村松航太も攻撃の組み立てについて「横浜FCさんのプレスも良かったが、そこに対して負けているとは思っていなくて、チャンスも何回も作り出せた」とポジティブに述べ、自身が担う守備面のタスクについても「危ない場面もあったけど、そこに関してはみんなが体を張って守れていた」と手応えを語っていた。

 そんな村松は今季、北九州から長崎に加入。「もちろん北九州にいた時もJ1に上げたいという気持ちがあったし、昨年はキャプテンもやっていたので責任感も持って、結果にこだわっていた。それは去年も今年も変わらない」と述べつつも、新天地での日々には充実感をのぞかせる。「本当にJ1にいないといけないチームに来て、すごく環境面でも北九州で経験したことないこともある。意識の高い選手、能力の高い選手がいて、毎日の練習が本当の試合でマッチアップしているような感覚でやっている」。悲願のJ1復帰へ、長崎は日々積み重ねながら突き進んでいく。

(取材・文 竹内達也)
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