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Jクラブの上場解禁へ! 木村専務理事が経緯説明「非財務価値はいまのJリーグにも相当ある」

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木村正明専務理事

 Jリーグは28日、今年度の第2回理事会を開き、Jクラブの株式異動に関わるルール・規約改定を決議した。15%未満の株式異動に関してリーグへの事前報告義務が廃止されたことで、これまで事実上不可能だったクラブの株式上場が解禁される形となった。

 Jリーグによると、今回の改訂は「資本力のある投資家を呼び込み、クラブの経営管理体制を強化するなど上場クラブのみならずリーグ全体の発展や価値向上につなげる」のが目的。2021年5月から約10か月にわたり、各クラブや理事、有識者、東証など関係各所と議論を重ねてきた結果、「株式上場は、クラブの公共性や透明性、企業価値の向上に資するもので、リーグの理念や思想が揺らぐことはない。資本流動性が高まることにより、クラブ・リーグ全体の成長加速化も期待できる」という結論に至り、上場解禁に踏み切った。

 村井満チェアマンは理事会後のオンライン会見で「いわゆる財務指標には表れない非財務価値と言われているもの、スポーツ団体として誰もが認める地域の公共財と認識しながらも、通常の財務指標でしか今までの企業価値は図れなかったが、今後『のれん』と呼ばれる非財務価値も一つの尺度、メジャメントとして経営の指標になりうる意思決定」と位置付けを説明した上で、「今後の運用は1年間かけて練っていきたい」と述べた。

 また木村正明専務理事は上場解禁のメリットについて「コロナによって8割くらいのクラブが増資を迫られていて、これまでと違う方々に出資を仰がねばならなかった。そういった方は地元クラブだからと出資してくださる方ばかりのではなく、経済的な価値を考え、どういうメリットがあるかなどという問いも多かったと聞いている。いまはそういう機会がないので、クラブが増資を当たる際に当たりやすくなるというのが一つある」と説明。さらに「いまこの瞬間にクラブが上場してどうなるかはわからないが、ヨーロッパで上場している20クラブを調べると、J1と同じくらいのところでトルコがある中で、フェネルバフチェやガラタサライは昨季の売上高が50億から60億でJ1中上位くらいの規模になる。ただ、それぞれの時価総額は年間売上高の3倍から4倍になる。非財務価値はいまのJリーグにも相当あるのではないかと思われる。活用してクラブが大きく成長するきっかけになってもらえれば」と期待を示した。その他、公益性の向上、経営管理体制の充実、人材採用の強化、アカウンタビリティの向上などにメリットがあるという。

 約10か月間にわたる議論では上場解禁のリスクについても意見がかわされ、インテグリティの担保やクロスオーナーシップの防止のため、新たな基準も設けた。15%以上の大口株主に関しては、株主の適正性をリーグが審査。不適正株主による保有が解消されないクラブには一定の期間内での適正化を求め、実施されない場合は除名含めた懲罰を課す。またクラブ役職員は他のJクラブに重大な影響を与えうる法人の15%以上の株式や、クラブの重大な影響下にある法人の株式を保有することが禁止される。

 木村専務理事は「何が怖いかというとクロスオーナーシップで、インテグリティ上問題が生じるのが一番怖い。これまでは事前に株主のチェックをしていたが、そういったことが上場するとできなくなるので、どういったリスクがあるのか。海外には事例があるので、そういったものを研究しながら、理事会でもいろんな観点から指摘をいただいてやってきた」と議論の背景を明かした。

 今後はリーグ役職員、審判員・マッチコミッ ショナー、仲介人は全Jクラブの株式保有を禁止し、選手・監督・コーチは他のJクラブの株式保有を禁止するという規定も新設予定。新規条文の施行時期は来年1月を目標としている。

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