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マリノスらしさ示した“初ゴール”…昇格6年目の吉尾海夏「やっとスタートラインに立てた」

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MF吉尾海夏

[3.6 J1第3節 横浜FM2-0清水 日産ス]

 トップチーム昇格6年目、MF吉尾海夏が待ちに待った横浜F・マリノスでの初ゴールを挙げた。「綺麗なゴールではなかったけど、ゴールが入った瞬間、本当になんとも言えない感情で鳥肌が立ちました」。猛烈なプレッシングで相手を追い詰め、クリアボールを跳ね返して押し込んだ記念弾。その泥臭い一撃は、愛するクラブで闘えることを証明するものとなった。

 開幕5試合目にして訪れた初先発のチャンス。背番号14は試合前から大いに燃えていた。「誰が出てもマリノスのサッカーをして勝つというところを皆さんに見せたかったし、個人としては結果にこだわって試合に入った」。まずは前半6分、磨き抜いてきた武器の左足で強烈なミドルシュート。これは日本代表GK権田修一のファインセーブに阻まれたが、あふれる闘志は開始早々から全開だった。

 前節の神戸戦(○2-0)では後半26分からピッチに立ち、味方と良い距離感を保ちながらのゲームメークで存在感を発揮。だが、この日は相手が4-4-2で守備を固めてくる中、狭いスペースに苦しむ場面も見られた。それでも、そのぶん自由度を増したMF小池龍太が前半32分に先制ゴールを奪取。すると同43分、吉尾は前の試合とは異なる姿で結果に絡む働きを見せた。

 GKの権田を起点とする清水のビルドアップ。短いパスが左サイドに送られると、吉尾は迷わず最後尾のDF立田悠悟に猛烈なプレッシングを仕掛けた。「一番は目に見えるゴール、アシストというところで、相手の嫌がるところで相手の脅威になるプレーをしようと心がけていた」(吉尾)。想像していたとおりではなかったかもしれないが、言葉どおりに“相手に脅威を与える”ハイプレスは横浜FMの生命線。これが立田の甘いクリアを誘い、伸ばした足に当たったボールがゴールマウスに吸い込まれた。

「自分が一番びっくりしています」。試合後、そう照れ笑いを浮かべた吉尾だったが、表情を引き戻しながらキッパリと続けた。「決して綺麗なゴールではなかったけど、あそこまでプレスに行けたことがゴールにつながったと思う」。記念すべき初ゴールは、多くの人が想像していたであろう左足の強烈なシュートではなかった。だが、前へ前へと仕掛けるプレスは横浜FMのスタイルそのもの。“らしさ”が実った初ゴールは、このクラブで闘える未来を何より予感させるものとなった。

 2017年に横浜FMユースからトップチームに昇格し、2年間でのJ1出場はわずか6試合。その後、ベガルタ仙台、FC町田ゼルビアでの武者修行を経て、6年目でようやく初ゴールまでたどり着いた。「やっとスタートラインに立てた」と気を引き締めた23歳の勝負はこれから。「よりゴールに貪欲になって、結果にこだわるようになって帰ってこられたと思うので、引き続きピッチでも出していきたい」と立ち止まるつもりはない。

(取材・文 竹内達也)
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