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CKで投入→即決勝アシスト!! 43歳・横浜FC中村俊輔が“1タッチ”で大仕事「まさか最初からセットプレーとは(笑)」

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決勝ゴールをアシストしたMF中村俊輔

[3.13 J2第4節 横浜FC 3-2 水戸 ニッパツ]

 2点差をひっくり返した横浜FCの決勝点は、MF中村俊輔の左足から生まれた。後半38分の左コーナーキック、ベンチに控えていた中村がピッチに投入されると、“ファーストタッチ”で蹴り出したボールがFW小川航基の頭にピタリ。この一撃がJ2リーグ唯一の開幕4連勝に導く決勝点となり、1年でのJ1復帰を目指すチームは早くも独走態勢に入った。

「最初のプレーでアシストにするのは彼の才能だし、ちょっと言葉では表せない部分を示してくれた」。試合後、就任1年目ながら横浜FCを躍進に導いている四方田修平監督も素直な驚きを隠さなかった。一方、今季2試合目の出場で値千金のアシストを記録した43歳は、いたって冷静だった。

「勝ちに行く時は出るかなというのはあって準備していた。まさか最初からセットプレーとは思わなかったですけど(笑)、(普段キッカーを務めている手塚)康平も来なかったので『じゃあ蹴ろうかな』と思って。練習ではニアだったけど、のぞいた時にニアの感じはしなかった。時間も点数も考えて、ダイレクトで入るようなボールが自分も得意だし、よく航基が触ってくれた」。

 ファーストプレーでのプレースキックという高難度のタスクも、俊輔にとっては自身の武器を発揮するこれ以上ない見せ場。かつてジーコ氏から授けられた「ハーフタイムに一回は集中してゾーンに入って蹴っておけ」という金言をいまも実践しているといい、「ハーフタイムくらいしかボールを蹴れないから、そこでいかに感覚を掴んでおくかが大事。それはもう昔からなので」とあっさり振り返った。

 小川の頭に合わせたキックの選択についても、豊富な経験に裏打ちされた“感覚”があったようだ。「航基を見ていたというわけではない。いつもピンポイントだとか書かれるけど、別に“だいたい”です。いつも良いボールを出していれば、誰かしらが入ってくれる。でもボールを置いてのぞいた時に分かるんですよ。決めてやろうという熱量というか。そういうのを感じさせられるように練習から。昨日のセットプレーの練習でも康平、自分と2回ずつ蹴らせてもらっている。自分は出る時間がちょっとしかないのに蹴る時間をもらっている。自分がというより練習メニューから場面場面を想定してやらせてもらっているし、いつも本番を想定してやっていればああいうことはたまに起きる」。今季の公式戦出場は、後半45分からピッチに立った開幕節・大宮戦(○3-2)に続いて2試合目。そうした中でも自らの武器を信頼してくれているチームへの感謝を欠かさなかった。

 また3-2とした後の時間帯でも、俊輔がチームにもたらした安定感は絶大だった。水戸ホーリーホックがオープンな展開に持ち込もうとする様子を見せるや、リスクの低いエリアでボールをキープ。巧みな駆け引きで相手の勢いを削いでいった。「入ったらすぐに逆転できたので、プラン的に守備に入るのか前に入るのかをハッキリすることが大事。あと“あるある”だけど、ああいう時間って片方のサイドでやり合うじゃないですか。だから向こうにいすぎても良くないかなと思って、メインスタンド側に寄ってルーズボールを拾うようにして。すると自分がずっとフリーになるんですよ。相手が5バックでずっと寄っているから。そういう面で自由にできて良かったです」。水戸の秋葉忠宏監督は「まだ若いチーム」と敗戦を悔やんだが、それとは対照的な経験が横浜FCにはあった。

(取材・文 竹内達也)
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