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まさに神出鬼没! 鹿島FW鈴木優磨が今季4アシスト目「途中で何となく分かった」磐田の癖

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アシストの場面、視線を外しながら浮き球スルーパスを送るFW鈴木優磨

[5.3 J1第11節 鹿島 3-1 磐田 カシマ]

 するすると右のハーフスペースに降り、ふわりと浮かせたスルーパスでFW上田綺世の得点をアシスト。鹿島アントラーズのFW鈴木優磨がまたしてもチャンスメイクで勝利に貢献した。今季11試合目で4ゴール4アシスト。ビルドアップにも積極的に関わり続けるなど、ベルギーで見せていたストライカー像とは異なる顔を見せている。

 1-0で迎えた前半35分、MF樋口雄太が中盤で前を向くと、鈴木は相手の中間ポジションを取ってパスを受け、力の抜けた反転から浮き球のスルーパスを配給した。「降りた選手にCBが掴みにこないと途中で何となく分かったので、だったらトップ下くらいまで思い切って降りて、前を向けるかなと思ったら、ちょうどいいタイミングで雄太からボールが来た」。その結果、鈴木が受ける前の時点でこの流れを感じていたという上田が絶妙なタイミングで最終ライン裏へ。最後は強烈な左足シュートでゴール左隅を撃ち抜いた。

 昨季のベルギーリーグで17ゴールを奪った実績を持つ鈴木は今季、レアル・マドリーのFWベンゼマに重ねて「ゲームを創れて、点を取れて、全部できるFWが一番いい。そこを目指している」というビジョンを掲げてプレーしている。この日のアシストはその言葉を体現するような場面。そんな鈴木との関係について上田は「後半も一つ抜け出したシーンがあったけど、徐々に合ってきていると思う。優磨くんのパスを出すタイミング、探すタイミングがなんとなく掴めてきている」と前向きに語った。

 基本フォーメーションは4-4-2、あるいは4-3-1-2の鹿島だが、なかでも鈴木は神出鬼没だ。鈴木がサイドに開いたり中盤に降りた際は4-3-3に近い陣形になる場面が多く、相手に難しい対応を強いている。また指揮官からの指示通り、ビルドアップに絡んだ後はフィニッシャーとしてゴール前へ。ポジションチェンジをロジカルに繰り返すチームではビルドアップの際にストライカーがゴール前から離れがちな問題も起きうる中、ストライカー能力を持つ鈴木が外にいることで、最後に飛び込んでいくダイナミズムを備えていることが攻撃の破壊力につながっている。

 そうした仕組みについて鈴木は「最終的にゴール前にいて欲しいとは言われているが、選手に対して縛りをつけるような監督じゃないので、勝手に解釈して勝手に動いている」と説明。まさにアシストのシーンのように自由を与えられていることを示唆した。一方、他の選手も鈴木の動きを見ながらポジショニングを取っているため、孤立する場面は少なく、そうした鈴木の臨機応変な振る舞いが好調を支えていると言えそうだ。

 好調が続く鹿島は第10節を終えて首位に立ち、今節の勝利で1試合消化が少ない2位の川崎Fと勝ち点5差をつけた。それでも、先々を見据えて「これからもっと苦しい時期が必ず来るので、またこの状況に戻れるかがチームとしてターニングポイント」と語る鈴木に満足した様子はない。「今の順位はあんまり意味ないので。最後に上にいられるように、今は順位というよりは1試合1試合勝ち点を取れるようにハードワークしたい」。淡々と気を引き締めていた。

(取材・文 竹内達也)
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