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セレモニーでは“想定外”も堂々スピーチ完遂! ポルトガル移籍のDF小川諒也「なぜか紙をくれなくて…」

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DF小川諒也

[5.29 J1第16節 FC東京 3-1 鹿島 味スタ]

 FC東京からポルトガルのビトーリア・ギマランエスに期限付き移籍することが決まったDF小川諒也が、移籍前ホーム最終戦に臨んだ。試合では前半33分に鋭い斜めのパスで先制点をお膳立てすると、後半にはMFアルトゥール・カイキのシュートをゴール前でブロック。攻守に存在感を見せた25歳は壮行セレモニーでも成長の跡を披露し、味の素スタジアムのサポーターに別れを告げた。

 3-1で快勝を収めた試合後に開催された壮行セレモニー。「まず、鹿島サポーターの皆さん、今日は選手と共に熱い試合をつくり上げてくれてありがとうございました。これからもFC東京と共にJリーグを盛り上げていってください」。冒頭で対戦相手のサポーターにも配慮を見せた小川は、親しみを込めながら堂々たるスピーチを行った。

「FC東京の皆さん、ビトーリアSCに移籍することになった小川諒也です。18歳の頃から7年半お世話になりました。少しは成長したでしょうか。18歳の入団会見では、当時最年長の榎さん(榎本達也)をダシにして、『まだ榎さんの半分しか生きていません』と生意気を言っていた自分が今ここに立っています」。

「僕はすごく選手たちに恵まれました。(太田)宏介くんを始め、(徳永)悠平さん、コマさん(駒野友一)、(室屋)成くん、ジェソくん(オ・ジェソク)、そして(長友)佑都くん、東京には素晴らしいサイドバックの先輩たちがいました。そして、モリゲ(森重真人)と(東)慶悟くん、この2人は自分が1年目の時からずっと自分のことを見守り、時には厳しく、優しく、選手としての在り方を教えてくれました。とても尊敬する先輩たちです」。

 2015年、流通経済大柏高からFC東京に加入。これまでJ1リーグ戦通算129試合に出場してきたJリーグ屈指のサイドバックは昨年、日本代表デビューも飾り、これまで国際Aマッチ通算5試合に出場した。先に名前を挙げた偉大な先輩もプレーしたA代表の舞台を経験したことが、今回の決断に至った一つの理由となった。

「その先輩たちがいる中で海外に挑戦しようと思った理由は2つあります。1つは、代表に行って、海外選手との差を感じたことです。やはり、そこの差を埋めるには、自分も海外に行って、新しいサッカーを学びたいと思いました」

 さらにDF中村帆高、DFバングーナガンデ佳史扶ら年下の台頭も後押ししたという。「2つ目は、若手選手の成長です。佳史扶や帆高、他にも多くの若手がJ1で活躍できるレベルにあります。その姿を見たことで、自分が抜けても大丈夫だと確信に変わりました」。

 最後に「そしてアルベル監督。自分が海外に行きたいという思いを否定することなく、常に気を使ってくださってありがとうございました」と感謝を述べた小川は「今、FC東京がやっているサッカーは簡単ではありません。けれど、間違った道には進んでいません。アルベルを信じて、ついていってください」とサポーターに後を託しつつ、「最後になりますが、この7年半、良い時も悪い時も見守ってくれた皆さん、本当にありがとうございました。ただ、今日で終わりじゃないんで、あと一か月よろしく願います」とスピーチを締めくくった。

 そんな小川はセレモニーの終了後、記者会見に出席。ピッチ上でのスピーチをするにあたって、実は想定外の事態が起きていたことを明かした。「(スタッフに)紙を渡していたんですが、なぜかくれなくて……。そっちをチラチラ見ていると思うんですが、『くれないの?』って感じだったので、自分で頭の中に思っていたことを話しました」。原稿を読むことを想定していたため、「あまり覚えていなかった」という中、素直な気持ちを表現していたようだ。

 そんな自らに対して「成長しましたね」と笑顔も見せた小川。リーグ戦の残り試合は6月18日の次節・湘南戦、同26日の鳥栖戦のみ。「自分が出られるのはあと2試合。勝ち点6を絶対に取って、少しでもFC東京の順位を上げてポルトガルに行きたい」と意気込みを語った。

(取材・文 竹内達也)
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