Jリーグは26日、浦和レッズへの懲罰を発表。けん責と罰金2000万円の処分を下したと発表した。クラブサポーターの「声出し禁止」と「マスク着用」の違反によるものだという。

　Jリーグの野々村芳和チェアマンは裁定委員会に諮問し、浦和に対して懲罰を決定した。

　懲罰の対象となる浦和の違反行為は、ホームクラブとしてサポーターが秩序を損なう行為を行ったことを防止、制止できず、Jリーグ規約第51条の「観客にホームスタジアムおよびその周辺において秩序ある適切な態度を保持させる義務」に明らかに違反したというもの。

　サポーターによる秩序を損なう行為は、2022年5月21日に埼玉スタジアム2002で行われたJ1第14節・鹿島アントラーズ戦の試合前に、複数名(少なくとも60名)が浦和のチームバス到着前後に、約10分間、集団で声を出して応援したこと、その際に一部サポーターがマスクを着用していなかったことが挙げられる。

　同様に、22年7月2日にパナソニックスタジアム吹田で行われたJ1第19節・ガンバ大阪戦でも「試合の前後および試合中において、ビジタークラブのサポーターに秩序ある適切な態度を保持させる義務」への違反が認められた。浦和サポーターが試合終了間際にゴール裏ビジター席上層階で複数名(少なくとも100名)が声を出して応援、また一部サポーターがマスク着用をしていなかった。

　これにより、Jリーグは浦和に対してけん責と罰金2000万円の処分を下した。

　Jリーグは公式サイトで、懲罰量定に際して参考とした事情を掲載。浦和サポーターが声出し応援の禁止等の規制に強い不満を抱き、ガイドラインに違反する可能性が予見できたにも関わらず、サポーターに対する十分な啓発や声出し応援を制止するための体制整備をしていなかったことが理由に挙げられている。

　また、Jリーグは浦和が過去の懲罰からの反省を生かさず、G大阪戦まで再発したことも問題視。「Jリーグからの再三の求めにもかかわらず、サポーター等に向けた対外的なステートメントも発出せず、かつ、声出し応援等を行ったサポーターに対する制裁処分の発動、声出し応援を制止するための体制整備等、同種事案の再発を防止するのに有効と考えられる対応も何らとらないまま、事案2に至った」と述べている。

　それぞれの違反に対し、「スポーツ庁をはじめとする政府当局からも指摘を受けるなど、社会的影響も大きく、Jリーグの信用を毀損し、声出し応援の段階的な再開を含む、Jリーグの試合の正常化に向けた取り組みを阻害しかねない」と浦和を非難している。

　また、最後には「浦和レッズに対するサポーターの行為に起因する懲罰事案は、複数回に及んでおり看過できないものとなっている」と“付言”も追加。今後、再発の場合、「無観客試合の開催又は勝点減といった懲罰を諮問する可能性がある」と強調している。

「集団で声を出して応援することはサポーターによる応援の本質的事項に関わるものであり、声出し応援の禁止等のガイドライン遵守をはじめとする秩序維持にはサポーターの強い自律が必要であって、クラブには、これを促すための不断の改善努力が求められる」

「短期間のうちに少なくとも複数回にわたり秩序を損なう行為を阻止できなかったことは重く受け止めざるを得ない」

「かかる状況はJリーグ全体への社会的信用の低下につながるものであることを再認識するよう要請するとともに、今後Jリーグも浦和レッズと共に再発防止に向けて対応するものの、浦和レッズが再びサポーターの行為に起因する懲罰事案を発生させた場合、無観客試合の開催又は勝点減といった懲罰を諮問する可能性があることを付言しておく」

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