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魅せたゴールへの嗅覚…「絶対に来ると思った」染野唯月が東京V加入後初先発で決勝ゴール

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FW染野唯月が新天地で初ゴール

[8.6 J2第30節 東京V 1-0 長崎 味スタ]

 東京ヴェルディ加入後初先発で初ゴールとなる決勝点を挙げたFW染野唯月。試合後には「しゃべるのがそんなに得意じゃない」と語りつつ、「自分の点で勝てたのはよかったし、ホッとしています」と謙虚に喜びを口にした。

 そのシーンは後半16分にやってきた。スコアレスで前半を折り返し、互いに点がほしい時間帯。東京Vは中央から敵陣内に入りこむと、混戦に次ぐ混戦状態となる。最後に染野が体勢を崩しながらシュートを打つが、ボールは外れ、PA左まで転がっていった。

 だが、東京Vの攻撃は続く。DF加藤蓮は「コーナーにしようか迷ったんですけど、そこで拾ったほうが距離も近い」とプレーを続行。「ニアが薄いとわかったので、そこに走ってくれれば」(加藤)。味方のパスをゴールにつなげるのがストライカーの務め。染野が瞬時にニアサイドに飛び込み、ヘディングシュートでゴールに流し込んだ。

 染野自身も「絶対にニアに来ると思った」と語る。「鹿島でもああいう点を取っていた。いいボールが上がってきたので、GKの前に入ることだけを意識してうまく入れた。それが点につながった」。得点直後、染野は一直線でゴール裏のサポーターのところへ。「まずサポーターのところに行こうと思っていた。本当にそれが実現できたのはよかったです」。声出し応援運営検証対象として行われた試合で、サポーターからの声援を一斉に浴びた。

 プロ3年目の染野は、キャリアをスタートさせた鹿島アントラーズから7月に期限付き移籍。東京Vでのプレーを決断した。7月末の2試合で途中出場して新天地デビュー。だが横浜FC戦では10分間、大分トリニータ戦では15分間の出場のみ。短い時間の中で結果を残せず「チームを勝たせられなかった。途中出場で点を取れなかった悔しさを感じていた」と振り返る。

 2試合の途中出場を経て、今節に先発入り。城福浩監督は4-4-2の新布陣を敷き、その2トップの一角に染野を起用した。「選手の最大値を考えたときに、ここが(布陣の)変えどきだと練習に取り組んできた。染野がこのチームで要求するものを理解してきたのもこのタイミング。PAに持ち込めれば、彼の決定力が発揮される。佐藤凌我との動きのコンビネーションのところ、守備のところは短い期間でもよく理解してやってくれた」(城福監督)。決勝点という最高の形で、指揮官の起用に応えてみせた。

 尚志高時代に選手権でのハットトリックで一世を風靡したストライカーは、2024年パリ五輪世代でもある。しかし代表を意識しつつも、いまは目の前の試合で結果を残すつもりだ。「試合に出続けて、点を取り続けることで、代表にも近づいていくと思う。まずはチームとしていい結果に導けるようにやっていきたい」。染野の新たな挑戦は、ここから始まっていく。

(取材・文 石川祐介)
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