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百戦錬磨の男は清水の起爆剤に…初先発で違い見せた乾貴士「残留のために来た。力になれれば」

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初先発で勝利に貢献したMF乾貴士

[8.7 J1第24節 FC東京0-2清水 味スタ]

 清水エスパルスは3試合ぶりの白星で降格圏から脱出。加入後初先発となったMF乾貴士は新戦力として左サイドで躍動した。「今年の目標は残留。そのために来たので。力になれれば」と改めて新天地での決意を語った。

 7月22日に清水に加入した乾は、前節のサガン鳥栖戦に途中出場でデビュー。27分間という短い中でプレーをした。そして、今節は先発入り。左サイドでは大卒ルーキーDF山原怜音とコンビを組み、緩急をつけた攻撃を展開。後半29分の途中交代まで、攻撃の起点として大きな役割を果たした。

 清水はこの試合、左サイドが攻撃の起点に。ボールを落ち着かせて溜めを作れる乾が、推進力のある山原を巧みに導くところがキーとなった。「怜音が上がってきたところをしっかり使ってあげるのが自分でできる部分。きょうは少なかったと思うんですけど、でも勝ったことが何より一番なので、ゼロに抑えて勝てたことがよかったと思います」。初先発で勝利したことに安堵を口にした。

 今節ようやく降格圏を脱出したものの、戦いは続く。乾自身も「一回で終わったらまったく意味がない」と慢心はない。次節の相手は、同じく下位に沈むガンバ大阪。「そこを勝てば本当に大きい勝利。そこをしっかり勝って、その後ホーム2連戦になる。きょうも声出しがありましたけど、アウェーであれだけの声援があったというのは、すごくやりやすかった。ほかの選手は背中を押されたと思う。ホームでも応援してもらえるように」。国内外、そして代表でも戦ってきた百戦錬磨は、淡々とこれからの展望を語った。

 下位に沈みながらも、乾はチームのポテンシャルを高く評価する。今節はDF立田悠悟とDF鈴木義宜がCBで入り、強力攻撃陣を擁するFC東京を封印。中盤や両サイド、そして前線にも、若手や中堅、外国人選手がばっちり噛み合い、ほぼ完璧な試合運びを見せた。「CBの2人は相手FWにほとんど何もさせなかった。前の若い奴らにも、外国人にも、きょう出ていない選手にも、タレントがいる。清水に来てすごくそれは思った。なんでこの順位にいるのかなと。そこが難しいところなんですけど、楽しいところでもある。どうにかしたいなと思っています」。

 自身のことを「ほかの選手がやりやすいように、やってもらうというのが役割」と説く。今季、一番の目標は残留だ。6月のセレッソ大阪退団後に縁を結んでくれた大熊清GMへの恩返しも「間違いないですね」と語りつつ、「大熊さんだけではない。監督も、社長さんも、チームメイトも迎えてくれた」と改めて感謝を口にする。去り際には「楽しいですよ。楽しくやっています」と充実した表情も。紆余曲折を経た男は献身的に、新天地で力の限りを尽くしていく。

(取材・文 石川祐介)
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