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J2首位・横浜FCで一気に台頭…ルーキーMF田部井涼が「試合に出られなかった時期に積み重ねた」こと

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MF田部井涼

[8.20 J2第32節 横浜FC 1-0 岡山 ニッパツ]

 法政大から今季横浜FCに加入したMF田部井涼が、シーズン佳境のJ2リーグで台頭してきている。台風8号の影響で延期された前節の群馬戦(○1-0)で4か月ぶり2度目の先発出場を果たすと、中3日で迎えた今節の岡山戦も連続スタメン入り。ボランチの一角でチームを引き締め、失点続きで連敗に陥っていた首位チームを1-0での連勝ロードに導いた。

 前半戦の出場機会はデビュー戦となった第8節・琉球戦の7分間、初先発を果たした第9節・千葉戦の72分間の2度だけだったが、6〜7月に4試合の途中出場機会を掴み、ここ2試合では連続先発。前橋育英高、法政大を日本一に導いたルーキーにようやく飛躍の時が訪れている。だが、その要因はシーズン序盤から続けてきた“下積み”にあったという。

「前期はあまり試合に出られなかったのでプレーを周りの人に見せることはできなかったけど、その時期に積み重ねたことがいまできている。とくに竜也さん(長谷川竜也)さんとか周りの選手がいろいろ話をしてくれていて、それを自分の中で噛み砕きながら落とし込んできた結果がいま出ている形だと思う」

 先輩からのアドバイスは主に立ち位置やプレー選択について。ボールへの関わり方をめぐる駆け引きを学んでいるようだ。

「これまで自分がボランチをしてきて『ボールを受ければいい、ボールを中心で受ける』という意識が強かった。ただ、寄るのか離れるのかという一歩二歩の世界を考えるようになって、自分が受けられなくてもボールが前に進むとか、そこで相手が読んできたら自分が受けるという駆け引きのところが最近はできている。たとえば相手の間にいるのか、背中にいるのかで全然変わってくるけど、そこら辺を教えてもらったりしている。そういった一歩二歩の駆け引きは積み重ねられていると思う」

 また受ける時と離れる時、それぞれの場面での“心構え”もプロ仕様の取り組みを続けている。

「そこがたしかに一番変わったのかなと思う。高校、大学はどちらかというと周りに合わせるプレーというか、全体を見てバランスを取ってというプレーが得意だった。それも大事だし、いまやっているのもそういうプレーだけど、自分からボールを受ける時に周りの選手から受けさせてもらうのではなく、自分が意志を持って受けるんだという意志の強さはものすごく意識はしている」

 単なるバランサーではなく、チームの舵取り役へ。「自分は身体能力が高いわけじゃないし、そういうプレーじゃないと上には行けない。僕みたいな選手はボランチの選手ならではの意志の強さを持ってやらないといけない」。世代トップの選手が集まるプロの舞台で、自己表現のステージを高く持ち、自身の強みを発揮しようとしている。

 シーズンは残り10試合。“田部井ツインズ”で名を馳せた前橋育英高で全国高校選手権初優勝、法政大でキャプテンとして総理大臣杯優勝を成し遂げた23歳の次なる目標はJ1昇格となる。学生時代にチームを勝たせてきた実績は豊富だが、プロの舞台ではまだ1年目。謙虚な姿勢を持ちつつ、それでいてこれまで培った経験を活かしながら終盤戦に挑んでいく構えだ。

「学生サッカーでは日本一を取ったりしていたけど、プロは初めての舞台で、全然強度も違うし、戦術的なところも次元が違う。今日も85分でつってしまったりとか、大学や高校ではつるタイプではなかったけど、プロはやっぱり違うなと思う」

 そう自身の課題と向き合った田部井は「ただチームのためにやる、走る、闘うという部分はこれまでの延長線上で通じる部分がある」と指摘。「なかなか評価されない、見落とされがちなスペース埋める、スライドする、そういうところを当たり前にやっていくことが勝利につながる。そこに立ち位置やスライドの強度の部分をどんどん高めていければ」と意気込んだ。

(取材・文 竹内達也)
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