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大車輪の働き見せた磐田MF鈴木雄斗、スーパークリアは“読み”ズバリ「自分の前に森岡選手がいて…」

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MF鈴木雄斗

[10.12 J1第27節延期分 横浜FM 0-1 磐田 日産ス]

 首位の横浜F・マリノスをアウェーで破り、J1残留に望みをつないだジュビロ磐田。カウンターから奪ったMF古川陽介のJリーグ初ゴールが決勝点となったが、その起点になったのはMF鈴木雄斗だった。0-0の拮抗した展開の中では可変システムのスイッチ役を担ったほか、スーパークリアでもチームを救い、まさに大車輪の働きを見せた。

 0-0で迎えた後半39分、自陣でMFマルコス・ジュニオールの縦パスをカットした鈴木は迷わず左サイドに展開。「ボールを取った後、いかに一つ剥がせるかがマリノスみたいな切り替え速い相手に対してのポイントだった。本当に近くでポンポンと距離感良くして2、3回繋いでというイメージを持っていたけど、ひっくり返せばチャンスになると思っていた」。

 まさにイメージどおりの流れ。このパスに反応した古川は縦へのドリブル突破を匂わせながらDF松原后にボールを預けるとゴール前へ入り込み、ペナルティエリア内まで入って折り返しのパスを受けると、最後は後ろ向きの厳しい体勢から強引に右足を振り切り、相手に当たったボールがゴールマウスに吸い込まれた。

 横浜FMはAFCチャンピオンズリーグによる中断を終えた9月以降、5つの失点はいずれもセットプレー絡み。そんな相手をオープンなカウンターで陥れた見事なゴールだった。「ここだというパワーの使い所は今日のゲームではハッキリできていた」と振り返った鈴木は「押し込まれた後半の最初に出ていくスキは見計らっていたし、いろんなことを想定していたので想定どおり」と胸を張った。

 また鈴木がこの日チームにもたらしたのは、決勝ゴールの起点だけではなかった。磐田は前半からミドルブロックで4-4-2、自陣撤退時は5-4-1という可変システムを採用した中、右サイドの鈴木は二つの布陣の“スイッチ役”を担当。「5枚だと後ろに重くなるので、どこから5枚を組むかは自分の判断でやっていた」。守勢が続いた中でも多くの決定機をつくらせなかった守備組織を、試合を通じて支えてみせた。

 さらにこの日の勝利に欠かせなかったのは、後半11分の奇跡的なスーパークリアだ。DF永戸勝也の左コーナーキックに対し、ニアサイドに飛び込んだFW西村拓真のフリック気味のヘディングシュートがファーポスト際に決まったかと思われたが、鈴木はこれに素早く反応。オーバーヘッド気味のアクロバティックなキックで、ボールをゴールラインぎりぎりでかき出した。

 鈴木によると、そのプレーはDF森岡陸と指示をかわした直後の出来事だったという。「本当にあのシーンの時、自分の前に森岡選手がいて『お前は左に行け、僕はニアでそらされた後のファー詰めを狙うから』と話していた」。鈴木はそこで「すごく運が良かった」と言葉を続けたが、相手の出方を想定できていたからこそのビッグプレーだった。

「コーナーがニアにボールが来ていることが多かったので、そろそろそらされるかもしれないなと。コーナーの回数も多かったので、キッカーのフィーリングが合ってくるだろうなとは思っていた」。

 そう明かした鈴木は「ニアフリックをファーでクリアしつつ、でも(ファーにボールが流れた場合に備えて)左サイドにもアタックしないといけない難しい駆け引き。もしちょっとでも左に体重があったら届いていなかったので運が良かった」と謙遜しつつ振り返った。

 そんな“陰のMVP”級の働きが光り、敵地で掴んだ貴重な勝ち点3。これにより奇跡の逆転残留に望みがつながった。「残りの試合と勝ち点差を考えた時、本当に全部勝つしかない状況なので、いろんなことを想定して今日の試合を迎えたので、結果が出てよかった」。それでも鈴木は気を引き締めた。

 残る3試合は清水、G大阪、京都といずれも残留を争う“シックスポインター"。守ってカウンターという横浜FM戦のゲームプランは通用しない可能性が高い。「今日の相手ではこうで良かったかもしれないけど、自分たちがもっとアクションしていかないといけない時にどうするかが問われる」。そんなテーマを掲げた鈴木は22日の静岡ダービーに向けて「次の試合は全く違う戦いになるかもしれないし、もう一度見つめ直してやっていかないといけない」と力を込めた。

(取材・文 竹内達也)
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