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激闘クラシコの陰に隠れた“ラストマッチ”、退団決定のFC東京GK林彰洋がメンバー入り…6年間を振り返る

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契約満了が発表されていたGK林彰洋

[11.5 J1第34節 FC東京2-3川崎F 味スタ]

 退団決定の報から一夜明け、FC東京GK林彰洋は2年ぶりにメンバー入りをした。これまでの日々やこれからの思い、そして“同期”入団のGK波多野豪との思い出など、6年間を振り返った。

 2019年にはベストイレブンに選出された。しかし激しいポジション争いの最中、20シーズンの終盤に右膝前十字靭帯損傷、外側半月板損傷という大怪我を負う。今年1月にも再手術を行い、2シーズンの間をリハビリに捧げていた。今夏には練習に復帰したが出番は来ず。そして今月4日、契約満了のリリースが発表された。

 翌5日、J1リーグ最終節は川崎フロンターレとの“多摩川クラシコ”となった。GKは先発のヤクブ・スウォビィクと、林が2年ぶりにメンバー入り。試合前のトレーニングでは、最初にGKが姿を現す。195cmの長身を確認したサポーターからは大声援が飛んだ。

 試合後、林のセレモニーは本人の希望で行われなかった。「しゃべっちゃうと泣いちゃうので」。試合後の囲み取材では、目にほんのりと涙がにじむ。林は自身のユニフォームを持参したサポーターの姿を確認していた。「目に入りすぎちゃったので、また泣きそうになっちゃった」。自身への声援も耳に入っていた。「泣かせるコールだったので、耳をできるだけふさぎながら、少し聞こえているくらいにしていました」。サポーターの感謝の思いはすべて伝わっていた。

 クラブには愛あるリベンジを誓う。「気持ちいい終わり方ができたかというと、やっぱり悔しさのほうが大きかった。僕の中ではやれる気持ちも十二分にあったので。もちろんチームの総合的な判断とかは重々わかります。2年間使い物にならなかった選手が4、5か月生き返って、よし契約延長しましょうか、なんてならない立ち位置なのもわかっている。わかっているからこそ、外したときの後悔をさせることが、一番の恩返しかなと思っている」。

 11歳年下のGK波多野への思いを語る。2人は17年の“同期”入団。林は鳥栖から加入し、波多野はユースからトップ昇格していた。出会いはさらに遡るという。「中学校一年生のときから知っている。僕が24歳くらいかな。コーチと選手の関係みたいなスタートだったんですけど、それでもGK練習でずっと6年間もやってきた。彼から気づかされたこともありますし、切磋琢磨をしてきたチームメイトだった。彼からもねぎらいの言葉をもらいましたけど、僕もそういう気持ちがある。お互い成長できた6年間でした」。さまざまな思いを去来させ、穏やかに味の素スタジアムを去っていった。

(取材・文 石川祐介)
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