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子どもの頃に憧れていた柏で14年のキャリアに終止符を打ったDF染谷悠太、今後は指導者の道へ

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サポーターに最後のあいさつをするDF染谷悠太

[11.5 J1第34節 柏 1-2 湘南 三協F柏]

 シーズン最終戦の湘南戦、ACL出場権争いにも残留争いにもかかわっていない柏レイソルだったが、MF大谷秀和とDF染谷悠太の引退前ラストマッチという大きな意味のある一戦となっていた。

 柏のゴール裏には「苦難の時期を共に乗り越えた仲間 染谷悠太。闘志溢れる熱きプレーをありがとう。」というサポーターから染谷へのメッセージが掲げられた。
 
 2018シーズンの途中にDF中谷進之介が名古屋に移籍し、2018シーズンの前にはDF中山雄太がズウォレ(オランダ)へ、DF鈴木大輔が浦和へと活躍の場を求めた。続々とセンターバックが流出する中、入れ替わるように染谷は京都から完全移籍で加入。2019シーズンのプレシーズンマッチ、ちばぎんカップでデビューすると、37試合に出場、MVP級の活躍を見せてJ2優勝に大きく貢献した。

 試合後に行われた引退セレモニーでは、染谷のプロ生活を振り返る映像とともに、大学時代の恩師である流通経済大学の中野雄二監督にはじまり、京都時代の指揮官である大木武監督、C大阪や柏でのチームメイトであるDF山下達也、FC東京の下部組織と流通経済大の1学年先輩であり柏でもともにプレーしたDF鎌田次郎らが登場し、メッセージを送った。

 中学年代と高校年代はFC東京U-15、U-18に所属していた染谷は、流通経済大を経て、2009年に京都でプロデビュー。2014年にC大阪へと移籍した後に、2016年から再び京都でプレーすると、2019年には柏に移籍し、2022年にプロ生活を終えた。

 染谷は14年間プロサッカー選手を続けられた秘訣を「身体的にすぐれているわけではないので考えてサッカーしなきゃというのは、ずっと考えていたこと」と明かす。その中で、染谷のプロ3年目から6年目にあたる2011年からの3シーズンに、京都で指揮官を務めた大木監督(現熊本監督)の言葉が印象に残っているという。

「『120%はいらない』とよく言っていて。『120%でやると100%も出せないから、100%を目指せ』と言われたのは、本当にそのとおりだなと思って。それを心に刻んでいままでやってきました」。

 涙を流して声を振り絞っていたセレモニーのときから一転し、メディアの会見場ではさわやかな笑顔をまじえながら応じた。

2009シーズンの第3節G大阪戦でJリーグ初出場を飾った染谷。G大阪の5番は湘南の山口智監督


 そして、14年のプロ生活の中で最終所属チームが柏だったのは、子どものころ父親に柏レイソルでプレーしたいと語っていた染谷にとって大きな意味があるものだった。多くのサッカー少年のように、映像で見て憧れを持ったという。

「地元が東京なので、千葉テレビが映るんですよ。日曜の夜に番組(※編集部注『CAN DO レイソル』)をやっていて、それを見るのが大好きで。このスタジアムだし、このチームすごいかっこいい、と思ったのを覚えていて。親父に『どこに入りたんだ?』と言われたから、『柏レイソル』と。それが叶えられたのがよかった」

 愛すべきチームの今後については、「柏レイソルというチームがより世界に繋がっていけるようなチームになれると、もっといいのかなと思います」と、期待を込める。

 引退後には「指導者」を目指すという染谷は、「“育成の柏”という名を世界にとどろかせたい」と近い未来への目標を明かした。育成の柏”と染谷が指摘するように、引退する大谷をはじめ、FW工藤壮人、DF酒井宏樹、GK中村航輔、中山、FW細谷真大ら柏の下部組織で育った選手たちが、数多く活躍してきた背景がある。

「トップチームで活躍するのはもちろんですけど、その先につながっていくような選手を育てていけるように、自分自身もアップデート日々していかないといけない。世界においても、サッカーの戦術の進化はめまぐるしく、早いスピードなので、アジャストしていけるようにやっていけたら」。

 36歳で選手生活を終えた染谷。しかし、サッカー人生はまだ続いていく。

(取材・文 奥山典幸)
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