びわこ成蹊スポーツ大は1日にJリーグ内定記者会見を開催し、ヴィッセル神戸内定のMF泉柊椰(4年=神戸U-18)が出席した。大学屈指のドリブラーはJの舞台に意気込みを語った。

　神戸U-18から大学を経由し、再び神戸の地を踏む。トップ昇格ができないことを知った高校3年のとき、泉は「見返してやりたい。上がりたいという気持ちが一番だった」と感じたという。会見に出席した神戸の強化部スカウト幸田将和氏によると、泉はトップ昇格の候補だった。だが「もう少し試合経験や体力的な部分を伸ばして、ヴィッセルに戻ってきてほしいという判断だった」(幸田)。大学4年間という成長の時間をあえて与えた。

　泉のドリブルはびわこ大の大きな武器となった。関西選抜や全日本選抜にも選ばれ、その活躍は幸田スカウトの耳にも届く。神戸は泉が大学3年生の段階で正式にオファーを出した。泉はその瞬間を「やっときたかと。生意気なんですけど(笑)」と振り返る。「僕を必要としてくれるチームに行きたかった。ヴィッセルが一番思ってくれたと感じた」。高校まで過ごした“古巣”に戻ることを決断した。

「壁はないだろうと思われているけど、何回もあった」(泉)。自らの武器であるドリブルを生かすため、推進力やフィジカルといったウィークポイントの改善に努めた。「満足していないところがあって、そのたびに考えたり、先生に指導を受けたり、自分なりに取り組んできた」。課題改善に伴い、武器の切れ味は増す。幸田スカウトも「緩急をつけて、中にも外にも持ち出せる。大学でその確率が高くなり、シュートやクロスに行くところで成長が見られた。メンタルも大学でかなり成長した」と変化を認めた。

　独特の大きな歩幅から繰り出すドリブルは、日本代表MF三笘薫(ブライトン)を彷彿とさせる。それもそのはず、当時高校3年生の泉は筑波大に練習参加したとき、三笘の姿に憧れを抱いていた。翌年、大学1年生のときには4年生だった三笘と全日本大学サッカー選手権(インカレ)の舞台で再会。「がんばれよ」とエールを受けていた。

　憧れの存在は、いまカタールW杯の舞台で躍動。そのドリブルを“切り札”として挙げる声も多い。「やっぱり三笘選手がボールを持ったときはワクワクする。見ていてドキドキするので、そういう選手になりたい」(泉)。そう答えつつ、プロの舞台に立つ同士として、憧れから目標に照準を変えようともしている。

「僕も4年後のW杯をかなり狙っている。三笘選手が憧れではなくなるタイミングというのは作らなきゃいけない。それは自分の実力がもっとそのレベルに行ったとき。いまはまだ憧れ。どこかで憧れをなくすタイミングを、自分で作れれば」。いまや日本の“切り札”となった三笘の背中に追いつくために、まずは来季から大きな一歩を踏み出していく。

(取材・文　石川祐介)

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