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【単独インタビュー】プロ2年目11得点の横山歩夢を変えた“1年目の最終節”、松本から来季J1鳥栖へ…勝負の3年目は目標2桁得点

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来季からサガン鳥栖に加入するFW横山歩夢

 躍進の一年を終えたFW横山歩夢は来季からJ1の舞台に上がる。松本山雅FCでのプロ2年目でJ3リーグ29試合11得点という結果を残し、2022年12月にはサガン鳥栖への完全移籍が決定した。

 東海大高輪台高を卒業後、21年から松本に加入した。プロ初年度はJ2リーグで16試合無得点だったが、2年目の今季は大ブレイク。持ち味のスピードを生かした攻撃力でJ3リーグ29試合11得点を記録し、22年春にはU-19日本代表メンバーとして年代別代表にも初選出された。

 “無名”の存在から着実に研鑽を重ね、来季からJ1リーグに挑戦する。ゲキサカでは単独インタビューを実施。松本の2年間を振り返り、プロ3年目で挑むJ1リーグへの意欲、今後の代表活動への意識を聞いた。



──鳥栖への移籍が発表されました。率直な気持ちを聞かせてください。
「J1にチャレンジするということで、とてもワクワクしています。いろいろ簡単な決断ではなかったです。でも鳥栖で、J1という上のカテゴリーでプレーをすると決めました」

──鳥栖からお話が来たのはいつ頃だったんでしょうか。
「シーズン終盤に来ました。でも高3のタイミングでも試合を観に来てくれていたみたいです。この前、(東海大高輪台の)川島監督から聞きました」

──J1への挑戦に自信はありますか。目標があれば教えてください。
「やれる自信はあります。活躍しないといけないプレッシャーもありますね。全試合にスタメンで出て、得点を2桁に乗せることがひとつの目標です。チームの勝利に一試合でも貢献することと、自分個人では2桁を目指していかないといけない」

──鳥栖にはどういうイメージがありますか。
「しっかり走って、組織で攻撃も守備もしていくチーム。背後の動き出しや前を向いて仕掛けるところは自分の武器なので、そこを存分に出してうまくチームにハマっていければ」

──SNSでは中野伸哉選手(鳥栖)と交流されていましたね。
「U-19日本代表でも一緒にやっていて仲も良いです。(楢原)慶輝とも面識がありますね。知り合いがいることで、やりやすさはあります」

──同じくSNSでは、松本のメンバーとの別れの挨拶も印象的でした。
「よくしてくださった先輩たちがたくさんいました。僕が愛媛戦で脱臼して落ち込んだとき、安田(理大)選手が横に来てくれて自分の経験を話してくれたり、いろいろ心強かったです。さみしいですね」



──松本で過ごした2年間をどう振り返りますか。
「1年目は16試合に出させてもらったのに0得点で、FWとしてふがいない結果に終わってしまった。2年目は絶対に活躍するという中で、プロ初ゴールからうまく波に乗れて、2桁の11得点まで乗せられた。名波(浩)さんを含め、現場スタッフの方々のおかげだと心から思います」

──1年目の最終節には先発出場からハーフタイムで途中交代に。試合後、名波監督がシュートへの姿勢を厳しく指摘されていました。
「シュートを打てるタイミングで自分がパスを選択した場面があって、(交代の理由に)ひとつ大きくあったと言われました。シュート練習をたくさんやっていたので足を振れと」

──そこから2年目の22シーズン開幕節でゴールを決めたのは、大きな成長に見えます。
「ゴールに向かう姿勢やシュートを振るという意識は、1年目よりはるかに2年目のほうが出ました。本当に変わったと思います」

──22シーズンの11得点はゴールパターンも豊富でした。一番手応えがあったものはどのゴールですか。
「(J3第7節)アスルクラロ沼津戦のミドルシュートです。自分のドリブルからうまく右上に決められました」

──パスを受けてから1人かわして、PA手前から綺麗にミドルシュートを決めていますね。
「あれは練習でやってきたシュートの成果でもあります。フィジカルコーチに体幹を教えてもらって、ずっと続けていた時期だった。少しボールが足下に詰まったんですけど、それでもうまく体幹を崩さずゴールまで持っていけた。練習のおかげだと思います」

──第22節カマタマーレ讃岐戦のゴールは、浮き球パスに反応して、持ち味のスピードで相手守備陣の裏を抜き切る印象的なものでした。
「ああいう形でDFと並んだら勝てるという自信がありました。うまくオフサイドラインを見ながら(相手選手の横に)並べて、GKが出てくるのも見えたので、うまくゴールに流し込めました」

──コンスタントにゴールを積み重ねられた要因はどう考えられていますか。
「ゴールに向かう姿勢というのは明らかに変わりました。1年目と比べると、自信もまったく違うのかなと思います。開幕節でゴールという成功体験があったので、それが一番大きかった」

──退団リリースでは名波監督についても書かれていました。
「名波さんには本当にお世話になりました。練習後のシュート練習だったり、毎日手伝ってもらった。試合で出せるようなシュート練習だったんです。11得点取れたのは名波さんのおかげです」



──2022年4月からU-19日本代表にも名を連ねています。
「質の高い選手と一緒にやっていくところで感じる部分もありました。まだ知らない人たちとやるので、コミュニケーション能力も必要となっていく中でチームに入れた。J1でやっている選手もいて、自分の特長を出せたので自信にもなりました」

──U-19日本代表の先にはパリ五輪やW杯もあります。
「東京五輪をテレビで観ていて、自分も立ちたいと思いました。オリンピックはもちろん出たい。メンバーに入るだけじゃなくて、しっかり活躍したいです」

──目標への道筋を描く中で、取り組んでいきたい課題はありますか。
「もっともっと決定力を上げていかないといけないです。最後のフィニッシュの精度はもっと上げていかないと」

──日本代表といえば、カタールW杯での活躍はどう見られましたか。
「日本戦はすべてリアルタイムで観ていました。サッカーは全部が全部、個ではない。日本の連係だったり、世界トップクラスの選手たちに勝っていくところに刺激をもらいました」

──印象に残っているプレーはありましたか。
「三笘(薫)選手はどの試合でも途中から入って流れを変えていましたね。ゴール前付近はアイデアだったり、個の力が多く出るところ。流れを変えるというか、一人で打開できてしまう三笘選手はすごかった」

──横山選手は松本での快足プレーから“ネクスト前田大然”とも言われています。
「スプリント回数や前線からの守備は尊敬しかないです。あそこの立ち位置を越えたいとは思っています。守備でも攻撃でも貢献して、チームの勝利に貢献する。見習わなければいけない」

──高校時代には、そのスピードを見た対戦相手から「(キリアン・)ムバッペ」とあだ名を付けられていたという。
「全然まだそのレベルじゃないです……(笑)。個人的に好きなので高校のときから見ていました。ムバッペ選手も(リオネル・)メッシ選手も、やっぱりエースがしっかり決める国が勝つんだなと改めて思いました。決勝はメッシを応援していました。メッシが唯一取っていないタイトルだったので、それを取ってもらいたくて」



──スパイクについても聞かせてください。『DS LIGHT X-FLY PRO』はいつから使用されていますか。
「高校のときから『DS LIGHT』は履いていて、『PRO』はプロ1年目からですね。ポイントの形が変わって、より芝を噛めるようなポイント作りになったのが変えたひとつの要因ですね」

──スパイク選びで重視するのは、やはりスピード面。
「プレースタイルがスピードを生かすタイプなので、一番重視しているのは軽さですね。軽いスパイクはいくつかある。だけどこれはフィット感がすごく良くて、すぐ履いて試合に臨める。練習で馴らさなくてもすぐ試合で履けるところが本当にすばらしいです」

──アッパー前部はカンガルーレザーを使用しています。
「タッチやトラップでは一つひとつの感覚があって、どこで蹴っているか実感できますね」

──『GLORY GOLD COLLECTION(グローリーゴールドコレクション)』は金ピカでかっこいいです。
「テンションが上がりますね。このスパイクは金でかっこいい。ほかにも緑や裏がピンクになっているものもあって、カラーもかっこいいです」



──スパイクの良さを生かすために『グリップソックス』も履かれていますね。
「足裏のグリップのおかげで、スパイクとソックスがズレる感覚がまったく無い。5本指に分かれていて、ボールタッチは普通のソックスではない感覚。一つひとつの指の感覚がすごくいい。とてもいい感覚でボールを触れるので、そういう部分でもいいソックスだなと」

──走ったときの感覚はどんなものでしょうか。
「切り返しとか、急なストップ動作などでスパイクと足がホールドされているというか、くっついてくれる。次の動きに入りやすいところは大きいです。逆に履いていないと、汗やグリップがないことで次の動作に行きにくい。これのおかげでそれが本当に無くなりました」








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(取材・文 石川祐介)

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