beacon

鹿島加入の昌平高DF津久井佳祐、“後輩への苦言”で胸に刻んだ覚悟「自分がしっかりやらなきゃなと」

このエントリーをはてなブックマークに追加

昌平高DF津久井佳祐

 鹿島アントラーズは15日、茨城県鹿嶋市内で2023シーズンの新体制発表会見を行った。

 高校年代屈指のCBとして注目を集めてきた昌平高DF津久井佳祐も出席。現在は昨年夏から痛めていた右足首の治療中で、復帰してもDF昌子源やDF植田直通といったリーグ屈指のCBとの出番争いが待ち受けるが、「怪我を治してアントラーズのサッカーに慣れて、CBは競争が激しいと思うけどバチバチと当たっていきたい」と力強く語った。

 埼玉の技巧派軍団・昌平高のキャプテンを務めてきた津久井は、今冬の全国高校選手権にも出場。昨年夏のインターハイで負った右足首脱臼・靭帯断裂の大怪我の回復途上だったが、「インターハイでの悔しさが痛みより勝っている」とピッチに立ち続け、最後までチームを支え続けた。

 3回戦の前橋育英戦で敗れた際には、思わぬ形でも世間の注目を浴びた。津久井はロッカールームで選手たちの前に立ち、主将として「全部、自分のせいです」と謝罪。その上で来年度の主軸を背負う1〜2年生に「お前たちのせい。自分たちを踏み台にしていいから上を目指してくれ」とあえて厳しい言葉をかけ、そのことを報道陣にも明かしていた。

 すると「お前たちのせい」という言葉がフォーカスされ、さまざまな記事が拡散。その結果、インターネット上では津久井を批判するコメントも多く寄せられた。一部には「選手同士の信頼関係があるからこその言葉」「プロ向きのメンタリティー」という擁護する向きの言葉も見られたが、Jリーガーでもなかなか経験したことのない“議論の的”となった。

 ピッチを離れれば高校生として過ごしてきた18歳にとって、そのショックの大きさは計り知れない。だが、津久井はこの経験を自身の中で消化し、前向きにプロの舞台に歩んでいこうとしているようだ。新体制発表会見後、囲み取材に応じた津久井は「あの発言は自分たちの仲があったからこその発言だった」と振り返りつつ、次のように言葉を続けた。

「今後のプロサッカー選手の人生の中で、自分がもし変なプレーをしたらああいうことを言われるでしょうし、自分がしっかりやらなきゃなという意識をあの発言でつけることができたと思う」

 鹿島サポーターからは「アントラーズ向きの選手」「鹿島らしさを持った選手」という反応も多く寄せられ、「鹿島サポーターの方はちゃんと記事を読んでくれて、内容を理解した上で反応してくれているのでそういった面で嬉しいなというのもある」と津久井。プロ入り後の振る舞いも見据えつつ、至って前向きに言葉を続けた。

「あの発言をしてよかったなとは思わないけど、ちゃんとメディアの前でそういうことをしないというのは勉強できたし、そして鹿島アントラーズのファンの皆さんにも良い印象を与えられた部分もあったので、しっかり今後のサッカー人生において、その言葉を常に胸に置いてサッカーしていきたい」

 この日の囲み取材では、津久井とは別のタイミングで登場した昌子と植田が報道陣に「鹿島が再びタイトルを取るために必要なことは」と問われ、「仲良しこよしでやっていても勝てない」(昌子)、「仲良しだけでは勝てない」(植田)と口を揃える場面もあった。その言葉は、津久井がロッカールームで見せた姿勢とも重なるように思えた。

 かつて鹿島で数多のタイトルを獲得してきた岩政大樹監督のもと、7年ぶりの国内タイトル奪還をかけて挑む今シーズン。その挑戦の行方は欧州挑戦を経て帰ってきた“後継者”2人に大きく委ねられるのはもちろんだが、彼らからピッチ内外で薫陶を受けるであろうルーキーの奮闘にも注目だ。

(取材・文 竹内達也)
★日程や順位表、得点ランキングをチェック!!
●2023シーズンJリーグ特集ページ
●DAZNならJ1、J2、J3全試合をライブ配信!!

TOP