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Jリーグ配分金は“均等”から“結果”へ!! 理念強化金がJ1上位9クラブに拡大、降格救済金は今季限りで廃止

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 Jリーグは31日、第1回理事会を行い、2023年のクラブ配分金を決議した。シーズンの成績に基づいて翌年度から支給が始まる「理念強化配分金」(総額21億6000万円)がコロナ禍による一時停止を経て4年ぶりに復活。一方、カテゴリ別に配分される「均等配分金」は昨季比1億6000万円の減額となり、Jリーグが推し進める“結果配分”へのシフトが始まる形となった。

 理念強化配分金はDAZNの放映権取得とともに2017年に始まった制度。①日本サッカーの水準向上およびサッカーの普及促進、②若年層からの一貫した選手育成、③フットボール環境整備、④選手や指導者の地域交流および国際交流の推進ならびにスポーツ文化の振興—という目的に照らし、Jリーグ理事会の承認を経て配分金が与えられる。

 制度創設からコロナ禍による一時停止前の19年までの間、配分金を受け取っていたのはJ1リーグ1〜4位のクラブ。当該年度の翌年から3シーズンに分け、総額27億8000万円を支給されていた。たとえば優勝チームは翌年10億円、翌々年4億円、3年後1億5000万円という傾斜配分。なお、20年からは優勝チームが翌年5億5000万円、翌々年5億円、3年後5億円という均等配分に変更される予定だったが、支給されないまま制度停止となった。

 4年ぶりの復活となる今年度からは配分金の大幅な見直しが実施された。支給対象のクラブはJ1リーグの成績上位1〜9位に拡大され、以下のような配分に変更。また「DAZN視聴者数など」に基づいて算出されるファンベース数の1〜9位にも配分される。

▼2024年度の理念強化配分金(23年度の成績に基づく)

【成績】総額16億2000万円
1位:5億円(1年目:2億5千万円、2年目:2億5千万円)
2位:3億6000万円(1年目:1億8千万円、2年目:1億8千万円)
3位:2億2000万円(1年目:1億5千万円、2年目:7千万円)
4位:1億5000万円
5位:1億2000万円
6位:9000万円
7位:7000万円
8位:6000万円
9位:5000万円

【ファンベース数】総額5億4000万円
1位:1億7000万円
2位:1億2000万円
3位:7000万円
4位:5000万円
5位:4000万円
6位:3000万円
7位:2500万円
8位:2000万円
9位:2000万円

 野々村芳和チェアマンは17〜19年にかけての制度について「トップを引っ張ってくれるクラブが出てくることになったか、費用が一体どういうものに使われたかを精査した上で、リーグの評価としてあのやり方ではなかったという結論」と説明。支給対象を広げたことについて「いまのJリーグは20番目、25番目のクラブと上のクラブとの差がなくなっているなか、トップ10に入るようなクラブを目指すモチベーションになるような傾斜にしたほうがいい」と背景を語った。

 また「Jリーグ創設30年が経って、全てにおいてプロフェッショナルになれていますかというと、まだ足りないところがたくさんある。最初の15年間で選手がプロフェッショナルになり、この15年で指導者がプロフェッショナルにというのができてきたとするなら、今後はフロントも含めてサッカー界、クラブ全体がどうプロフェッショナルになるか。本気で競争するようにならないといけない」と強調。「上の3つだけに配分しても本来のプロフェッショナルな姿になるとは思えない。J2、J3であろうが、変わっていく可能性があるクラブがたくさんある。どこが伸びていくかわからない。いくつかのクラブが伸びる可能性を傾斜配分で見出していって、結果的にプロフェッショナルが増えることを目指すのがいまのJリーグには必要だと思う」と幅広いクラブによる競争を求めた。

 理念強化配分金の指標にファンベース数が登場したことに加え、既存の「ファン指標配分金」も今季は3億4000万円の増額となる。総額13億4000万円がDAZN視聴者数等によって各クラブに配分される予定となっており、これまで以上に各クラブは人気向上への取り組みが重要になりそうだ。

 このように成績や人気などにインセンティブが付与された一方、各カテゴリごとに平等に支給される「均等配分金」は合計1億6000万円の減額となった。今季はJ1クラブに2億5000万円(昨季比1億円減)、J2クラブに1億円(同5000万円減)、J3クラブに2000万円(同1000万円)を支給。野々村チェアマンによれば「移行期でもあるので若干多めに設定している。もっと下がる可能性はある」といい、今後はさらなる減額も想定しているようだ。

 加えて前シーズンの降格チームに配分されていた「降格救済金」は今年度限りで廃止されることに決まった。22シーズンの降格チームには前シーズンに所属していたカテゴリの均等配分金の80%(J1→J2クラブは1億円、J2→J3は6000万円)が、21シーズンの降格チームで再昇格していないチームには同60%(J1→J2クラブは5000万円、J2→J3は4000万円)がそれぞれ支給されるが、今季の降格チームは来季支給されることはない。

 こうした配分金の変化は、Jリーグが競技力強化のために推し進めている「従来の均等配分金に重きを置いた配分構造から、競技成績やファン増加等の結果配分中心へシフトする」という施策に沿ったもの。野々村チェアマンは「どうやって勝つか、どうやって人気を出すかで配分金が取れるという世界をみんなで作っていこうということ」と述べ、クラブ間競争の活性化を求めた。

 また今季の賞金は昨季と同額のJ1総額7億7000万円、J2総額3500万円、J3総額750万円。AFCチャンピオンズリーグ(ACL)出場チームに対する「ACLサポート配分金」は今季は各クラブに1億円が支給されるが、来季以降は理念強化配分金制度が変更されることに伴い、総額5000万円に減額となる。J1リーグ10位以下のクラブがACLに出場した場合、該当クラブで按分。J1リーグ10位以下のクラブが出場しない場合は出場クラブで按分した上で支給される。

(取材・文 竹内達也)
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