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川崎Fが10人でミラクル大逆転劇!! 知念に恩返し被弾も山田新プロ初ゴール&家長“蹴り直し”PK弾で鹿島撃破

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FW家長昭博が劇的決勝ゴール

[2.25 J1第2節 鹿島 1-2 川崎F カシマ]

 J1リーグは25日、第2節を各地で行い、川崎フロンターレ鹿島アントラーズに2-1で劇的な逆転勝利を収めた。0-1で迎えた後半35分に退場者を出して窮地に追い込まれたが、そこから猛攻を見せてFW山田新のプロ初ゴールで同点。さらに終了間際にはPKを獲得すると、FW家長昭博が蹴り直しのPKを決め、大逆転劇を仕上げた。

 ホームの鹿島は開幕節で京都に勝利(◯2-0)し、連勝をかけて臨む一戦。同じ11人を先発に並べた。対する川崎Fは開幕節で横浜FMに敗れ、前節一発退場で出場停止のDFジェジエウ、負傷交代のDF車屋紳太郎を欠く危機的状況。CBにDF山村和也とDF大南拓磨が先発起用された他、DF佐々木旭とMF遠野大弥がベンチスタートでDF橘田健人が左SBに回り、MF大島僚太とMFジョアン・シミッチが中盤で先発した。[スタメン&布陣]

 試合は開始早々に動いた。鹿島は前半5分、右サイドをFW藤井智也が高く攻め上がり、バックパスで攻撃を作り直すと、DF植田直通が鋭いミドルパスを中盤左に供給。下がって受けたFW鈴木優磨がうまく収めて振り向き、ゴール前にクロスボールを送ると、FW知念慶がフリック気味のヘディングシュートを流し込んだ。

 知念は昨季まで川崎Fでプレーしており、加入早々の古巣戦。見事な“恩返し弾”に歓喜を爆発させ、アシストした鈴木と熱い抱擁をかわした後、ベンチのコーチ陣や控え選手とも喜びを分かち合った。直後、知念にオフサイドの可能性があったとしてVARチェックのため試合が約3分間中断したが、無事にゴールが認められた。

 その後は中盤中央でシミッチと鈴木がやり合うなど、肉弾戦の様相。それでも川崎Fが持ち前のパスワークで徐々に押し込む形をつくり、ハーフコートゲームを展開していく。前半14分、川崎FはFWマルシーニョのドリブルで左を攻め込み、マイナス方向へのパスを受けたFW家長昭博がダイレクトシュート。だが、これは植田に顔面ブロックされると、同20分のマルシーニョの単独突破も不発に終わった。

 そこからは一時、川崎Fがボールを握りながらも停滞した時間帯が継続。それでも前半の終わり際にチャンスを連発した。まずは同43分、大南のぎりぎりでのパスカットからマルシーニョにボールが渡ると、ニアゾーンへのパスに抜け出したシミッチが鋭い折り返しのパス。これは通らなかったが、アディショナルタイム2分にはFW宮代大聖のポストプレーから山村が惜しいミドルシュートも放ち、勢いを保ったままハーフタイムを迎えた。

 それでも後半に入ると、鹿島がやや守備ブロックを高い位置に組み立てられるようになり、川崎Fの良い形でのビルドアップが減少。後半8分には中盤でのボール奪取から鹿島がカウンター攻撃を仕掛け、鈴木のスルーパスに藤井が抜け出す場面もつくった。そしてこのプレーで得たCKでは植田のチャントが鹿島サポーターから歌われる中、MF樋口雄太のキックにDF関川郁万}が反応。力強く叩きつけたが、GKチョン・ソンリョンにキャッチされた。

 川崎Fは後半12分、シミッチに代わって佐々木を投入し、橘田をアンカーの位置に変更。鹿島は痛んだ藤井に代わってMF松村優太を投入した。同15分、鹿島はMFディエゴ・ピトゥカのボール奪取を起点に鈴木が右サイドを駆け上がるも、逆サイド展開を試みるパスは大南がカット。川崎Fは同18分、小気味良い連続ワンタッチでエリア内を打開しようとしたが、パスの精度を欠いた。

 鹿島は後半24分、知念と樋口に代わってMF荒木遼太郎とMF仲間隼斗を投入。川崎Fは同27分、大島に代わって遠野を入れ、互いにフレッシュな攻撃陣に託した。鹿島は同30分、ピトゥカのクロスにファーサイドで反応した仲間が頭で合わせるも、シュートはわずかに枠外。対する川崎Fも次々にクロスまでは行き着くものの、精度が足りずに味方に合わない。

 すると後半35分、川崎Fにさらなる追い討ちが襲う。交代枠を使い切った直後のプレーで山村が仲間を倒し、西村雄一主審はイエローカードを提示。だが、ここでVARが介入し、オンフィールドレビューの結果、決定的な得点機会の阻止があったとして山村に一発退場処分が下された。川崎Fは2試合連続でCBに退場者を出し、またしても10人で戦う形となった。

 ところが川崎Fはここから攻めた。落ち着いたパスワークと機を見たハイボール攻勢でボールを前に進め、後半44分、左CKを獲得すると、途中出場MF瀬古樹がニアサイドに供給。FW垣田裕暉の中途半端なクリアを誘うと、大南がつないだボールを家長がバイシクル気味のシュートを放つ。これは枠から外れたが、途中出場のFW山田新が目一杯に足を伸ばし、ネットに押し込んだ。

 今季新加入の山田はこれがJリーグ初ゴール。数的不利に陥ったチームの窮地を見事に救ってみせた。それでもなおも攻める川崎F。後半アディショナルタイム4分、猛烈なクロス攻勢から橘田がボレーシュートを放ち、ゴールカバーに入った荒木に左腕付近で阻止されたが、西村主審はハンドがあったとして川崎FにPKを与えた。さらに荒木にはレッドカード。VARチェックに時間を使ったが、判定は覆らなかった。

 このPKを家長が蹴ると、勢いなく転がったボールは鹿島GK早川友基がセーブ。今度は鹿島の守護神がチームを救ったかのように思われた。だが、ここでまたしてもVARが介入。鹿島守備陣がペナルティエリア内に早く侵入していたとして蹴り直しが決まった。後半アディショナルタイム11分、2度目のPKを家長が決め、2-1で勝ち越し。試合はそのままタイムアップを迎え、川崎Fが劇的な大逆転劇で今季初白星を手にした。

(取材・文 竹内達也)
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