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VARで劇的幕切れ…蹴り直しPK被弾に鹿島GK早川友基「ルールなので認めるしかない」

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鹿島アントラーズ

[2.25 J1第2節 鹿島 1-2 川崎F カシマ]

 開幕第2節にして実現した鹿島アントラーズ川崎フロンターレのビッグマッチは、ビデオ・アシスタント・レフェリー(VAR)の介入が相次ぐ荒れ模様の展開となり、最後は劇的な幕切れを迎えた。

 前半5分にFW知念慶が古巣相手の先制ゴールを決め、鹿島の優位が続いた一戦。その後は川崎Fが主導権を握る時間帯が続いたものの、鹿島が強固なミドルブロックで耐え抜くと、後半35分には川崎FのDF山村和也がVAR介入の末、決定的な得点機会阻止による一発退場処分を下され、鹿島の勝利は決定的かと思われた。

 ところが後半44分、猛攻を仕掛けた川崎FはFW山田新のプロ初ゴールで同点に追いつくと、そのまま攻勢を強め、同アディショナルタイム5分にはMF橘田健人のシュートが鹿島MF荒木遼太郎の左腕に直撃。西村雄一主審は川崎FにPKを与え、荒木に退場処分を下した。

 このPKが決まれば、川崎Fの大逆転劇。そこで立ちはだかったのがプロ3年目のGK早川友基だった。「(トレーニングでの)動きも良かったと思うし、対策もできていた」。持ち前の基礎技術とコンディションの良さを活かし、正守護神の座を勝ち取った23歳がキッカーのFW家長昭博に向き合った。

 意表を突いてきたベテランの駆け引きにも冷静だった。小刻みな助走から繰り出した“コロコロPK”に対し、早川は完璧な読みでしっかりキャッチ。敗戦の窮地からチームを救った救世主となったかのように思われた。ところが、ここでビデオ・アシスタント・レフェリー(VAR)が介入。鹿島側に反則があったことが発覚し、蹴り直しの判定が下された。

 家長のPKの場面では鹿島のDF植田直通、川崎FのMF遠野大弥がペナルティエリア内に侵入していたため、その反則を取った可能性も考えられたが、プレーに直接関わっていない場合はVARの介入対象外。すなわち蹴り直しに直結した反則は、早川の足がゴールラインから離れていたことだった。ピッチ上で早川もその旨、説明を受けていたという。

 なお早川は取材対応時に「それだったら俺はイエローカードをもらうはず」と戸惑い気味だったが、2020-21年の競技規則改正以降、PK時のGKの反則は1度目のみカードが出されないことになっているため、これで問題のない判定だった。

 その結果、早川は蹴り直しのPKを家長に決められ、勝負を分ける勝ち越しゴールを献上した。「蹴る瞬間までライン上にいるのは難しい。でもルールはルールなので認めるしかない」と振り返りつつ、PKの場面について「1本目のPKも分かっていたし、2本目も同じ方向に蹴ってくるのは分かっていたけど……」と悔やんだ。

 自身が失点に関わる形での悔しい敗戦。「PKになる前にクロスボールに触っていればこういうことになっていない。そこに関しては申し訳ない」。PKに至るまでの流れにも反省の弁を述べた早川は「切り替えて、自分が次に繋げるしかない。キーパーはそういうポジションだし、ミスもあるし、そのミスがゴールに直結するのを再確認した。こういう厳しいゲームで自分がより良いパフォーマンスをしていかないといけないと感じた」と奮起を誓った。

(取材・文 竹内達也)
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