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「ここまでサッカーをやってきてよかった」中学卒業後から待望の地元帰還、横浜FM新加入MF井上健太は2点目の“隠れた立役者”に

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MF井上健太が地元・横浜でプレー

[2.25 J1第2節 横浜FM 2-0 浦和 日産ス]

 プレー時間は20分弱。だが、MF井上健太は後半26分の投入から持ち味のスピードで最前線を駆け抜ける。同44分のFWヤン・マテウスのゴールは、井上のプレスから始まった。中学卒業から地元・横浜を離れ、ようやくたどり着いた日産スタジアム。「自分も応援する側だった。ここまでサッカーをやってきてよかったなって思いました」と喜びを口にした。

 途中出場の25秒後から、井上は存在感を示した。1-0で迎えた後半26分に投入されるとその直後、左サイドのDF永戸勝也が上げたボールはゴール前へ。すると、GK西川周作の前に飛び込んだのは井上だ。「あそこに入っていくことは練習からすごく言われている。マリノスでの自分のポジションの役割だった」。しかし惜しくも芝に足を取られ、ボールにはあと一歩届かなかった。

 井上は後半28分にも1対1を積極的に仕掛ける。また、同42分には相手のクリアを拾ってPA右に進入し、左足シュートを放った。「後半は相手に流れを持っていかれるシーンがあった。だから、自分も入って流れを変えたいなと思っていました」。果敢な姿勢はこのあと結実する。

 後半44分、浦和DFマリウス・ホイブラーテンからDF明本考浩にパスが出ると、鋭く詰めたのはまたしても井上。「本当はボールが取れたと思うんですけど…ちょっとそこも芝に足を取られた」。井上のプレスは明本に届かなかったが、それでもサイド際でパスコースを限定した。すると、その先に待ち構えたDF上島拓巳がカット。そこからパスがつながり、最後はヤン・マテウスが追加点を決めた。

「うまく拓巳くんがその後に来てくれた。インターセプトしてボールを引っかけてくれたのでよかった」。井上自身はボールに触れることはなかったが、その懸命なプレーが相手のパスミスを誘発。追加点の隠れた立役者となった。

 異色のサッカー経歴の持ち主だ。横浜市で生まれ、中学までは横浜でプレー。だが、高校は島根県の立正大淞南高に進学し、大学も福岡大に進んだ。卒業後は大分トリニータでプロデビュー。そして今シーズン、幼少期からの憧れだった横浜FMに加入。今節には日産スタジアムでのプレーを実現させた。

 かつて自分の声で選手の背中を押したように、サポーターからの声が井上の背中を押した。その思いがさらなる発奮につながる。「もっともっと歓声を浴びながら結果を出せるように。自分も夢を与えてもらったチームなので、そこに貢献できるようにがんばっていきたいと思います」。

 怪我でシーズン開始は出遅れたものの、開幕節から2試合連続で途中出場を果たした。「ちょっとずつですけど、マリノスのやり方もわかってきました。選手の特長もすり合わせることができてきました」。コンディションは徐々に上がっている。地元出身の井上が、J1連覇のキーマンを目指す。

(取材・文 石川祐介)
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