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「情けない試合をしているなと」浦和の停滞感打ち破った“サブ組”関根貴大が決勝弾アシスト!

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浦和レッズMF関根貴大

[3.4 J1第3節 浦和 2-1 C大阪 浦和駒場]

 出番が訪れたのは後半22分、浦和レッズMF関根貴大はピッチに入る前から気迫がみなぎっていた。「情けない試合をしているなと思っていたし、この前の2試合も良くなかったのでどうにかしたい、自分が出たらどうしたらいいかを考えていた」。その思いが結果につながったのは後半39分だった。

 DFアレクサンダー・ショルツからの縦パスをFWブライアン・リンセンが大きく浮かせると、これに右サイドの関根が反応。相手に寄せられながらも身体を張り、倒れ込みながらゴール前にパスを託した。これをDF明本考浩がスルーし、後ろから飛び込んだMF安居海渡がワントラップから右足一閃。豪快なミドルシュートをゴール右上に突き刺した。

 浦和にとっては流れの中から奪った今季初ゴール。「海渡がすごくいいシュートを決めてくれて結果的にゴールに関わるシーンになった形だけど、あそこに顔を出せたのは良かった」(関根)。Jリーグ初ゴールで沈めた安居に大きな注目が集まったが、アシストしたのは関根。殊勲の決勝ゴールの陰には浦和で育ってきた27歳の存在があった。

 20年ぶりに浦和駒場スタジアムで行われたホーム開幕戦。途中出場で勝利に導いた選手たちにはサポーターから大きな声援が巻き起こった。関根にとってモチベーションになっていたのは聖地それ自体ではなく、聖地での一戦を彩ろうと気迫あふれる応援を展開したサポーターの存在だった。

「駒場スタジアムというより、We are REDS!!のコールが聞けることは僕らもそうないので」。アウェーでの2連敗でホーム開幕戦を迎え、先制点を献上しながらもスタジアムの雰囲気を盛り立てたサポーターに対し、「我慢して応援してくれているなと感じたので、それに応えたいという気持ちだった」と感謝を語った。

 またそんな関根自身にも並ならぬ思いがあった。今季は開幕戦から3試合連続での途中出場。出場時間は限られており、その立場に甘んじるつもりはなかった

「自分たちはやるべきことをやっているだけ。これだけチャンスが来ないということは監督の中で考えられていないのかなというのもある。これだけ内容が良くない中でスタメンも変わらず、このメンバーでやり続けるということはそれだけの信頼があるんだと思う」。

 そんな序列を変えるには結果を出すしかない——。値千金の決勝ゴールを沈めた安居も、左サイドで攻撃を活性化させたDF荻原拓也も、同様の思いでピッチに立っていた。そしてそれぞれの胸に秘めた意地を勝利につなげてみせた。

「練習でもサブ組は結構コンディションがいい。スタメン組がうまくいっていることが少ない状況だったし、(関根らは)そっちのメンバーでやっていることが多いので、そういう選手が出ているほうがコンビネーションしやすい状況。慌てずに距離感を保ちながらできた」。終盤の試合を支配した連係への手応えも語った関根は「少しでも自分や今日入った選手がちょっとでも(監督の)頭に入っていければいいのかなと思う」と言葉にプライドをにじませた。

 そしていつまでもサブ組としての立場にとどまり続けるつもりはない。「勝負の世界なので結果を残さないと生き残っていけない。一つ乗り越えてスタメンで出られるように意識してやっている」。そう闘志を燃やした関根は「今日みたいに良くない時間帯を良い時間帯にして、流れを変えることが一つできたし、結果を出すこともそう。目に見える結果が大事かなと思う」と今後も結果にこだわり続けていく姿勢を強調した。

(取材・文 竹内達也)
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