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「物心ついた時から応援していた」磐田との初対決…大宮DF袴田裕太郎が“同期”の上から劇的弾アシスト!!

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DF袴田裕太郎がヘディングで決勝弾アシスト

[3.11 J2第4節 大宮 1-0 磐田 NACK]

 誰より強い思いをヘディングに込めて、最後の最後にドラマを巻き起こした。後半アディショナルタイム4分、大宮アルディージャはMF泉澤仁がファーサイドにクロスを送り込むと、反応したのはCBから攻撃参加していたDF袴田裕太郎。力強く頭で合わせたボールをゴール前に送り、FWアンジェロッティの劇的な決勝ゴールを導いた。

 静岡県浜松市出身の袴田にとって、ジュビロ磐田との一戦はただの1試合ではなかった。

「磐田は生まれた時から、物心ついた時から応援していたクラブで、ずっと憧れていたクラブだった」。磐田U-15で過ごした中学時代を経て、U-18昇格を逃して浜松開誠館高に進学した袴田。明治大を経て横浜FC入りし、3年目の昨シーズンに磐田帰還を果たしたが、前半戦で満足に出場機会を得られず、同年夏に期限付き移籍で大宮へとやってきた。

 今季からは正式に大宮の所属選手となり、開幕4試合目で迎えた古巣戦。「初めて対戦相手として試合をしたけど、絶対に負けたくない気持ちで挑んだ」。かつては憧れたサックスブルーに相対した26歳は、これまでプロで実績を積んできたサイドバックではなく、昨季途中から大宮で新たに挑戦している4-4-2のセンターバックというポジションでピッチに立った。

 試合は立ち上がりから劣勢が続き、押し込まれる時間帯が続いた展開。「一人一人のクオリティがすごく高いし、なかなかボールを失わない。いかに我慢し続けて狙いを定めて奪うかが大事になると思っていた」(袴田)。そうした狙いもあったが、カウンターのチャンスを模索しようにも、前に出ていけるシーン自体が限定的だった。

 それでもこの日の大宮はとにかく耐え続けた。GK笠原昂史による再三のスーパーセーブに加え、4-4-2で組むコンパクトな守備ブロックでなんとか応戦。時には相手のシュートミスにも助けられ、0-0のまま時間を進めていった。

 そして最後の最後にドラマを呼び込んだ。後半アディショナルタイム2分、クリアボールに抜け出したFW河田篤秀が磐田DF中川創の一発退場を誘発。そして数的優位の同4分、泉澤のクロスに合わせた袴田の落としからアンジェロッティが決勝ゴールを沈めた。

 袴田が空中戦で上から競り勝ったのは、奇しくも磐田U-15と浜松開誠館高で同期だったDF松原后。終了間際の90+4分という時間も劇的だったが、袴田を取り巻く構図も劇的だった。

「今日にかける思いはすごくあったので、無失点で勝てたことがすごく嬉しい」。

 そう喜びを噛み締めた袴田は、4バックのCBという新境地で掴んだ守備面の手応えも感じていた。「自分たちの時間を増やしたかったけど、磐田もすごく上手くて、なかなか思うようにいかなかった。そういった時間でも一人一人が身体を張って守れたのが(勝利の)大きな要因」。チームメートを称えることも忘れなかった。

 またCBでのパフォーマンスには磐田時代の経験も活きていたようだ。「大宮に来てから4バックのCBは初めてやったけど、ジュビロで3バックの左の経験は積ませてもらっていた」。強みである「前へのチャレンジ、守備の1対1で負けないところ」はサイドバック時代と変わらず、その武器を新たな持ち場でも発揮してみせた。

 一方、この日はカウンターにつなげるロングフィードでミスがあり、「攻撃のフィード、縦パスはもっともっと出していけたら」と満足していなかった。またCBでの統率力にも「もっとボールを大事にしないといけないし、自分がもっともっとリーダーとして引っ張っていけるような存在にならないといけない」と向上心はたやさない。

 それでもプロとして戦い続ける限り、最も重要なのは勝利という結果だ。「周りの選手やGKに助けられたのはあるけど、結果として無失点で終われてチームの勝利に貢献できたことがすごく嬉しい」。勝ち点3の価値を強調した袴田は「こういうものをチームとしても自分としても自信にして、また次に挑みたい」と冷静に先を見据えた。

(取材・文 竹内達也)
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