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開幕2発デビューで“厳戒態勢”…次なる課題に向き合う磐田17歳FW後藤啓介「マークがつく中でも得点を」

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ジュビロ磐田のFW後藤啓介

[3.11 J2第4節 大宮 1-0 磐田 NACK]

 ルヴァンカップでプロ入り初先発を飾ったばかりのジュビロ磐田の17歳FW後藤啓介はこの日、後半19分からの途中出場でピッチに立ったが、チームを勝利に導くことはできなかった。J2開幕節で鮮烈な2得点デビューを果たし、世間の注目度は急上昇中。それに伴い相手のマークも厳しくなっているが、その警戒をも成長の糧にしようとしているという。

 高校3年生への進級を間近に控える後藤は今季、“飛び級”でプロ契約を締結。2021年に加入したFWファビアン・ゴンザレスの二重契約問題に伴う国際サッカー連盟(FIFA)からの制裁により、チームは選手の新規加入登録が禁じられている中、弱冠17歳にして貴重な戦力となっている。

 2月18日のJ1開幕節岡山戦(●2-3)では0-3で迎えた後半19分からの投入でJリーグデビューを果たし、足元の技術と191cmの高さを活かして2ゴールを記録。J2降格初戦を黒星で終えたチームの大きな希望となった。またそれ以降もJ2リーグで4試合連続の途中出場。Jリーグ王者に接戦を演じた8日のルヴァン杯横浜FM戦(●0-1)ではプロ入り初先発も飾っていた。

 もともとはボランチでもプレーしていた後藤だが、Jリーグでは一貫してストライカーで起用されている。「プロに入る前の想像以上にはやれている」と手応えは十分。「ここまでFWで使ってもらっているので、ストライカーでやっていくしかない。オプションで中盤も持っておけばいい選手になれるんじゃないかと思うので、ボランチも持っておきたいけど」と点取り屋としての覚悟も固まりつつある。

 もっとも、開幕戦での大活躍によって警戒も高まっている。この日は後半22分、左サイドを攻め上がったDF松原后からのクロスでヘディングシュートを放ったが、これはGK正面。「あのシーンは自分はマークにつかれたら終わりなので、いったん離れておいて、上がったタイミングでうまく前に入って触れたけど、ゴールから距離が遠くて正面だった。決められればよかった」。さすがの動き出しと高さが光った場面ではあったが、その後は相手のマークに苦しんでシュートはこの一本にとどまった。

 後藤は自身の現状について「開幕戦で2点を取ったきり取れていない。あそこで話題になってしまって注目度は上がっているけど、注目度が上がってマークがつく中でも得点を取っていきたいし、取れないと世界じゃ活躍できない。もっともっと得点に貪欲になってプレーしたい」と謙虚に語る。その言葉どおり、プロの舞台で飛躍を遂げるには相手の“厳戒態勢”を上回る働きが求められそうだ。

 とはいえ無用な焦りや気負いからは無縁。次節には清水とのダービーマッチを控えるが、「ダービーはただの一戦じゃないと言われるけど、自分はただの一戦としか思っていない」と断言する。「自分は1年目なのでガムシャラにやるだけ」だといい、「もちろん結果は気にするけど、まずはプレーの内容と得点にフォーカスしてやっている」からだ。

 それでも野心は欠かさない。磐田U-18時代には元日本代表FWの前田遼一前監督から薫陶を受け、「相手の最終ラインと駆け引きして、ゴール前にいろというのはずっと言われてきた」という後藤。その前田氏は今季からA代表のコーチに就任した。もちろん2年後のU-20W杯を目指すU-18日本代表、今年5月の同大会を目指すU-20日本代表、来年夏のパリ五輪を目指すU-22日本代表など、活躍次第で幾重にもチャンスが広がっているが、ピラミッドの頂点をしっかりと見据えている。

「ずっと小さい頃からA代表は意識している。プロになってチャンスが増えたのは大きいし、結果を出せば呼ばれる世界だと思っているので、結果にこだわっていきたい」。目指すは大きくA代表。名門の危機に立ち上がった17歳はプロのDF陣にもまれながら飛躍のシーズンを過ごす。

(取材・文 竹内達也)
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