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後輩たちに見せた威厳…名古屋DF中谷進之介が柏エース完封「とにかく彼だけにやられないように」

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FW細谷真大と対峙する名古屋グランパスDF中谷進之介(写真右)

[3.12 J1第4節 柏 0-3 名古屋 三協F柏]

 パリ五輪で日本を背負う活躍が期待される柏レイソルのエースに立ちはだかったのは、かつて同じクラブで育った名古屋グランパスのセンターバックだった。試合後、DF中谷進之介は「監督から口酸っぱく『細谷選手を』とずっと言われていたので、とにかく彼だけにやられないように意識しながら集中して守れた」と手応えを口にした。

 今季は開幕2連勝を果たした名古屋にとって、今季初黒星を喫した前節・鳥栖戦(●0-1)からの立ち直りも問われた一戦。柏のキーマンであるU-22日本代表のFW細谷真大と対峙するにあたり、特徴は完璧に頭に入っていた。

「右の川口(尚紀)選手とか片山(瑛一)選手から流れてくるボールで得点を取っているパターンと、マテウス・サヴィオからのキラーパス。それに抜け出すのが彼の特徴。そっち側(右サイド)に流れるというのを意識しつつ、(最終ラインの)裏はセーフティにやろうと意識していた」(中谷)

 頭にあったのは“後輩には負けられない”という思いではなく、“2度も同じ相手にやられるわけにはいかない”という思い。「去年ホームでやられているので、あのシーンも見ながらやらせないようにと思っていた」(中谷)。昨年5月20日の対戦では前半早々にゴールを決められており、より慎重な対応を心がけていたという。

 そうした意識が結実したのは2-0で迎えた後半25分のマッチアップ。警戒していたMFマテウス・サヴィオからの縦パスを受けた細谷が中谷の正面で収め、しなやかな身のこなしでドリブルをスタートさせたが、中谷は振り切られることなくしっかりとついていき、シュートコースに制限をかけた。

「若干足が触っていたので倒れたらちょっとやばいと思いながらも、真大が倒れなかったので、そこからはいい規制をかけられた。一回当たった後も彼は身体が強いので、僕も倒れずに最後まで対応に行けたのが良かった」。この対応により細谷は十分に整った体勢でシュートを打つことができず、右足で放ったボールはゴール左に外れた。

 さらに中谷は最終盤、同じく柏アカデミーの後輩である18歳FW山本桜大にも立ちはだかった。山本のファーストタッチは綺麗に収まったように思われたが、先回りして対応した中谷の前にシュートコースはなし。「3バックの真ん中はああいう守備が多くなるし、自分はああいう読みができる選手だと思っている。一歩目の対応がうまくいったシーンだった」。プロ入りしたばかりの後輩にJ1トップレベルの威厳を見せつけた。

 そうした中谷の活躍もあり、名古屋は3-0で完封勝利。今季3勝目で首位のヴィッセル神戸と勝ち点9で並び、2位浮上を果たした。2021年には年間21試合のクリーンシート(無失点)を記録した堅守が戻ってきたことに加え、FWキャスパー・ユンカーが加わった攻撃陣も勢い十分。ここまでは順調な走り出しとなっている。

「守備に関しては自信を持っているし、2〜3年前から定評があると言われてきたけど、そこで点が取れるかどうか。それが今はちょっと噛み合ってきている」。それでも近年のJ1を牽引してきたチームに比べると、完成度に満足してはいられない。中谷は「まだまだマリノス、フロンターレのような形があるかというとない。勝ち点を積み上げながら内容を積み上げていくのが理想。上を目指してやっていきたい」と気を引き締めた。

(取材・文 竹内達也)
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