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左CBで攻守に奮闘、ユンカーの決定機も2度演出…“5戦1失点”名古屋を支える22歳DF藤井陽也「もっともっと貢献することが大事」

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名古屋グランパスDF藤井陽也

[3.12 J1第4節 柏 0-3 名古屋 三協F柏]

 今季の公式戦5試合目にして、すでに4回目のクリーンシートを達成した名古屋グランパス。元オーストラリア代表の名手GKランゲラック、日本代表の経験も豊富なDF中谷進之介が中心を担っているのは言うまでもないが、昨季から頭角を表してきた22歳のDF藤井陽也も欠かせない存在となっている。

 公式戦全試合の先発が続く藤井はこの日、今季のJ1リーグ戦では初めて3バックの左で先発出場。長谷川健太監督によると、同じ3バックの布陣で臨んだ8日のルヴァン杯神戸戦(◯2-0)での「いいリズムを崩したくない」という狙いによる起用だったが、左足でのビルドアップ、機を見たオーバーラップで随所に見せ場をつくっていた。

 昨季は主に3バックの中央で出場機会を掴み、シーズン途中から今季の開幕3試合は右CBでの起用。それでも「昨季も左で少しやっていたし、自分としては3バックどこでもできるのが強みだと感じている」と立ち位置の違いは意に介さない。左CBは利き足ではない左足のプレー精度も問われるが、「左足も昔からしっかり練習していたし、蹴れるのは自分の武器でもある」と自信を示す。

 またボール保持に安定感をもたらすだけでなく、高い位置まで持ち運べるのも藤井の長所だ。
3バックを基本布陣とするチームにおいて、左右のCBが中盤や前線のサポートをするのは不可欠。「去年はそこが少し足りないと思っていたけど、自分が意識して、ガミくんも積極的に行っているし、すごくいい形でできていると思う」と手応えを語る。

 この日も「攻撃を意識していたわけではないけど、自分がフリーで持ち出せる時間が多かったので、積極的に持ち味を出していこうと思っていた」という藤井。「ドリブルやロングボールも含めていろんな手段を使ってビルドアップして剥がしていくのは、最近チームとしても個人としてもうまくできているので続けていきたい」と意気込んでいる。

 さらにこの日はFWキャスパー・ユンカーへのスルーパスとロングフィードで2度の決定機も演出。「キャスパーの動き出しはすごくわかりやすくて、自分もキャスパーを見ているので、うまく意思疎通ができている。パスの質も足元に出すのか、スペースに流すのかというのを意識して練習している。点と点が合ってチャンスを作れたのは良かった」。相手の好守にも阻まれてゴールには至らなかったが、前線の個人能力を活かす取り組みも進めているようだ。

 その一方、センターバックにとって最も肝心になるのは守備能力だ。対人の対応やヘディングはストロングポイントとしてきた藤井だが、自身の課題を「もっとディフェンスとして90分間集中し続けるところが必要。気が抜けていたり、イージーミスをしたりするシーンが時々あるので、細かいミスを減らすことが大事」と指摘。試合経験を積みながら安定したパフォーマンスの追求に取り組んできた。

 もっとも、今季のパフォーマンスはそうした面でも成長が見られている。この日はペナルティエリア内にクロスを入れられる場面が多かったが、自身の持ち場を守りつつ、時には勇敢に離れてクリアするプレーを連発。長谷川監督も「守備面でも難しい対応もあったがしっかり対応し、彼の良さが出たゲームだったのではないかと思う」と高い評価を送った。

 また藤井自身もそうしたクロス対応について「ああいうところはボールウォッチャーになりがちだけど、ピンチのところを予測するのは意識している。チーム全体を見ながら危ないところを見つけるのが自分の役割でもあるので継続して意識していきたい」と手応え。「3バックの真ん中はすごくカバーリングを意識していたので、より危ないところを見つけやすかった」と昨季の経験が活きていることも明かした。

 そんな藤井の次なるミッションは代表入り。2000年12月26日生まれでパリ五輪の出場資格はギリギリで満たさないため、日の丸を背負うにはA代表しかない。また「同年代でもオランダで活躍している菅原由勢(AZ)もいるので」と公言するように、名古屋の育成組織で同期だったDFが先に選ばれていることから、そのステージは現実的な目標となっている。

 そのためにはまず、名古屋での安定した活躍を継続していく構えだ。「自分ももっともっと上を目指せるし、代表は常に目指している。グランパスでの活躍がそういうところにつながると思うので、もっともっとチームに貢献することが大事だと思う」。3年半後の夢舞台に向け、22歳の若きCBは着実にステップを踏んでいる。

(取材・文 竹内達也)
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