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高校時代に”王者”青森山田破った町田FW荒木駿太「黒田監督は小嶺先生に似ている部分もある」先発起用に応える2G1A!!

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FC町田ゼルビアFW荒木駿太が2ゴール1アシスト

[4.16 J2第10節 町田 3-1 大分 Gスタ]

 ついにスタメン定着を勝ち取った23歳が、首位攻防戦で圧巻の大活躍を見せた。FC町田ゼルビアFW荒木駿太は前節・磐田戦(△1-1)に続いての先発出場で2ゴール1アシストを記録。「首位の大分トリニータに勝って、首位を絶対に取り返すという気持ちでやっていた。絶対に自分が結果を残して勝って首位に戻るんだと、本当に気持ちを入れてやっていたので結果で監督に恩返しができて嬉しい」と喜びを語った。

 勝ち点2差で追う大分との頂上決戦、主役となったのはサガン鳥栖から期限付き移籍で加入した背番号7だった。まずは前半23分、右CKのトリックプレーでニアゾーンを攻略したMF平河悠の折り返しに反応。右足ダイレクトで綺麗に沈めた。

 トレーニングから練習を積んでおり、この日の1本目の右CKで繰り出すと決めていたサインプレー。荒木は「自分でもビックリ。練習では自分のところにボールが来ても決められてなかったので不安だったけど、監督には試合では決めるんでって言っていたので、決められてすごいホッとしている」と微笑んだ。

 さらに前半33分には高い位置でのプレッシングからボールを奪い、そのままペナルティエリア左を持ち上がり、右足でGKの逆を突いてねじ込んだ。「(高橋)大悟、エリキがすごく(相手のパスコースを)限定してくれていて、あそこにしかパスコースがなかったので、あそこを狙うことができて、冷静にGKを見て決められた」と狙いどおりの一撃だった。

 そして前半39分には相手ロングボールを奪ってからのカウンターで中央を持ち上がり、シュートに行くと見せかけてFWエリキにラストパス。「ハットトリック行こうかなと思ったけど、確実にエリキに出したほうが得点につながると。2-0は0-0だと思っていたので、3点目が必要だなと思ってエリキに出した」と冷静な判断力も見せた。

 駒澤大からのプロ入り2年目でJ2リーグでの武者修行を決断し、開幕節から8試合連続で途中出場。第3節から第5節までは3試合連続ゴールも記録していたが、町田のエースにはFWミッチェル・デュークが君臨していたため、出番はどの試合も終盤の20分間程度に限られていた。

 ところが第7節藤枝戦(○1-0)でデュークが全治6週間の負傷に見舞われると、第8節秋田戦(●0-1)の出番こそFW藤尾翔太に譲ったが、前節の磐田戦で今季初スタメン。荒木自身はその試合のパフォーマンスについて「初スタメンで結果が出したかった中で全然出せなくて、悔しい気持ちで終わっていた」と厳し目に振り返ったが、黒田剛監督は上々の手応えを感じていたようだ。

「チームの中ではラッキーボーイ的な存在であって、チームが落ちてきた時に使いたい選手の一人であるので、スタートから行くのはリスクがあるというのはあるが、さすが小嶺(忠敏)先生の教え子だけあって、今日も12km以上走っているし、彼の運動量とバイタリティを持って、スタメンからでも起用できるということを前節で証明できた」

 そうして掴んだ連続先発のチャンスで2ゴール1アシストの満点回答。90分間あたりの得点数1.5、シュート決定率62.5%(シュート8本で5得点)は異質な数字だ。

 また黒田監督はこの日の荒木について「エリキとの相性もすごくいいので、関係性を遵守しながら、彼が堅実にプレーしてくれた成果かなと思う」とも称賛。荒木自身もエリキとの2トップについて「練習中からエリキがずっと声をかけてくれて、自分もこうしたいとエリキに言っている。ジュビロ戦より今日のほうが合っていたし、もっともっと合うように練習からやっていきたい」と好感触を示しており、今後も競演に期待がかかる。

 さらにこの日は最終盤まで落ちない運動量で後半44分までフル稼働。「点を決めるだけじゃダメだと思っている。ストロングポイントが運動量でもあるので、監督もそういうのを求めて使ってくれていると思うし、ああいうのをやらないと試合には出られない。結果は出すけどサボらずにやっていきたい」と献身的な姿勢も示していた。

 長崎総合科学大附高時代の2017年度の全国高校選手権では、黒田監督擁する前回王者・青森山田高に勝利した経験もあり、不思議な縁のある指揮官と共に過ごすプロ2年目のシーズン。「黒田監督は小嶺先生に似ている部分もあるのでやりやすさを感じている。サッカーだけじゃなく生活もしっかりしないといけないと言われている。高校の時にちょっと戻った気分で、初心に戻って頑張りたい」。このまま存在感を示し続けていくためにはエース不在の今が絶好のチャンス。「デュークがいないから勝てないと言われるのはすごく悔しいので、デュークが戻ってきてもいなくても勝てる町田を作りたい。そこはブレずにやっていきたい」と力を込めた。

(取材・文 竹内達也)
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