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女性審判トリオによる歴史的一戦…横浜FM対名古屋の上位対決は共に首位遠のくドロー

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MF喜田拓也(右から2人目)が同点ゴール

[4.29 J1第10節 横浜FM 1-1 名古屋 日産ス]

 J1リーグは29日、第10節を各地で行い、横浜F・マリノス名古屋グランパスの上位対決は1-1の引き分けに終わった。他会場で首位のヴィッセル神戸、4位のサンフレッチェ広島が勝利したため、ともに首位からの勝ち点差が遠ざかり、順位を一つずつ落とした。

 3位の横浜FMと2位の名古屋によるゴールデンウィークの上位対決。山下良美主審、坊薗真琴副審、手代木直美副審が試合を担当し、Jリーグ史上初めて女性審判員トリオが割り当てられる歴史的一戦となった。両チームともに前節からの先発変更は1人。横浜FMはDF松原健が5試合ぶりに復帰し、名古屋はFW酒井宣福が今季初先発となった。[スタメン&布陣]

 立ち上がりは風上のエンドを選択した名古屋が一方的に攻め込んだ。前半5分、FWマテウス・カストロの突破を起点にFW永井謙佑がシュートを狙い、さっそく攻撃の形を創出。一方の横浜FMもGK一森純の長いスローイングから左サイドを攻め込み、FWエウベルの斜めのパスを受けたMFマルコス・ジュニオールが巧みなターンから右サイドに展開したが、MF水沼宏太のクロスは味方に届かなかった。

 そこからは名古屋の猛攻がスタート。前半8分、敵陣右サイドでFKを獲得し、これをマテウスがペナルティエリア左に低弾道で送り込むと、ファーサイドに飛び込んだDF藤井陽也が折り返す。一森が触った跳ね返りを拾った永井のシュートは相手に当たって枠を外れたが、その後も守備ではマンツーマン気味の対応で封じ込みつつ、DF森下龍矢の突破やマテウスの左足キックで優勢に試合を進めた。

 さらに名古屋は前半19分、右サイド攻撃で一度はDF角田涼太朗にボールを奪われたが、角田からのパスをMF内田宅哉が高い位置でカット。こぼれ球に抜け出したマテウスがペナルティエリア右に抜け出し、角田との接触で倒れ込む。しかし、接触が軽微だったためか、山下主審はノーファウルとした。同25分にはカウンターから永井が左サイドを抜け出し、低いクロスボールを送ったが、これは一森に阻まれ、ファーサイドのマテウスに届かなかった。

 横浜FMは前半28分、自陣右サイドからテンポ良くボールを繋いで左サイドを前進し、エウベルが果敢な中央突破を見せると、ラストパスに抜け出したマルコスが左足一閃。久々に決定機を迎えたが、これはGKランゲラックに阻まれる。同34分、名古屋はマテウスの直接FKが一森のパンチングを狂わせ、こぼれ球を拾ったマテウスが折り返しのパス。ニアに飛び込んだDF中谷進之介のシュートは相手DFに阻まれた。

 名古屋は前半35分、角田のパスをカットした中谷がダイレクトで前線に浮き球パスを送り、これを受けたマテウスがペナルティエリア内までドリブルで切れ込むも、自身のミスでピンチを招いた角田がDF畠中槙之輔とのコンビでカバー。横浜FMも直後、カウンター攻撃からエウベルがFWアンデルソン・ロペスとの連係から左サイドを抜け出したが、内田のカバーに阻止された。

 それでも前半41分、ついに名古屋がこじ開けた。ランゲラックからのロングキックを起点に中盤でタメを作り、MF米本拓司が左サイドにロングフィードを送ると、これを受けた森下がドリブルでカットインを開始。対面の松原のテンポを外しながら右足で持ち出し、最後は豪快な低弾道シュートでファーポスト脇を撃ち抜いた。森下は前節の湘南戦(△2-2)に続いて2試合連続ゴールとなった。

 そのまま迎えた後半は風上に転じた横浜FMが盛り返し、サイド攻撃を有効に使って反撃をスタート。前半はマンツーマンに苦しんでいたMF喜田拓也とMF渡辺皓太]]のダブルボランチも他の選手のサポートを受けて徐々にボールを引き出せるようになり、同9分には水沼の右サイド突破にA・ロペスが飛び込む惜しいチャンスを作った。

 一方の名古屋も後半10分過ぎ、カウンター攻撃とセットプレーで前進する機会を増やし、攻めに出たい横浜FMに脅威を与え始める。すると同17分、横浜FMの{{ケヴィン・マスカット監督は3枚替えを決断。松原、マルコス、水沼に代わってMF山根陸、FWヤン・マテウス、FW西村拓真を投入した。山根はまたも右サイドバック起用となった。

 名古屋も後半23分、相手ボランチへのマンマークに奔走していたFW酒井宣福が足をつり、永井とともに途中交代。長谷川健太監督はMF和泉竜司とFWキャスパー・ユンカーを送り込んだ。

 すると後半28分、それまで組み立てに苦しんでいた横浜FMがようやく試合を動かした。角田の縦パスをヤン・マテウス、西村とつないだ攻撃は左に流れたが、ラインギリギリでエウベルが残すと、やや対応が緩くなった名古屋守備陣のスキを突いて折り返しのパスを供給。ゴール前にもぐり込んでいた喜田がダイレクトで左足を振り抜き、精度の高いグラウンダーシュートでネットを揺らした。

 過去4シーズンではノーゴールに終わっていた喜田は2018年5日5日に行われたJ1第13節名古屋戦以来、5年ぶりの得点。J1リーグでは通算3ゴール目だが、奇しくも再びゴールデンウィークの名古屋戦で結果を出した。横浜FMは直後、エウベルに代わってMF吉尾海夏を投入。前節の神戸戦(○3-2)で今季初出場の吉尾はそのまま左ウイングに入った。

 追いつかれた名古屋は後半33分、敵陣左サイドで獲得したFKをマテウスがゴール前に送り込み、ニアの米本には合わなかったが、ファーの藤井がダイレクトシュート。だが、これは惜しくも枠を外れる。横浜FMは同39分、途中出場MF藤田譲瑠チマが華麗な身のこなしからエリア内に潜り込んだが、シュートは藤井に阻まれ、こちらも決定機を逃した。

 終盤は名古屋が何度も相手ゴール前に攻め込んだが、横浜FMも畠中の好守などで失点は許さず、そのままタイムアップ。名古屋は3位、横浜FMは4位に順位を落とした。

手代木直美副審、山下良美主審、第4審の中村太氏、坊薗真琴副審(写真左から)

(取材・文 竹内達也)
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