beacon

永井の教えも胸に右足一閃…王者こじ開けた名古屋MF森下龍矢「プロでの研鑽が実を結んでいる」

このエントリーをはてなブックマークに追加

名古屋グランパスMF森下龍矢がハートのポーズでサポーターに感謝

[4.29 J1第10節 横浜FM 1-1 名古屋 日産ス]

 プロ入り4年目、名古屋グランパスMF森下龍矢が年々凄みを増していく攻撃センスでJ1リーグ王者の牙城を破った。前半41分、左サイド高めでボールを受けて迷わずドリブルを開始すると、細かく持ち出して右足一閃。「もっと正しい軌道があった」と理想どおりのシュートではなかったというが、それでもGKの取りにくいファーポスト脇に叩き込んだ。

 横浜FMも人数を揃えて守っていたが、森下のクオリティーがその上をいった。「縦突破もちょっとちらつかせつつカットインできたのが良かったし、自分の中で縦突破し切る選択肢もあったので、どっちもある状況の中でチョイスできたのが良かった」。そう振り返ったように、相手に迷いを与えるコース取りは見事なもの。また「ああいうアウトサイドで触ってからすぐに打つというタイミングはすごく良かった」というフィニッシュも出色だった。

 明治大時代から攻撃力に定評があったが、アタッキングサードでのプレーがますます冴えている。前節の湘南戦に続いて2試合連発。「アタッキングサードでクロスを上げるとか、シュートを打つというシーンまで持っていく過程は大学時代にかなり叩き込まれたので、そこまでは行けていたけど、フィニッシュのところはプロになって磨くことができた。まだたくさんではないけど、こうして結果を残し始めているのはプロに入ってからの研鑽が実を結んでいるのかなと思う」と手応えを語る。

 その一つの取り組みが全体練習後にFW永井謙佑の下、約10人程度で行っているという居残りシュート練習だ。「これ違うよとか、いま合ってるよとか、ボールの当て方をかなりみんな言われている。僕だけでなく(19歳の)甲田英將とかもやっている」。この日のシュートも実は「謙佑くんから教えてもらった」というもの。そこでは落ちながら曲がる軌道を伝授されており、「ボテボテって感じだった」という理想どおりではないシュートに苦笑いを見せたが、そこで右足を振り抜けたことに成長を感じているという。

「成果が出てきている部分もあると思う。ああいうシーンでこれまで打たない選択をしていたけど、練習を重ねていたからこそ、練習でやったことはやりたいよなという感情で、迷いなく触れるようになってきた。練習の成果が出たシュートではなかったけど、振る選択ができたのは練習の成果」。

 この日はゴール直後にMF稲垣祥に背後から抱きつかれ、「あそこで持ち前のフィジカルを見せてきて走れなかった(笑)」とサポーターの元に向かうことはできなかったが、両手で作るハートポーズはもはや恒例。今後もさらなる量産に期待がかかる。

 そして何より上位を走る今シーズン。「手応え自体はかなり感じている」という森下は勝利に向けて、チームをさらに引き締めていく構えだ。

「手応えがなかなか結果につながらないというところで、すぐに結果を残せるようになるかというと別だと思うけど、先制点を取った後に取られてしまうところはちょっと悪い癖になってきてしまっている。その悪い癖を治すためにはエネルギーが必要だし、精神力が必要なのでチーム一丸となって一体感を持って取り組んでいきたい」。5月3日に控える次節は首位・神戸との上位対決。「全力で身体を整えつつ準備していきたい」と力を込めた。

(取材・文 竹内達也)
★日程や順位表、得点ランキングをチェック!!
●2023シーズンJリーグ特集ページ

TOP