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真価発揮の長距離ドリブルは結実せず…パリ五輪世代・鳥栖MF本田風智のたしかな成長とラストピース

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MF本田風智 ※写真は過去のもの

[5.7 J1第12節 川崎F 1-0 鳥栖 等々力]

 雨中のドリブル突破は真価発揮の見せ場となったが、その一方で決め切ることはできず。サガン鳥栖でトップ下を務めたMF本田風智は3試合連続ゴールとはならなかった。「チャンスに関わっていけている」と手応えを見せながら、「最後の決め切るという部分がもう一個足りない」と課題も口にした。

 鳥栖は前半から川崎フロンターレを攻め立てる。前半34分には本田がチャンスを創出。FW小野裕二が右サイドからクロスを上げると、本田がPA中央でダイレクトシュートで合わせた。前々節・京都サンガF.C.戦、前節・横浜F・マリノス戦のゴールと似た形ではあったが、今回はミートしきれず。ボールはゴール上に外れていった。

 前半をスコアレスで折り返すと、勢いは徐々に川崎Fへ。本田は「相手の守備が前から来るようになって、ラインが低い位置でのビルドアップが多くなった」と振り返る。鳥栖が前進できなくなると、川崎Fのボール保持が生きる。追いかける鳥栖はさらに体力を奪われ、悪循環に陥った。そして、鳥栖は後半7分に失点を喫した。

 それでも後半10分、本田が単騎突破で局面を打開する。自陣の縦パスをFW河田篤秀が落とし、本田が前を向きながらボールを収める。「自分でシュートまで行くというイメージでドリブルを始めた」(本田)。センターライン付近から一気に加速し、DF高井幸大をかわしながら敵陣PA内に進入。DF大南拓磨のプレスも冷静に避け、左足シュートを放つが、MFジョアン・シミッチのスライディングブロックに遭った。鮮やかな突破力を見せたが、ゴールは決め切れなかった。

「ドリブルしながらも飛び込んできているのは見えていた。かわすまではうまくいったのかなと思うんですけど、やっぱり最後の部分は足が出てくる」。決定機を決め切れず、悔しさをにじませる。本田の左横にはフリーの河田が待ち構えていた。「そこは自分が行きたいという気持ちが勝ってしまった。チームのために冷静になるところは冷静にならないといけない」と反省を口にした。

 鳥栖の育成組織から2020年にトップ昇格し、コンスタントに試合に出続けて4年目。「プレーに余裕が出てきた」と現状を語る。「ビルドアップだったら、うまくはたく部分とキープする部分の使い分けも、去年までより良くなっている」。プレーの幅が広がり、決定機は増加した。その一方で、得点数は伸び悩む。「チャンスに関わっていけている回数が増えてきた中での、最後の仕事の部分」と自身の課題を挙げた。

 3日後には22歳の誕生日を迎える本田は、2024年パリ五輪世代だ。「もちろん目指す場所」と意欲をのぞかせつつも、「チームで結果を残すことや、いいプレーをすることが一番のアピール」と焦らず一歩ずつ進む。U-22日本代表の激戦区でもある中盤で、自身の生きる道は「ゴール前の仕掛け、最後まで自分でシュートに持っていく部分」。だからこそ、あとはゴールに結びつける力を求めている。「入らないなら、回数を増やしていくしかない。決め切ることが意識してやっていく部分」と課題克服に意欲を見せた。

(取材・文 石川祐介)
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