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4発圧勝で得点数J1トップに!! “饒舌”ペトロヴィッチ監督「浅野雄也はシュツットガルト、小柏剛はボルシアMGから獲ってきた」

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FW小柏剛

[5.13 J1第13節 湘南 2-4 札幌 レモンS]

 北海道コンサドーレ札幌湘南ベルマーレに大量4ゴールを浴びせて圧勝し、今季の得点数でリーグトップに立った。試合後、ペトロヴィッチ監督は「ヨーロッパ、たとえばドイツで一番得点をとっているチームであれば、かなりの注目を集めると思う」と皮肉気味に述べつつ、上位浮上に意気込みを示した。

 この日の札幌は前半6分にMF駒井善成の復帰後初ゴールで先制したが、後半14分にVAR介入によって与えたPKで追いつかれると、わずか1分半後に逆転弾も献上。瞬く間の連続失点で厳しい展開を強いられた。ところが後半25分にFW小柏剛のヘディング弾で同点に追いつくと、同30分にMF浅野雄也、同42分にMFスパチョークが連続得点。終わってみれば4-2の快勝を収めた。

 札幌は前節FC東京戦でも5-1で圧勝しており、2試合合計9ゴールで今季初の連勝を達成。今季の得点数も一気に伸ばして「29」とし、この日の広島戦で2得点を挙げていた首位ヴィッセル神戸の「28」をも上回り、ついにリーグ最多に上り詰めた。また全体の順位でも暫定5位に浮上。失点もワースト3位の「22」と多く、たしかな課題は残るものの、高い攻撃力が着実にチーム成績に結びつきつつある。

 そうした手応えもあってか、ペトロヴィッチ監督は試合後の会見で饒舌だった。会見場に入るやいなや「おそらく世界で唯一の監督かもしれないが、自分のチームが素晴らしいゲームをしたら結果として負けることがあっても、自分のチームを誇りに思うし、自分のチームがしたプレーを素晴らしいと思える」と自信満々に切り出し、この日の戦いぶりを賞賛。試合を決めた駒井、浅野、小柏の1トップ2シャドーに話が及ぶと「前線の3人の選手はビッグネームだ。浅野はシュツットガルトから来たし、小柏はメンヒェングラードバッハ(ボルシアMG)から来た。駒井はどこからでしょうか」と笑みを見せた。

 彼らの実際のキャリアを振り返ると、駒井は浦和、浅野は広島でそれぞれ出場機会が満足に与えられず、札幌に移籍してきた経緯を持つ選手。小柏は明治大卒3年目の若手ストライカーだ。いずれもJ1リーグの舞台で“ビッグネーム”として扱われてきた選手たちではなく、もちろんこれはジョークだった。

 指揮官は彼ら3人のキャリアに言及しつつ、さらにJFLのHonda FCでの武者修行でも出場機会が得られなかった経験を持つDF中村桐耶、J2のザスパクサツ群馬から加入したDF岡村大八、大卒で活躍が続くDF田中駿汰やMF金子拓郎らの存在も紹介。限られた予算で編成されたチームを見渡しながら「岐阜の選手のほうがうちよりも高いかもしれない」と皮肉も交えて語った。

 さらに続けて「鈴木武蔵は札幌で得点を重ねて移籍したし、(アンデルソン・)ロペスも札幌で得点を重ねたことで中国に移籍した。浅野もいま得点を重ねているが、そろそろ心配をしないといけないだろう」とコメント。今季7ゴールとブレイク中の浅野に絡めたジョークも口にした。

 もっともこれらの言葉は今後のチームの行く末を展望する前置きだった模様。「そういう選手がいなくなってもなんとか生き残っているのが札幌だ」と強調しつつ、若いチームが伸びしろを見据えていた。

「いまはリーグで一番点を取っているチームで、チームには力があると思っている。ただここまで勝ったり負けたりの試合が多いのは確かで、今日初めて連勝したわけだが、この試合に向けてずっと話をしてきた。連勝をしないといけないんだと。コンスタントに勝っていかないといけないんだと選手たちに話をしてきた。

彼らは常にJトップクラブ、トップチームで試合に出続けてきた選手たちではない。彼らがコンスタントに自分たちの力を発揮する中で、毎試合勝っていくという経験はまだない。ただそれは彼らの成長の伸びしろだ。われわれはそういう過程にあるチームだ」

すでにできあがった選手を連れてきて編成しているわけではないし、彼らは成長しながら戦っていくところだ。当然、彼らには未成熟な部分がある。だから勝ったり負けたりするわけだが、われわれはそういう過程を経て、上位を争うチームに変わっていければと思う」

 そんな指揮官は次節の京都戦を「非常に重要なゲームだと捉えている」と力を込めた。「今日の勝利を忘れないといけない。私も今日をもって消し去りたい。京都に勝利できれば『札幌、ここから上に行けるよ』と示せる試合になると思う」。この連勝を上位浮上への足がかりとしていく構えだ。

(取材・文 竹内達也)
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データ提供:Opta
※大会の公式記録と異なる場合があります

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