2022年度Jクラブ決算は債務超過5クラブ、赤字21クラブ…“財務降格”特例停止中でライセンスへの影響は?
Jリーグは26日、2022年度クラブ経営情報開示の先行発表を行った。3月決算の2クラブ(柏レイソル、湘南ベルマーレ)を除く56クラブの決算が開示され、債務超過クラブは5クラブだった。
債務超過クラブはセレッソ大阪、アビスパ福岡、サガン鳥栖、東京ヴェルディ、ガイナーレ鳥取の5クラブ。いずれも昨年発表された21年度の決算でも債務超過とされていた。
Jリーグは22年度を新型コロナウイルスの影響を考慮した財務基準の猶予期間としており、「新たに債務超過に陥っていない」「昨年より債務超過額が増加していない」という条件を満たせば、クラブライセンス判定の対象外としていた。今回、債務超過とされた5クラブは、いずれも前年度比で債務超過額が減少しているため、来季のライセンスには影響しないという。またJリーグはいずれのクラブも「資金繰りは問題ない」と説明している。
また21年度の決算で債務超過とされていた12クラブのうちベガルタ仙台、名古屋グランパス、ジュビロ磐田、レノファ山口FC、福島ユナイテッドFC、アスルクラロ沼津は22年度決算で債務超過が解消された。残る柏レイソルは3月決算のため、7月をめどに経営情報が新たに開示される予定となっている。
単年度赤字は北海道コンサドーレ札幌、鹿島アントラーズ、FC東京、ヴィッセル神戸、サンフレッチェ広島、福岡、いわてグルージャ盛岡、ザスパクサツ群馬、横浜FC、徳島ヴォルティス、V・ファーレン長崎、大分トリニータ、福島、Y.S.C.C.横浜、SC相模原、松本山雅FC、AC長野パルセイロ、カターレ富山、FC岐阜、カマタマーレ讃岐、鹿児島ユナイテッドFCの21クラブ。いずれもクラブライセンス判定には影響しない。
■コロナ禍における財務基準の経過
Jリーグはコロナ禍による財務的な打撃が深刻化していた2020年の10月、クラブライセンス判定に設けているペナルティ基準「債務超過」「3期連続赤字」を21年度まで一時停止する特例措置を決定。入場料収入やスポンサー収入の減収によって損失を受けた各クラブが、直ちに下部カテゴリに降格するという懸念を一時的に解消させた。
22年度からは2年間の猶予期間がスタート。「債務超過が解消されていなくてもよいが、前年度より債務超過額が増加してはいけない」「新たに債務超過に陥ってはいけない」「3期連続赤字のカウントをスタートする」という条件のもと、23年度までのクラブライセンス制度を運用する予定としていた。
ところが昨年末、Jリーグは再び方針を変更。配分金を含めた予算方針の変更を行ったことに伴い、「柔軟なクラブ運営を可能とするため」という名目で23年度を再び特例措置期間に設定した。したがって、今年度新たに債務超過に陥ったクラブがあってもライセンスには影響せず、3期連続赤字のカウントも行われないことになっている。
昨年末の決定によると、24年度は再び猶予期間がスタートし、財務基準による降格の可能性が復活。「債務超過が解消されていなくてもよいが、前年度より債務超過額が増加してはいけない」「新たに債務超過に陥ってはいけない」という条件が義務付けられ、3期連続赤字のカウントも始まる。
また25年度からは特例措置が撤廃され、債務超過の解消が義務付けられるほか、3期連続赤字によるライセンス停止の対象となりうる。
クラブライセンスの特例措置、猶予期間は以下のとおり。
▼2020〜2021年度:特例措置
・債務超過、3期連続赤字をライセンス交付の判定対象としない。
・2021年度末に新たに債務超過に陥っても判定対象としない。
▼2022年度:猶予期間
・債務超過が解消されていなくてもよいが、前年度より債務超過額が増加してはいけない。
・新たに債務超過に陥ってはいけない。
・3期連続赤字のカウントをスタートする。
▼2023年度:特例措置
・債務超過、3期連続赤字をライセンス交付の判定対象としない。
・年度中に新たに債務超過に陥っても判定対象としない。
▼2024年度:猶予期間
・債務超過が解消されていなくてもよいが、前年度より債務超過額が増加してはいけない。
・新たに債務超過に陥ってはいけない。
・3期連続赤字のカウントをスタートする(2024年度末が1期目。2023年度以前の赤字についてはカウントしない)
▼2025年度〜
・年度中に債務超過が解消されていなければならない。
・2024年度から赤字が継続しているクラブは、2026年度に3期連続赤字に抵触する可能性がある。
(取材・文 竹内達也)
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●2023シーズンJリーグ特集ページ
債務超過クラブはセレッソ大阪、アビスパ福岡、サガン鳥栖、東京ヴェルディ、ガイナーレ鳥取の5クラブ。いずれも昨年発表された21年度の決算でも債務超過とされていた。
Jリーグは22年度を新型コロナウイルスの影響を考慮した財務基準の猶予期間としており、「新たに債務超過に陥っていない」「昨年より債務超過額が増加していない」という条件を満たせば、クラブライセンス判定の対象外としていた。今回、債務超過とされた5クラブは、いずれも前年度比で債務超過額が減少しているため、来季のライセンスには影響しないという。またJリーグはいずれのクラブも「資金繰りは問題ない」と説明している。
また21年度の決算で債務超過とされていた12クラブのうちベガルタ仙台、名古屋グランパス、ジュビロ磐田、レノファ山口FC、福島ユナイテッドFC、アスルクラロ沼津は22年度決算で債務超過が解消された。残る柏レイソルは3月決算のため、7月をめどに経営情報が新たに開示される予定となっている。
単年度赤字は北海道コンサドーレ札幌、鹿島アントラーズ、FC東京、ヴィッセル神戸、サンフレッチェ広島、福岡、いわてグルージャ盛岡、ザスパクサツ群馬、横浜FC、徳島ヴォルティス、V・ファーレン長崎、大分トリニータ、福島、Y.S.C.C.横浜、SC相模原、松本山雅FC、AC長野パルセイロ、カターレ富山、FC岐阜、カマタマーレ讃岐、鹿児島ユナイテッドFCの21クラブ。いずれもクラブライセンス判定には影響しない。
■コロナ禍における財務基準の経過
Jリーグはコロナ禍による財務的な打撃が深刻化していた2020年の10月、クラブライセンス判定に設けているペナルティ基準「債務超過」「3期連続赤字」を21年度まで一時停止する特例措置を決定。入場料収入やスポンサー収入の減収によって損失を受けた各クラブが、直ちに下部カテゴリに降格するという懸念を一時的に解消させた。
22年度からは2年間の猶予期間がスタート。「債務超過が解消されていなくてもよいが、前年度より債務超過額が増加してはいけない」「新たに債務超過に陥ってはいけない」「3期連続赤字のカウントをスタートする」という条件のもと、23年度までのクラブライセンス制度を運用する予定としていた。
ところが昨年末、Jリーグは再び方針を変更。配分金を含めた予算方針の変更を行ったことに伴い、「柔軟なクラブ運営を可能とするため」という名目で23年度を再び特例措置期間に設定した。したがって、今年度新たに債務超過に陥ったクラブがあってもライセンスには影響せず、3期連続赤字のカウントも行われないことになっている。
昨年末の決定によると、24年度は再び猶予期間がスタートし、財務基準による降格の可能性が復活。「債務超過が解消されていなくてもよいが、前年度より債務超過額が増加してはいけない」「新たに債務超過に陥ってはいけない」という条件が義務付けられ、3期連続赤字のカウントも始まる。
また25年度からは特例措置が撤廃され、債務超過の解消が義務付けられるほか、3期連続赤字によるライセンス停止の対象となりうる。
クラブライセンスの特例措置、猶予期間は以下のとおり。
▼2020〜2021年度:特例措置
・債務超過、3期連続赤字をライセンス交付の判定対象としない。
・2021年度末に新たに債務超過に陥っても判定対象としない。
▼2022年度:猶予期間
・債務超過が解消されていなくてもよいが、前年度より債務超過額が増加してはいけない。
・新たに債務超過に陥ってはいけない。
・3期連続赤字のカウントをスタートする。
▼2023年度:特例措置
・債務超過、3期連続赤字をライセンス交付の判定対象としない。
・年度中に新たに債務超過に陥っても判定対象としない。
▼2024年度:猶予期間
・債務超過が解消されていなくてもよいが、前年度より債務超過額が増加してはいけない。
・新たに債務超過に陥ってはいけない。
・3期連続赤字のカウントをスタートする(2024年度末が1期目。2023年度以前の赤字についてはカウントしない)
▼2025年度〜
・年度中に債務超過が解消されていなければならない。
・2024年度から赤字が継続しているクラブは、2026年度に3期連続赤字に抵触する可能性がある。
(取材・文 竹内達也)
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